海外企業も“同意なき買収”成功

今年4月に当欄で一度触れた温度センサー最大手の芝浦電子が台湾の電子部品大手ヤゲオから“同意なき買収提案”を受けていた件だが、その後紆余曲折を経て一昨日には芝浦電子へのTOBが成立している。ホワイトナイトとして登場した国内大手企業が敗れた?のも衝撃だったが、これで海外の事業会社が日本国内のプライム上場企業に対して“同意なき買収”を成立させた初めてのケースとなる。

かれこれ2月から始まったこの争奪戦?、ホワイトナイトとして名乗りを上げたミネベアミツミと数度にわたる価格競争を繰り広げ長期に及んだ外為法の審査手続きをもクリアしての悲願のTOB成立となった。4月の当欄でこのTOB合戦を取り上げた時の芝浦電子株の終値は5550円だったが、結局最終的には株式応募は約87%にのぼり価格は1株あたり7130円、買収額は当初予定から1.6倍超にも膨らんだ計算だ。

前にも書いたが経産省は一昨年に企業が買収提案を受けた際に企業価値向上に繋がる真摯な提案を理由なく拒んではならない旨の「企業買収における行動指針」を策定しており、買収に関する潮目の変化から今回の買収劇はその辺を象徴しているともいえる。とはいえ今回の件ではミネベアミツミも一連の過程でヤゲオを上回る価格提示で対抗し戦いを挑んでいたものの、経済合理性で説明のつかない価格で競り負けた点を含め経済安全保障に絡む官民の役割の在り方など今後も課題となってこようか。


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