亡霊

渦中のオリンパスだが、週明けの本日は一転して買い気配からストップ高の比例配分となった。これは勿論のこと証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反容疑で法人を刑事告発せずに、課徴金納付命令の金融庁への勧告にとどめることを検討していることが分かったと一部で報じられた事に因るもの。これで上場廃止基準に抵触しないということになると上場存続の期待が当然出てくるワケで上場廃止を織り込んだ売りがそっくり買いに回るという単純な構図で、似たような境遇?の大王製紙まで今日はストップ高まで一時買われる始末。

何れもこの先どういった結末になるか東証等の胸先三寸だけに一般的には分かりようもないが、監理銘柄で売り禁になっているだけに売り方なんぞは利食いしてしまえば解禁になるまでもうショートを持てなくなり、その前に一転上場廃止ともなれば尻尾までいただく快感を逃してしまうということで悩ましいところか。まあこれは買い方にしてもそうだろうが、投信から政府系ファンドまで今のところトッとと処分した向きとジッと耐えている向きとで二分されており各々の性格が出るというものだ。

しかしこの件、先月に当欄で触れた際に「漫画に出てくるような粉飾隠蔽紛いの処理」とコメントした通りそのままの漫画のような結末であった。公の前で笑いものになっても黒い物を白と言わなければならないサラリーマン社長の悲哀を会見では感じたが、今頃こんな事例が出てくるとはまさにバブル期の亡霊という表現こそ相応しい。街では今迄書いてきたようにバブル期の象徴であった物が次々消え行く昨今、今更ながらこの当時の副産物が表面化するとはある意味感慨深いものがある。

こんな古典がこれまで通用したのも独裁国の如く企業も長期政権ならではの為せる技であったのだろうが、彼方此方の独裁国がおかしくなってきているように綻びが露呈するのも時間の問題であったか。しかし先に書いたようにコーポレートガバナンス然り、日本有数の大手監査法人にしてもこんな事例が上手くスルー出来るなら国際的な信頼性も失墜するということになる。またこの先には東証としてどう処分付けるか、大証との統合でこれから新しい一歩を踏み出そうという中、その結論にもまた注目が集まる。


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