139ページ目   株式

夏枯れ

本日の日経平均は後場から軟化し3日続落、出来高は14億7,667万株であったが出来高といえば昨日は今年最低の12億5,400万株にとどまった。FOMCを控える中、全体の取引を牽引する外人勢が既にバカンス入りしている上に国内もお盆の時期と相俟って、今年1月のピークと比べると4割弱の水準にまで落ち込んでいる。

こんな相場ではセルボラ仕掛けの向きなんぞは売りっ放しで順調なほど全般低調ぶりが目立つが、共に直近のIPOインデックスも週明け段階で前週末比231ポイント安の39,262ポイントとなり6営業日連続で過去最低を更新した。この薄商いの中で相場の弱さもあるが、やはり新規上場の減少が響いている部分も大きいだろうか。

この新規上場についてはまた後述するが会員の窮状もまた然りで、商品業界同様に対面は店仕舞いスレスレの状況が続き、リーマン・ショック以降は知り合いのコミッション連中から引退する旨の手紙をもらう回数も増えた。岩井とコスモは紆余曲折の末に合併まで漕ぎ着けたが、今後も上場組に係らずこの手の動きは継続されようか。

昨年末にも書いたが一発で稼げるプライマリーの恩恵にありつくのが難しい中小組はそれこそ同所のIPOに大きな望みを賭けているのだが、斯様な現状を見るにつけ先行きの上場含めて暗雲漂う気分になるのは否めないか。


意識改革

先週には大手証券5社の4-6月期決算が出揃ったが、最大手の野村HDなど市場混乱の影響から法人部門が411億円の赤字に転落、最終利益が前年同期比79.7%減と大幅減益となった模様である。ところでこの野村といえば、先週から傘下のチェイエックス・ジャパンが証券取引所を仲介せずに株式売買を行う私設取引所であるPTSを開設させている。

このPTS、初めて当欄で触れたのが4年前の2006年にカブ・ドットコム証券が国内初の同市場を創設した時であったが、その後は同様にネット系が続々と参入するに至った。このカブ・ドットコム証券は今月から注文取次ぎ1秒超なら手数料無料にするサービスを開始するが、今この後発組が注目されるのはやはりこうした注文処理速度があの東証が新稼動させたアローヘッドをしのぐ4倍もの早さを備えている点も大きいか。

欧州では同系列が僅か数年でユーロネクストをも上回る最大市場に伸し上がった実績があるが、現況でPTS市場は補完的な役割を担っていたが東証アローヘッドの稼動によってヘッジファンド等の取引が東証に流れはじめている。同市場稼動によって流出した顧客が再還流、延いては立場逆転して上記のような成長を遂げることになるのであろうか?

ちなみにこの新PTS、初日の売買代金は1億円強にとどまるスタートとなったが、斯様に各所における執行速度がシェア獲得の要となってくるのか、また先に東証の昼休み廃止論に触れたがこの辺も対応策の範疇に入るのかどうか今後の東証の出方も併せて注目しておきたい。


減配示唆?

本日の日経平均は主力大型株のカバーから先物もCSなどの外資勢大量買いが入って大幅反発となったが、先物といえば今朝日経紙マーケット総合を眺めていた時に株価指数/オプションの欄のレイアウトが何か変わっているなと思ったら、日経300先物の欄が消えて新たに配当指数先物が入っていた。

あまり各紙の金融面でも大きく取り上げた処もなく何時の間にか通り過ぎていたが、そういえば今週の月曜日からこの「配当指数先物」3種が東京証券取引所に上場されていたなと。この配当指数先物については春先にも当欄で取り上げた事があったが、初日は日経平均型で2010年12月物は172円、2012年12月物は150円の初値が付いた。

先月にはシンガポールで先行上場しているが、いろいろ並べてみるとおもしろいことにアナリストの増配予測とは逆に減配気味とも取れなくもないが、企業業績とは必ずしも連動しなく経営サイドの裁量に委ねる部分もあるだけに思惑が交錯しそう。

一方、提供側としてネット系証券などは対応に前向きなところから後ろ向きなところまでさまざまだが、投資家層の広がりが無ければ当然リクイディティー確保も覚束無くなるわけで今後の動向に注目だ。ところで、何時も思っているのだが日経紙のレイアウトといえば商品先物欄もいい加減取組の無いものなど掲載廃止して別な構成にする等させたらどうか?まあ余談ですが。


猛暑関連等々

さて、昨日も書いたが今年は先週から暦通り大暑を挟んで猛暑続き、各地では熱中症が相次ぎ救急車出動件数も連続で最多を記録している様が伝えられている。昨日の鰻もある意味猛暑関連?だが、夏枯れの株式市場もこのあたりから猛暑関連が物色されていた。

先ずエアコン物ではユーロ安や景気先行きの不安もあって中国絡みの一角でズルズルと下げていたダイキン工業が急浮上、同業低位では富士通ゼネラルもエアコン活況の時は必ず顔を出す。このエアコンが復調ならば家電量販、そしてフル稼動となれば電力系、外へ出れば日傘のムーンバット、外で思わずビール関連、そうでない派は清涼飲料からアイスクリーム関連、飲料系需要増なら製罐関連、はては冷蔵庫関連にまで連想買いの足跡が見られる。

ただ個別で見れば上記のビール関連でも直近まで年初来安値を付けていた物ありで、何処まで継続性があるかだが、第一生命経済研では東京・大阪の7-9月期の平均気温が1度上昇すると個人消費を4,333億円押し上げると試算している旨をロイターの記事で見掛けた。

そんな折、気象庁は28日から8/6にかけて特に厳しい暑さになるとみて「異常天候早期警戒情報」を発表、また、8〜10月の3ヶ月予報も全国的に残暑が厳しい旨の発表がされているが、昨日は日本電機工業会が白物家電の6月国内出荷額が前年同月比6.2%増の2,388億円と2ヶ月ぶりのプラスになったと発表。このあたりから回復傾向が裏付けられることになるかどうか注目である。


昼休み廃止論

今週は大証がイブニング・セッションの終了時間を従来の午後8時から同11時半まで延長する事になったが、初日はイブニング・セッション取引高全体の約3割が延長した午後8時以降の取引であったなど順調にスタートした模様である。

さて取引時間延長といえば、本日は各大手紙で東証が現在午前11時から午後0時半に設けている昼休みの撤廃を含めた取引時間の拡大について検討に入った旨が報道されていた。アジア市場では上海など同様に昼休みを設けているが、欧米主要取引所は昼休みを設けないのが主流でグローバルな流れからもそういった機運になってきたか。

まあそれ以前に上記の大証との調整もあるのだろうが、巷の意見は様々。昼休みがどうこうと原始的な反対論から、前引け後場寄りのギャップでスキャルピングやっている向きも多くこの辺もアンチ派?ただアルゴリズム取引の台頭で昔のように板読みが出来なくなってきた部分もあり、この手のディーラー勢はまたネタ?が消える。また、企業も昼を利用していたディスクロ対応など再考の余地が出て来るだろう。

とはいっても今や場立ちや笛吹きも無くなり、超高速対応のアローヘッドが稼動する時代、SGXも稼動する中ギャップ自体も元々不完全からくる歪みともいえる。連休分割論でも取引所のあり方が論議されているが、時代の趨勢で流れはそういった方向がやはりお約束になってゆくのだろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

12

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31