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日経平均VI先物開始

本日から3月入りとなったが、今週は週明けからAIJやらエルピーダメモリ破綻やらと話題が多くマーケットの方もこれら睨んで比較的場中はボラタイルな動きが多くなった。ところでボタライルといえば、今週は週明けから大証で日経平均ボラティリティ・インデックス(日経平均VI)を対象とした先物取引がスタートしている。注目の初日は取引高が49枚、初値は3月物で23.50、終値は23.25となり大証は初日としてはまずまずの取引量としている。

この日経平均VI、ご存知の通り一昨年から算出・公表を開始した投資家が予想する将来の株式相場の変動率をオプション価格を使って指数化したもので昨年まで終値ベースで算出されていたが今年からリアルタイムで表示、リーマン・ショック後には92.03まで上昇、また昨年の大震災発生後には69.88を付けた経緯がある。以後昨年12月以降は20をやや上回る水準で推移しているが、VIX同様なかなか使えそうと期待する向きは多い。

この恐怖指数系では既に大証で一昨年12月から国際投信が運用する米VIX指数を対象にしたETF(短・中期)が上場しているが、今回は日経平均VIを元にした商品で日本初となる。今のところ機関投資家向けのスタートだが、商いの状況を見て夜間取引を実施するか検討するとのことで、今後これら含めどういった枝葉が出て来るか注目。

ところで新商品といえば今月から大手ネット証券で、コメ先物のオプションを証券化した「eワラント」の取り扱いを始めるという報も今週あった。まあ先物と違ってその証拠金は驚くほど安いわりに相場のボラは大きく反映してくれ、ワラントだから追証もなければ元本以上が飛ぶ危険もない非常に面白い商品。胴元は移管巡っていろいろ迷走だが、横では日進月歩で商品が登場しておりこの辺はまた後述することにしよう。


二つのデッド

さて、本日の日経平均株は引け際に急速に伸び悩み往って来いとなってしまったが、その中身の方は二部市場の昔懐かしい銘柄の乱舞や、中盤で昨日記のエルピーダメモリが完全合致で寄ったことでお祭り状態、朝から外は雪が吹雪いていたものの、こちらの方はまさに熱気ムンムンといった様相であった。

数億株の商いがエルピーダに集中するのは目に見えていた環境のなかで、東証も重ね重ねの失態はこれ以上マズイということでアローヘッドの再チェックなのかどうか昨日は深夜になっても煌々と明かりが点いていたが、今日は同所の約定値段が決定されるまで呼値の値幅制限を適用しない旨の決定で朝からアンダーには10億株近い注文が這わされていた。

そんな板だったから果たして5円で寄付いたあとはもう鉄火場、後場にはメデタク?11円まであり久しぶりの火遊びで資金倍増を満喫した向きも多かっただろう。しかし、昨日の日経紙にはエルピーダメモリの現状をデット・ハングオーバーと表現していた箇所があったが、さしずめ本日はデット・キャット・バウンス狙いで資金が集まったといった感じ。更正法前ならずパンク後にこんな形で資金が集まるなどなんとも遣る瀬無い感が漂う。


商品と土壌

週末の米雇用統計が好感されての海外株高を受け週明けの日経平均は反発、今週は心理的なフシ目にすぎないものの9,000円の大台に期待する市場関係者も多い。今日は輸出・金融が活況であったが、コア系の盛り上がりで普段はおとなしいETFもジワジワと盛り上がってきている。

ところでこのETF、先週の日経紙夕刊のなるほど投資講座にも「基礎からわかるETF」として商品特性などの説明もなど出ていたが、週初の末尾には「〜市場全体として売買の厚みが乏しい点が課題です。1日の株式売買代金に対するETFの割合は1%程度で、約2割ある米国とは大きな開きがあります。」と書かれていた。

