69ページ目   商品先物

脱税の背景

本日の朝日紙には金属クズの取引に絡んだ業者の脱税容疑の告発があった旨が出ていたが、そういえばつい先週も所謂「ヒルズ族」の非鉄金属回収や同卸売りの二業者が東京国税局から東京地検に告発されたとの報道があったばかり。

共通するのはなんでも06年以降の中国好景気の影響で金属の市場価格高騰が売り上げを飛躍的に上昇させたのが背景となっている模様だが、そういえばこの時期といえば当欄でも採り上げたが金属泥棒が流行っていた時期、公園の滑り台まで無くなったのには呆れたものだが後になってこうした事が出てくると成る程と再認識させられる。

この脱税の背景になった錫からアルミニウム、銅、ニッケルまで何でも高騰していたこの非鉄だが、最近では年明けから三割近い上昇を見せ国内物も中国の買い付けが顕著になって来た銅とは対照的にアルミは軟調を強いられている模様で、やはりインフラ絡めて中国の影響力が依然として強い。

ところでこの非鉄の国内先物市場、既に先月中部大阪商品取引所のニッケルは上場廃止となりアルミニウムもヒッソリと休止になっているが、残ったTOCOMアルミ市場も本日は実質的に商いが先二本で50枚にも満たない超閑散、こちらはなんとも寂しい限りである。


思惑の相違

本日の日経紙経済面で目に留まったのが、東京証券取引所が09年中に予定していた上場計画を現況の環境下でのファイナンス含めた効果は疑問として同計画を来年以降に延期する方向で検討に入ったという件。

東証といえば所謂プロ投資家向け専用市場『TOKYO AIM』の立ち上げ課題等を抱えており、取り急ぎこうした件を最優先にするとしているが、指定アドバイザーの件一つ取っても業界関係者の間では所謂「労多くしてナントカ」ではないがけっこう好意的に受け止める向きは少数派とか。そうした会員サイドの事情といえばその件もさることながら、それよりもこれで昨年の夏だったか当欄で触れたこの上場を首を長くして待っている経営がキツくなっている一部会員の失望感は推して知るべしか。

さて取引所と言えば変って商品業界では逸早く嵐?の中を株式会社化したTOCOMが13年度中の上場を目指しているが、合併待望論が出ている東穀取に関しては「時宜を得ない」と素っ気無く、当の東穀取側も自主独立路線を依然として掲げておりこの辺は外部から?の決定待ちか。

余談だが一部取引員も数年前は主幹事を決めて上場計画したものの、市況環境もあってか結局マルにしたパターンもあったがその後数年間で業界は様変わり受託業務からも撤退、結果的によかったのか否かこの辺はいろいろ考えさせられる。


政策の呪縛

FUTURES PRESSでも既報の通り、先月末には日本ユニコムが関西商品取引所の全銘柄含めた他全17銘柄の新規売買を停止したのを始め、今週は岡藤商事が同じく関西商品取引所の受託業務を休止と発表、また昨日は岡地がやはり関西商品取引所の全銘柄の新規受託を廃止と発表している。

何れも流動性の急激な低下を挙げているが、僅かに商いのあるとうもろこし以外はそれこそ意味があるのか無いのか値付けで辛うじて生かされている感じで、なるほどよほど奇特な向き以外は撤退してゆくのが自然な流れだろうか。

これに限らずもはや此処まで流動性が低下してしまった銘柄においては八方塞な状態は想像に難くないが、何にでも理由があるようにここまで残っているにも相応の背景も其れなりに存在するのだろう。

公正な指標価格の提供というものがもはや形骸化し、機能不全の市場放置下でも諸々のコストが垂れ流されてきたのもまた上記の通りなのだろうが、ある種の聖域が崩されてゆく衰退の中での統合論も荒涼とした感があって実に虚しい。


お題目に反する空洞化

商品取引所連絡会が纏めたところによると先月中に取引された国内石油先物市場の出来高は、TOCOMと中部大阪の合計で前年同期比59%減となった模様である。

これに呼応?するかのように週末の日経紙商品面にて目に留まったのは、デリバリー常連組であった日本ユニコムが採算の効率化から今秋をメドに石油会社からの受託業務から撤退する旨の記事であった。

この石油ではないが昨年には老舗の三幸食品や三忠が東穀取から受託業務廃止や会員脱退の動きがありこちらも常連組一角の撤退が記憶に新しいが、撤退していない常連組においても岡地のように行政処分から業務停止の憂き目に遭うなど委託先法人の戸惑いも想像に難くない。

取引所やお上が起死回生策として呪文のように実需家の誘致を唱え続けている間にも、当の現場は現場で経営に活路を見出しこうした部分を見切りに入っているという業界の縮図が何とも解り易く出ている構図だが、老舗牽引で軸足を移行させる動きがますます加速してゆく感がある。


22年遅れ?のSPAN

さて、週末土曜日の日経紙で目に留まったのが、商品面にあったJCCHがSAPN証拠金制度の導入等2010年度をメドに証拠金制度を抜本改革する旨の記事であった。

いまだに証拠金は昨年の暴騰時から半値以下にまで崩落している商品がある中においてもボラティリティーリスクの観点とやらで一貫して吊り上った状況を維持しているが、カレンダー始めとして相殺モノはこの分だけ寝かせるカネがそっくり増額してしまっている。

まあ自己においてもおかしな計算と感じる事が多いがそれはこと原商品に限らずオプション等にも言える事で、特にこれは数度にわたる設計変更の度に失敗する予告を当欄で何度も指摘してきた通り、鳴かず飛ばずを嘆く以前にその視点がズレているのに他ならない。

同紙には、新しい証拠金の導入は日本の商品先物改革の最後の切り札などとたいそう大袈裟な書き方をしているが、もう可也前から実際の参加者はスパン証拠金導入をい望んでいたし、またそうした論議が湧いていた事実がありながら当事者は全く耳を貸さなかったのも事実、漸く重い腰を上げたがこれも遅きに失したという事になるや否や。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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