量から質への転換
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さて、東京証券取引所の主要3市場に上場する企業数が2024年末時点で計3842社となり、前年度末から1社減る見通しであることが先週末に報じられている。上場企業数減少は大阪証券取引所の現物株取引が東証に統合された13年以降で初めてというが、この辺に絡んではちょうど1週間前の日経紙でも上場廃止する企業が今年は前年比33社増えて94社となる予定との記事が一面を飾っていた。
株式持ち合いが減少傾向にあり同意なき買収が成立し易くなっていることなどで企業買収が活発化し、経営の自由度を高めるためのMBOも増えている事などが背景にあるがMBOに関しては先月も当欄で取り上げた通り。東証が企業に対し資本コストや株価を意識した経営を求めている結果でもありその対応状況を開示するよう要請しているが、プライム市場の開示企業は先月末時点で約9割に達するなどこの1年で8割以上も増加している。
とはいえ取り組みの内容だけを並べる開示にとどまっているケースも多く、東証は先月に開示内容の質の向上を促す為「投資家の目線とギャップのある事例」を公表している。株価も正直なもので単に開示が進展するだけで上昇という局面は既に終わっており、具体性のない取り組みのみで定量的な説明が無いものは将来の企業価値判断にどのように寄与するのか判断が出来ないという点から一歩踏み込んだものだろう。
TOPIXにおいても今後は3市場を対象に入れ替え制が導入され、見直しに向けた判定として先ず来年2025年3月末に浮動株式数判定が控える。企業によっては政策保有株のような固定株売却等の動きが一層促進されるなどコーポレートアクションも出て来ようが、斯様に量から質への舵切りが鮮明になってきた事で米欧との比較で見劣り感の強かった新陳代謝も昨日書いたような上場銘柄の淘汰等も含め今後より一層促進されるか。