真摯なアクティビスト

さて、一昨日の日経紙にあったユニークな全面広告が目を惹いた。アクティビストファンドのストラテジックキャピタルによる投資先企業への株主提案や課題が綴られたものがそれで、そこでは東証プライム市場上場の日本証券金融、極東開発工業、文化シャッター、ワキタ、有沢製作所及び東証スタンダード市場上場のダイドーリミテッドの6社が挙げられていたがいやはやどれも辛辣な見解が述べられている。

このうち既にワキタの提案は否決されているが、とはいえこれら目を通してみるにその辺のディスクロを一瞥しただけではわからないようなデータや問題点が非常に簡潔に纏められており当該企業の株主なら一読の価値はあるだろう。おりしも東証が資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等の要請を出しているなか、一部経営トップが株価はROEや純資産とは何の関係も無いなどの発言をしているのは残念でもある。

今月は3月期決算の上場企業が株主総会を開くが、先月末の段階で82社にこのストラテジックキャピタルはじめ314議案が提案されており本日段階で更に増加していることを勘案すれば過去最高を更新する見込みだ。それぞれ冒頭のストラテジックキャピタルの資本効率に関するものから、先月に当欄で書いたような環境に関するもの、企業統治に関するものなど多岐にわたっている。

ちなみに冒頭の6社は本日段階でPBRが低いところで0.60倍、一番高い企業でも0.83倍といずれも1倍割れに甘んじている。コーポレートガバナンスコードによりアクティビストファンドの提案は整合性を持つようになり、株主提案でも企業価値向上につながるとの判断なら賛成票を投じるなど機関投資家の姿勢もまた変わってきている。首の皮がつながった経営トップも賛成票減少が顕著になってきた事例も多く、真摯に彼らの意見に耳を傾けざるを得ない時代になったのは間違いのないところか。


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