73ページ目   商品先物

垣根消滅過程での再編

さて、金融混乱から一旦は冷めた投機熱だが一方で商品市場の長期的なファンダメンタルズから再びホットマネーが商品市場に流入する可能性が高いと予てから言われて来たが、NY金が史上最大の上げ幅を演じたり今週は週明けに一部スクイズもあってWTIも史上最大の上げ幅を記録する等、再び国際商品市場がボラタイルな展開となっている。

一方、一連の米金融機関再編劇の過程で事業戦略としても、例えば商品事業を縮小していたバンク・オブ・アメリカはメリルリンチ買収で、また英バークレイズはリーマン・ブラザーズの非中核事業買収で商品先物事業拡大の機会をもたらす可能性が出てきたとロイターの記事で見掛けた。

こうした一連の再編劇で米はとうとう銀行・証券の垣根消滅という賛否両論が出る歴史的な転換点を迎える事になった訳だが、はや年明けから海外拡大を競い合って来たメガバンクも三菱UFJがモルガン・スタンレーに巨額の出資を行う等その国際的な存在感が強まっており、この段階で大きな関心を集めていたゴールドマン・サックスは果たしてかな本命視されていた三井住友が数千億円の出資を決める方向で調整している事が明らかになっている。

そういえばこの三井住友も今年度から商品先物市場を利用したデリバティブ担当グループを独立させ、関連商品の開発を強化していると時事の記事で見掛けたが、いずれも当然の事ながらそのフィールドとなるのは指標性を持った市場、こちらの方も整備促進から再編は必至だろう。


場当たり政策

さて今週は、総取組が約23年ぶりの低水準に喘ぐ東穀取が8日に運営委員会で一般大豆の取引単位を現行の五分の一にすると発表、またトウモロコシについてもミニを新規上場する準備を進めているが、これより先に報道されていた東工取の白金先物のミニ取引も9日には11月上旬に開始する方針を決めている。

地方取引所もミニ導入の動きと何処も彼処もだが、225じゃあるまいしだいたい出来高や取組をこうした見掛け倒しで錯覚させるのはどうかと思うし、その理由が出来高回復を図ると何処も判を押したように公言しているその意図が解らない。

プロ化推進の下に一般の喚起もとの意図もあったミニ金であるが期近のリクイディティ誘致も果たして不発に終り早くも六限月制に移行、考えてもみて欲しいが石油製品に元売りが入ってきたのは市場設計変更でロットが業界標準へ大きくなった事が大きい、そこへまた何処も個人喚起推進とどうも場当たり的な感じがしてならない。

取引所同士もはたしてお上?の都合もあって歩調を合わせていけるのかどうかも疑わしいがぶら下がっているところはもっと深刻、もっともこの辺は本日振興協会が合併要請とか出ていたがまた後述しよう。


キャンペーン銘柄

はや長月であるが「FUTURES PRESS」でも既報の通り本日をもって中部大阪商品取引所のニッケル先物は試験上場機関の満了となり上場廃止が正式に決まった。

さてこのニッケルだが新年度には本上場するのは難しいとしながらも試験上場期間を延長するとの方針を表明、7月の会員総会決議で本上場移行を承認したが数週間後の理事会ではこれが覆ってやっぱりヤメタという事になる。

しかし正式決定したはいいが営業日ベースでわずか数日しかないところへ周知徹底といってもこれは余りにも酷い、穿った見方をすれば誰も見ていない奇特な参加者のみのマイナー銘柄だからまあ適当にと言われても仕方ないだろうか。

また、確かこの銘柄、数年前に振興策でキャンペンだか何だか張った際に優勝?した外務員が数百枚だったかの新規を取ったとの件が記事に載っていた記憶があるが、当の委託者も踊らされた外務員もつくづく可哀想な話、さて次は否が応でも鉄スクラップに対する対応が注目される。


保身と犠牲者

週明けの日経平均は全面高の続伸であったが、そんな中でもやはり今年最大の破綻となったアーバンコーポの影響が大きいのか値下がり率上位にはいまだに不動産株がズラリと並ぶ有様、しかしまあ今年は公募普通社債が此処数ヶ月で3件のデフォルトに陥る等どう見ても異常な事態である。

ホンの一年前にはそれこそ絶好調の決算を計上し紙面を賑わせていた気がするが、最近の関係筋の話では先月「銀行が握る魔のスイッチ」とタイトルにしたように容赦無い剥がしや絞り込みは想像を絶するらしい。

さて一方で週末の時事には商品取引受託会員56社の08年3月期決算が出揃い果たしてというか約7割に相当する39社が純損失を計上、国内商品業界の疲弊ぶりが浮き彫りになっている旨の記事が出ていた。

何れも厳しさ真っ只中の業界であるが、失礼ながら真綿で首というよりも酸素供給を一気にストップという様で一部上場企業がバタバタと消えデフォルト続出を目の当たりに見ているとこちらの方が深刻にも見えるが、そんな折だからか上記企業ではとんでもないディスクロ偽装?が波紋を呼んでいる模様、この辺は後述するが商品業界においてもこうした負の部分が波及しない事を願うばかりである。


撤退理由

本日のTOCOM市場はメタル系がザラバで全限ストップ安と全面安、中でも金はフシ目の850ドルもスンナリ割ってTOCOMではストップ安のまま大引ける事となった。

金といえば東西のETFも一様に急落していたが思えば大証の方が先行上場してからはや一年が経過、その売買代金は昨年8月の1億1,686万円から今月は4億2,406万円と順調に伸びている模様。

ところで東証の方も上場から一ヶ月が経過しているが一日あたりの売買代金で東証が大証を上回ったのが7/17のみであとは大証の方がリードしているらしい、ただ一般に売買代金のみで見てしまえば実に規模の小さい争い?で今後は証券会社等がコストに目を瞑ってどの程度本腰入れるかが鍵か。

先に商品先物の受託業務を今月で廃止する事を発表したマネックス証券などはその撤退理由について「金ETFなど商品と連動する金融商品が登場して来た事で、今後はそれらの方が商品先物より活発になると見て打ち切り決定した。」としているが、東証側も来月から一気に投資単位を小口化する方針、急落相場は逆風ながらもう暫く行方に注目か。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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