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逆さ合併なるか

週明けの本日の日経紙一面を飾っていたのが、「東証・大証 来秋合併」というタイトル。予てよりかれこれ一年近く水面下で模索され折りに触れ当欄でも取り上げてきたが、報じられているところによると上限付のTOBで大証株の過半数を取得、合併新会社を持ち株会社と4子会社に再編という形で合併比率の詰めなどを急いでいる模様だ。

これら報道を受けた当の大証は本日買い気配から反発となっていたが、さすがにこの手の話も数を重ねるごとに当初ほどの関連株反応も鈍くなっている感じがするが、任天堂など大証がマザーのものも再度材料を蒸し返す動きで反発となっていた。

この件を前回8月に触れた際に、株式交換、TOB案、上限付TOB案の三案を挙げたが最終的には一番複雑な最後の案に落ち着いたか。今回は国策が掛かる特殊例とはいえ取引所がこの手の逆さ合併を敢行したことではたして今後一般が似たようなケースを持ってきた場合承認が緩くなるのだろうか?裏上場が緩くなるとまた如何わしいことを考える輩が出てきそうだが先ずは完結が先というところか。

ところで日経紙といえば、あの日立・三菱重工の経営統合と先走ったリーク以来「羹に懲りて膾を吹く」の如くなりを潜めていたが裏が取れたのか久し振りのリークを打ち出してきた。これでまたも前回のようになったらそれこそ萎縮してしまいそうだが、この先には懸案の商品取引所との統合案も控え国内再編は焦眉の急とされているだけに上手く纏まって欲しいところだ。


日本のコーポレートガバナンス問題

今週も株式市場は薄商いが続いているが、それだけに東電とオリンパスの商いがこのところ突出して目立つ。さて、これら何れも問題企業ながらやはり今が旬?なのはオリンパスか。本日は苦し紛れにとりあえず?の新社長が経緯会見を開いていたが、当初からどう見ても一連の買収劇は黒く映る。

大体においてM&AにおけるFAへの報酬として通常の30倍以上もの報酬とか、そもそも報酬で優先株の発行なんぞは聞いた事が無いし、国内3社の買収にしても売上高の数十倍の金額を買収に費やし翌年には減損処理など、漫画に出てくるような粉飾隠蔽紛いの処理は正気の沙汰ではないのは明白だろう。

何れ真相が明らかにされようが、蛇足ながら今回の件で急に思い出したのが上司の非合法行為を内部告発した同社社員を産業医診断を使い葬ろうとして問題になった件。今回の件と併せ内部告発者を暗に葬ろうとする体質と勘繰りたくもなる。それにしても元社長の解任からわずか2週間以内に社長が2度も交代する異例の展開。この辺は今週閉幕した第13回日経フォーラム「世界経営者会議」にて当初登壇予定だった疑惑の社長が欠席した段階である程度予感がしたが、それにしても異常事態である。

外人株主など一連の出来事が奇異に映っただろうが、奇異に映るのは何も企業に限った事でなく総理大臣が面白いようにころころ代わる国そのものもまた然りか。そんな国の企業統治問題が改めて露呈してしまったような気がする。



コマばかりの日足

昨日も一寸触れた「オリンパス」が怪しげな内情に本日も引続き乱高下となり、その売買代金も1,100億円超と商いの方もまたスゴイ。これだけで東証一部売買代金の軽く1割を超えているワケだが、こんな1銘柄で1割を超えられてしまう東証売買代金の方は8,400億円弱と連日で今年の最低を記録している。

この薄商いで動かないのが日中取引、毎度海外をそのまま映す形でマド空けのスタートが恒例で、引けてから日足を見てみれば一目瞭然でコマがパラパラと点在する有様。結果上記のオリンパスのような一部個別に一極集中してしまうワケだが、これらが平均を決めるというものでもなく要は海外が日経平均を決めているようなものである。

この辺に関しては、先週の12日付け当欄で「続く夜間の伸び」として末尾に「イニシアチブを取れる参加者が不在で、日本市場が自力でトレンドを形成することはないのが日中の実情であるとすれば、活況な夜間取引はその裏を見せられているようでもある。」としたが、まさにこれが実情。

しかし自国で動かない株というのも考えもので、この辺が改善しない限り証券各社の苦悩もまだまだ続きそうだ。


新ジャスダック一年

さて、今週で大阪証券取引所のジャスダック市場とヘラクレス市場を統合させた「新ジャスダック市場」が発足してからちょうど一年が経過した。当時もこれについて当欄では触れたが読み返してみると発足当時1,005社あった企業数は直近で970社に減少、これは2001年8月末以来10年ぶりの低水準という。

週明けには増加傾向にあるMBOについて触れたが、このMBOはもとより震災後の株価低迷で時価総額基準額が未達になったりまた財務悪化ありでIPOを横目に上場廃止もまた多くなってきている。そのIPOだが、リーマン・ショック後に失速したものの今年は上場予定を含め9月末迄で全取引所合計は25社へ増加。うち約半数がジャスダック市場であり斯様に近年では漸増傾向にあるものの、やはりピークから比較してみれば9分の1以下と心許ないのも事実。

また月曜日記の話に戻るが「フランフラン」を展開するバルスは、他のアジア市場での再上場意欲に関して時価総額が東証の3倍は見込める感触というのも理由の一つとして挙げている。他のアジア市場に活路を見出し流出組が増加、結果として上場企業数が減少の一途というのもダイレクトに活力が削がれよろしくないのは一目瞭然。

一年前に当欄では「今後IRやスタープレイヤーの発掘が非常に重要になってくる。」と末尾に書いたが、この辺に関しては日経紙ではジャスダック市場が未上場企業対象に独自に成長性や上場意欲を調査し上場予備軍発掘を強化しているという旨が載っていた。誘致も大切だがこうした撤退企業鑑みるにその後のケアもまだまだ再考の必要性があるのではないかとも思う。


MBOでも地盤沈下

さて、忘れた頃にポツリポツリと挙げられるが、先週には去る8月に上場廃止となったワインのエノテカのMBOを舞台にして、SMBC日興証券の執行役員がインサイダー取引の疑いで証券取引等監視委員会から強制捜査を受けた旨が報道されていた。

まあ、やはりこのMBOやらTOBというのは会社破綻と同様にインサイダー取引の中でもとりわけリスクが殆ど無い情報だけに甘い匂いに集まり易い。ところでこのMBO、先に日経紙に出ていたところによると今年1-9月のMBOは15社と昨年実績を上回り2011年暦年では3年ぶりに過去最高を更新する公算が大きいという。

前にも一度触れたがこうした動きには上場維持に必要なコスト負担も大きく絡んでいるし、長年株価の不当評価に嫌気がさしている企業も出てきた。同じ上場するならと、MBOで現在買い付け期間に入っているあの「フランフラン」のバルスなどは東証から脱退して他のアジア圏での上場を予定しているし、他の含みを持つ企業などもこれを追う動きがないとも限らない。

また近年の株安で長いこと東証はPBR1倍割れ云々と彼方此方から割安がいわれてきたが、所謂二番手、三番手の銘柄などの中には保有資産との絡みでどう見ても説明が付かない低水準のまま放置されている銘柄も少なくない。こうしたモノにもまた防衛策の一環でMBO案も出てこようが、そんな動きが次々と活発化すればそれはそれでまた投資家の株離れを助長させそうである。この辺は当の企業、また上記の通り取引所も人事で片付けないで双方の課題と考えるべきであろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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