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アジア中核市場は何処に

さて、日曜日の日経紙経済面にはアジア・太平洋地域の株式市場の売買代金に占める東証のシェアは1〜4月に25%まで落ち、約12年ぶりの低水準となった旨が載っていた。

金融危機の影響とかで投資家の売買手控えが他より目立ったというものの、東京の地盤沈下懸念は先にも述べた通り暫く前からいわれている事でありここ外国企業含めて撤退も続いている。取り急ぎ?の規制緩和等ではたして地盤沈下の速度は緩むかどうかその寄与度も未知数である。

同じ1〜4月でも上海証券取引所などそのシェアは27%と躍進してきており、迎え撃つ東証としては撤退組を補完するというかこの辺の誘致策としてはAIMなどを打ち出すが、これが失敗でもしようものなら同じアジアでも上記のようにそのシェアを伸ばして来ている上海などにアジア中核市場の座を奪われかねない。

時価総額ベースでは依然優位に立ってはいるものの、始動したAIM含めて今後の動向を注視しておきたい。


楽観論と実態

本日の日経平均株価は米市場がメモリアルデー祝日で休場であった事などもあって手掛り材料難から小動きに終始したが、そんな中を直近で増資発表していたテイクアンドギブ・ニーズなどがストップ安まで叩かれていたのが目立っていた。

むろん新株発行によっての株主価値の希薄化、株式需給悪化が嫌気されたのは明らかであるが多くの企業はそんな目先?の事よりバランスシートの問題が重く圧し掛かり背に腹は変えられないといったところだろう。

先週末の日経紙には資金調達が最悪期を脱するとの旨が載り、日銀総裁も記者会見では「緊張感が後退している」ともしているが、一方でここからは決算が過ぎた後の格付け動向が気になるところ。昨年からの不動産業界を見るまでもなく格付けなど一寸の信用低下で市場からの資金調達の景色はガラリと変る。

資金調達が最悪期を脱したとした同紙にはまた三菱UFJの劣後債が個人マネーに人気で完売した様子も書いてあったが、こうした一部個人マネー回復期の恩恵を享受出来るのもこうした一部のみ。こうして起債出来る向きはいいが、一通り嵩上げしてきた株式相場同様にここからは格付け絡めて今後もこの雰囲気が維持されるかどうか注視しておこう。


有名無実なコンプライアンス

本日はセシールとLDHが資本・業務提携契約解消の運びとなったが、直近でフジテレビが旧ライブドア傘下であったこのセシールを買収すると発表した事によるもの。

この買収は放送業の広告収入が落ち込む中を放送外収入の増加を狙ってのものだが、ライブドアといえばフジテレビ傘下のニッポン放送株買占めでこのフジテレビとはさんざん争った経緯は周知の通りで、時は過ぎて今度はフジテレビがライブドア傘下のセシール株TOBとなにやら因果を感じる。

さてこのセシール、別なニュースでは家電屋で問題になった例の障害者郵便割引制度の悪用が直近で発覚しており、本日はこうした件から日本郵便支店長ら二人に逮捕状が取られる事態となっている。

しかし広告会社から「法的に問題ない」と説明され利用したとは言うもののこんな吹き込みをそのまま受けるなどコンプラ体制は存在していないも同然、それは企業側のみならずそのままスルーさせていた郵便事業会社もまた然りか。たまたま上場企業だから大きなニュースになっているが、金融系でもコンプラは徹底させていますというところほどある部分だけ躍起になって他は全く穴だらけという企業が多いのが現実だ。


この国にしてこの企業

本日の日経紙国際面にあったのはGM株が1933年以来76年ぶりの安値にまで沈んだという件、なんでも直近で同社幹部6名だか7名だかが保有する自社株を全て売却したというからマーケットで売りを誘うには充分であっただろう。

オバマ政権が設定した再建策提出期限を控え思惑も募るところだが、一般的にはビッグスリーの一角であるところの大手クライスラーが破綻に追い込まれたあたりから、この一連の動きはGMを視野に入れたリハーサルではないかとの噂しきりであったし、事実その債権者の規模等々を考えるとそういった結論も自然だろうか。

そもそもCDS等でヘッジを掛けている債券のホルダーはその回収価値を視野に入れ株式化なんぞにホイホイ理解を示すよりも、いっそ破綻処理させてしまう方を望むのはリカバリーの観点から合理的である。

しかし前にも書いたがゼネラルなどとたいそうな名前だけあって、事ある毎に都合が悪くなると政府をその都度動かして規制操作させてきた暴挙もそろそろ限界か、この企業ほど大国の体質を如実に表しているものはないと思う。


相場頼み?

なにやら新システム稼動4日目にしてTOCOMも大変な事態になっている模様だが、そのTOCOM系銘柄が軟調な入電であった事からロンドンではこの手の商品株が売られ東京市場も総じて似たような展開であった。

またこの系統では商社株もあるが、週末に出揃った大手総合商社7社の09年3月期決算は純利益が軒並み二桁減、来期も減益予想が目立つという厳しい数字が並んでいた。

さて商社といえば一年前の今頃を思い出すと、原料高に多くの業界が苦しむ中をこの大手では6社が最高益を更新しまさに一人勝ちの状況であったのが記憶に新しい。そんな一人勝ちの状況にヤッカミも多かったが、当時は低価格時代の資源投資で大きくリスクを取った結果のリターンだと商社側は口を揃えたものだ。

しかし当時値上げで妥結した価格交渉もあって09年も安泰視されていた企業もあるが、こうした企業ほど株式急落に直撃され多大な損失になったという変な因果も。今後は価格乱高下で業績が変動しないよう資源から非資源へと軸足を移すとの声もあるが、このポストはやはり相場とは切り離せない証券株にもある部分似ているもの、そうした事からも各社今後の投資分野がまた注目される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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