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目指すメジャー

本日の日経紙企業面には、住友金属鉱山が2013年までにニッケル原料の生産能力を09年比で2倍の年7万2千トンに引き上げるなどその生産能力を倍増させる旨が載っていた。

ニッケルもレアメタルの一種だが年末年始の株式市場では、先にLME銅先物が度重なる史上最高値を更新している中でゴールドマン・サックスの出した非鉄や総合商社株にとってポジティブと書かれたレポート等にも刺激され、チタン関連株を始めとしてどれもこれもこの関連が物色され幅広く値を飛ばすものが目立った。

斯様に株価もこうした鉱物資源関連は引っ張りだこだが、今年もこれらの供給不安継続が必至な情勢の中で、昨年春先にも書いたように一部の大手資源メジャーはその価格交渉力において絶大な力を持っているのは周知の通り。そこで非鉄系でも上記の住友鉱など海外鉱山の株式保有比率の引き上げを図り、経営の積極化から非鉄メジャー入りを目指す動きになってくるといわれている。

こうした資源系の動きといえば、一昨年には国内石油元売り最大手の新日本石油と新日鉱HDの経営統合があったのを思い出す。この業界も下流問題からはては国際競争力激化を鑑み上流問題まで睨んでの将来のメジャーを目指す観点からの動きであったが、鉱山などは当然限りがあり何れ閉坑を迎えるときが来る訳でこうした流れも不可欠だろう。今後大手もこうした動きが顕著になり和製メジャーが幾つか出て来る流れになるか。


新興国猛迫

昨日の日経紙には「新・新興国」であるラオスで、上場2銘柄の世界一小さな株式市場が発足した旨が載っていた。初の株式文化スタートということで初々しいが、同所はKRX(韓国取引所)が49%を出資して売買注文の付け合わせや清算・決済など主要システムを全て提供している韓流市場という。

ところで取引所といえば先にWFE(国際取引所連合)が発表した統計によると、2010年の株式売買代金ランキングはトップがニューヨーク証券取引所で2位が米ナスダックOMX、3位が上海証券取引所となっていた。

さて、東証はというと3位の上海に注いで4位、これで09年に続いてアジアでは2年連続で2位であった。その東証の次に位置しているのが新興市場として活況を呈している深セン証券取引所であるが、下半期ではこの深センにも東証は抜かれておりその猛迫ぶりは際立っている。

国際金融市場としての地盤沈下がこのところ燻ぶっている問題だが、近年はMBOの増加や親子上場も少しずつ解消してゆこうとする機運もあり、この辺は国の独自の事情という点もありそうだ。ただ一部特異なオペレーションによって本来の新陳代謝機能がそがれてしまって来た部分なども問題であり、この辺はやはり今後も課題となるだろう。


100%超希薄化を買う?

昨日は新型の増資手法規制を大幅緩和との報に触れたが、この増資といえばお決まりのファイナンス発表で株価急落という構図から、まだ事例が少ないとはいえ今年は年明けからファイナンス物の銘柄の動きが変わってきている。

直近でやはり目立ったのはJVC・ケンウッド・ホールディングスだろうか。ファイナンス観測が出て直後の寄付きでこそ軟調を強いられたものの、あと急速に切り返し翌日からは二日間連続のストップ高という離れ業をやってのけた。勿論、売り規制やJPモルガンのニュートラルからオーバーウエート評価で目標株価の引き上げ等の追い風もあったと思うが、それにしても破竹の勢いだった。

このケンウッド効果もあってか、前代未聞の現在の発行済み株式を上回るという100%超の希薄化増資を敢行するりそなHDまでが先週末にかけて急騰したのにはさすがに驚いたが、週明けはやはり裁定された。先導したケンウッドも所謂踏み一巡で結局本日はストップ安まで叩かれているが、先に上げが来たあたりに地合の変化も感じられる。

個別では動きが止まれば話題にも上らなくなるだろうが、執拗なメガバンク群の堅調相場も単なる大手証券が設定する投信の思惑だけではなさそうである。斯様に昨年のファイナンス組でも再騰の芽が出てきているモノありで、規制具合にも因るが腕に覚えのある個人には買いでも売りでもまた張り甲斐のある相場になってくるか。


rightsissue 創成期

さて、昨日の日経紙一面トップには金融庁が企業が既存の株主に新株を購入する権利を渡す新型の増資手法の規制を大幅に緩和する方針と出ていた。この件の対象になるのは「ライツ・イシュー」、既存の株主に新株予約権を無償で付与、増資に応じる向きは権利行使し現金を会社側に払い込み新株を得る。反対に応じたくない向きは予約権を売却し現金を得て権利落ちのカバーが出来るという構図。

このライツ・イシュー、かつてはみずほFGなどでこれに絡んだ思惑が出て昨年の5月にはこの辺に一度触れた事があったが、実際の実施例としてはちょうどこれを取り上げた時期のタカラレーベンの一件。この実施に関してはオーナーやその関連などの安定株主が約半数な為ある程度纏まった権利行使が予想されていたものの、蓋を開けてみたら約95%と予想以上?の転換比率となったのが一寸した話題になった経緯がある。

さて今回の緩和策ではディスクロルールをネットでも可能にしたり、新株予約権の証券会社による買い取り規制の緩和などを盛り込んでいるが、この証券会社に関してタカラレーベンの場合は所謂ノンコミットメント型であった。このタイプは今後どの程度の割合になるか判らないが、相対で増資決定可能というのも問題がないわけではない。

斯様にまだまだリクイディティーが限定的という問題や、引き受け等の課題もあるが、これらがどんどん台頭し、先の公募増資前のカラ売り規制など整備されればいよいよかつて横行した「公募増資利用型手法」などというお手軽裁定も自ずと今後は消えるのだろうなとふと思う。


未公開株の公開

本日のビッグイベントといえばやはりあの大塚製薬の上場であっただろうか? 4月に上場した第一生命保険に次ぐ時価総額や市場からの吸収金額共に、先のポーラに続く知名度抜群企業の大型上場であるが、その注目の初値は公開価格2,100円に対して70円上回る2,170円で寄った。

700万株近くの買いもので気配切り上げのスタートとなっていたが、セカンダリーの催促なのか大口売りが出て10分程度で寄りあとザラバ2,200円超と堅調、グレーマーケットでもそんなに派手な話題は無く初値が市場予想よりも下鞘であったのも予想範疇だが、同社関連の地銀など価格リンク思惑で物色の色が感じられたり、グループ製薬会社の行動にも思惑が募る。

また、先の第一生命保険も下落時にはバイアスの掛かったリポートに恨み節も出たものだが、今回は各社どう出てくるか。ともあれこれを基準として年末相場を盛り上げることが出来るかどうかが今後注目される。

ところで同社といえば、ザッと挙げても家庭薬の「オロナイン軟膏」、食品では「オロナミンC」、「ポカリスエット」、「カロリーメイト」、「ボンカレー」等々というまでもなく上記の通り知名度は抜群、それが逆に利用されて一頃は傘下の未公開株式がいろいろなマーケット?で悪用されその仕入れ価格?も他社の群を抜いていたものだ。本日初めて公正な価格を見た今、その思いもまた人夫々だろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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