胴元の東証も、海外で取引が活発なレバレッジ型・インバース型指標への連動を目的とするETFの上場を可能にし、市場活性化を通じた国際競争力の維持・向上を図るということでETFの法整備を進めると先に発表しているが、前になかなか根付かないのはこの辺はやはり手数料面という問題から販売側の都合にも起因するというのをコメントした事があったと思う。

他、上場後の個別を暫く見て思うのはアービトラージ機能だろうか?この辺のコミュニティに厚みが出てこないうちは乖離修正も緩慢としたものになり、ある意味ビジネスチャンスに成り得るものも放置されているという矛盾した商品になってしまう。商品はもとよりこうした土壌の部分にも左右されるということも胴元側としては把握しておいたほうがよいだろう。


連れ高SNS関連

週明けの日経平均は円の高止まりや海外株安を受け3日続落、そんな中で朝方から買い物を集め大幅高で寄ったのはデジタルガレージ。これは先週末にSNS最大手の米フェイスブックが2/1にもIPOを申請する方針と米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じ、日経紙にも載っていたが早い時期から同社に出資していたとしてにわかに同社が物色されたというもの。

さてこのフェイスブック、もともと既存株主数も一定ラインを超え証券法の元では強制的公開の時期に来ていた折、セカンダリー・マーケットでの売買にも規制がかかりいよいよとされていただけにやっとというところだが、その規模は下馬評では米ネット企業としてはあのグーグルをも抜き過去最大となる見通しでマクドナルドにほぼ匹敵、日本企業で言えばNTTドコモクラスというから注目である。

とうワケで値決めもどの程度になるのかにこれまた関心が向かうが、米でも日本と同じようにこのIPO申請報道から昨年当欄で取り上げたリンクトイン等のネット系が一斉高となっている。成熟期に入っているだけによくありがちな大物公開でブームが天井ということもあり得、上記のデジタルガレージにしても暴落相場の中で敢行した公募の価格が壁として控えておりこれを舐めにゆくような相場がはたして持続できるのかどうか?この辺も見ておきたいところ。


仕手系ミニバブル

さて、本日の株式市場は3営業日ぶりに反落となったが、出来高累計帯ほか昨日は騰落レシオも大発会以来の120超となっていただけにモタつくのも自然なところか。ただ、個別では今週目立った点といえば低位仕手系の乱舞で商いの回転が非常によく効いたということだろうか?

仕手系といえばもともとは兜町をかつて一世風靡した某氏が久し振りに動きだしたとの煽りで大証銘柄が腕に覚えのある一部個人を惹き付けていたが、その後全員参加型の復興関連が順次立ち上がり、今週はその流れで橋梁、その次が海運、倉庫とテーマに乗って順番に個人好みの飛び付き易い銘柄が乱舞、株式投資から遠ざかっていた個人投資家がにわかに戻り始め裾野が広がってきた様相を呈している。

個人投資家といえば日経紙のマーケット面で、個人の投資意欲鈍るとして信用取引残高がリーマン・ショック後の最低水準を更新し、約8年7ヶ月ぶりの低水準まで減少している旨が乗っていたのが先週18日。また、20日付けの同紙には個人投資家が4週連続で売り越しとも出ていたが、いつもながらこの辺のこうした日経紙の報道は目先底入れの指標になるが果たして今回もといった感もある。

このなかで直近アッという間に株価3倍増超したのは日本橋梁や宮越HDのような非貸借モノがズラリ、規制の入らない分メチャクチャやれるというところだろうが、今週の相場は貸借モノも株不足を背景に駒井ハルテック然り共栄タンカー然りでなかなか面白い相場を演出してくれた。貸借モノは当局がすかさず規制を発動する経緯から、これでは相場も一日天下との認識が定着していた分この手のモノはカラ売りを誘導し易くなっていたワケだが、漸く逆にそれをテコにするエネルギーが出て来たとも取れこの分野のミニバブル再来に今後一寸期待したい感もある。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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