今やカタリストに

先週末の日経紙総合面には「アクティビスト、日本で稼ぐ」と題し、資本効率の改善など株主提案を通じて企業価値の向上を求める“物言う株主”のアクティビストの投資対象となった企業の株価上昇で、今年のヘッジファンドのリターンは世界平均の1.7倍に達するなどその戦略が奏功して儲けが急増している旨の記事があったが、IRジャパンの纏めでは日本に参入するアクティビストはここ5年で6割増加している模様だ。

アクティビストといえばかつての「ブルドックソース事件」くらいまで“ハゲタカ”呼ばわりでネガティブ視されていた時代ももう懐かしくなってきているが、株主を意識した経営が普及していなかった市場は彼らにとってかっこうのターゲットだったのだろう。ただ近年は徹底したボトムアップリサーチで企業改革やガバナンスに踏み込んだ提案が企業の変革を促す原動力の一つともなってきており、これが併せて機関投資家の賛同をも誘っている。

こうした効果もあってTOPIX構成銘柄のうちPBRが1倍以上の割合は東証の企業改革要請があった一昨年の約47%から先月段階では約63%にまで増加してきており、ROEなどを見ても約9%近くまで改善してきている。とはいえ米S&P500では4割の企業でROEが20%を超えている現状があり、こうした部分ではこれらの指標面でも伸びしろはまだまだ残しているといえるか。

これまで当欄では日本の証券取引所を2010年代には「インサイダー天国」、その後に「アクティビスト天国」と形容していたが、インサイダー天国はかつての手薄な証券取引等監視委員会から今やマンパワーや技術も充実してほぼ挙げられるようになり、アクティビストも上記のようにかつての“ハゲタカ”時代から近年の東証の改革要請の追い風もあり今やカタリストとしてウィンウィンの構図を企業と共に創造しているあたりかつてのマーケットから隔世の感を禁じ得ない。


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