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統治改革の後押し

本日の日経紙マーケット面には「親子上場 逆説の物色」と題して、コーポレートガバナンス改革が求められる中でコロナショックによって株安が進み、親会社が株式を取得し易くなるとの見立て等から親子上場の解消が私募ファンドなど投資家の新しい物色先として浮上している旨が出ていた。

同紙では大和証券がTOPIXに対する株価騰落率の平均値を18年末100として指数化した結果が書いてあったがもう一つ、TOBで親子上場を解消するケースでは2000年4月以降では発表前からその後60営業日でTOPIXに対して子会社が約30%、親会社でも約10%上回るパフォーマンスを上げたという同証券の調査もあり斯様に物色対象として定番化しつつある。

しかしここ10年くらいでも親子上場は確実に減少してきており、そのペースも速くなってきている感が。ちなみに昨年末時点で親会社が上場している上場企業は273社、14年度末のとの比較でも約10%減少している。企業統治改革はもとより親子上場が増加してきた時と今とでは手元資金や金利など背景も一変しており今後も3解消ペースは衰えないだろうか。


憂慮か杞憂か

昨日から一転し往って来いの反発を見せた本日の日経平均だが、週明けの昨日急反落となった背景には前場に日銀がETF買い入れの目安の一つにしているとされるTOPIXが前週末終値に比べて約0.5%下げたにもかかわらずETFの買い入れが為されなかったのも一因とされている。斯様に影響力の強い日銀の買いだが、鯨的存在には東証一部最大の大株主GPIFもある。

このGPIF、先に日本株の基本ポートフォリオを25%で据え置くと公表しているが、約90%のパッシブ運用のうち70%以上をTOPIX連動型のインデックス運用をしているとされる。気になる成績だが今年は新型コロナウイルスの直撃を受け1〜3月の損失額が四半期としては最大に膨らむ見通しという。

こうなると一般的に心配になるのが年金という事になり、先の日経紙にも出ていた通り国債等に振り向けるべきとの慎重論も出てきそうだが、一辺倒では枯渇リスクもありこれまでの累計黒字を考慮するに破綻懸念は杞憂という感もある。こうした時期だけに断片的にスポットで見るのではなく過去と照らし合わせマクロな視点で捉える事も肝要か。


コロナ関連の賞味期限

昨日は新型コロナウイルスの感染対策として企業のテレワーク導入の動きなどに少し触れたが、本日の日経紙市場点描には「在宅勤務関連に思惑買い」と題し、メルコホールディングスやアイ・オー・データ機器など在宅勤務関連需要が期待出来る企業への資金流入が目立っている旨が書かれていた。

ここ戻り急な相場だが疑心暗鬼の戻りの中でも斯様に新型コロナウイルス関連が物色される動きが続き、上記の他にも直近では新型コロナウイルス治療薬として効果が期待され200万人分の備蓄を目指すとした富士フィルムのアビガンの原料となるマロン酸ジエチルを供給するデンカが週を跨いで連続ストップ高と破竹の勢いである。

他に変わり種?では外出自粛の動きからの巣ごもり需要に加え感染症拡大で子育てに不安を抱える人が増加しているとの思惑も囃しオカモトが3月中旬から9営業日連続続伸となり約3割強の上昇を演じるなどしていたが、この手のテーマ株の持続性は新型コロナウイルス終息の如く見極め辛いのは過去の感染症パニックの時と同様か。


延長彼是

さて、年度末の日経平均は年度ベースで2017年3月以来となる19,000円割れで年度末を迎える事となったが、新年度入りも下げ幅は一時1,000円超の場面があるなど大幅に3日続落した。一昨日の配当落ち分は200円弱とされるが、今年は新型コロナウイルスの影響で配当基準日が事業年度末から変更となる可能性もあり東証から注意喚起も出ている。

さて、コロナの影響で上記の配当もそうだが優待もまた一昨日の夕刊一面にも出ていたように外食チェーン各社など優待で配布している食事券の有効期限を相次いで延長し始めた。この外食チェーンの中では唯一株価の底堅さが際立つマックが1ヵ月延長、すかいらーくHDは同2ヵ月、物語コーポは同3ヵ月と外出手控えに配慮した形となっている。

ところで新型コロナウイルスの影響による延長といえばもう一つ、東証は新型コロナが原因で企業が債務超過に陥った場合の上場廃止までの猶予期間を1年から2年に伸ばす意向だが、既に株価の急落で時価総額ベースの上場廃止基準に抵触しているモノも中小型系で彼方此方出て来ており終息が現時点では見えてこないだけにこちらの緩和も致し方無しといった感じか。


国内2例目

さて今年の1月に何度か当欄で取り上げた渦中の東芝機械だが、注目されていた同社の臨時株主総会が先週末に開催され株主の過半数の賛同を得て旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスに対する株主防衛策を可決することとなり、これを受けた同社株は先週末日経平均が急反発するなか逆行安を演じていた。

前田道路と共に時期を同じくしてその行方が注目されていたこのTOBだったが、取締役会ではなく株主総会で有事導入型の買収防衛策の賛否を問うたパターンとしては当時同じくスティール・パートナーズがTOBを仕掛けていたブルドックソースが思い出されるが本件で2例目のケースとなるか。

ともあれこれによって投資ファンド側は実施中のTOBを撤回する見通しとなったものの、既に昨年事前警告型の導入を廃止していた点の問題視やこのガバナンス重視の時世で勝算は低いのではとの観測も一部にあったが、議決行使助言会社間でもこの辺に関して見解は分かれており株主との対話に関し課題を呈するケースとなった事例の一つとなろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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