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ウルフパック戦術

一昨日の日経紙法税務面には「不意打ち買収に規制の隙」と題し、複数の投資家がひそかに協調して企業の株式を買い集め、時期をみて一気に経営権奪取を図るいわゆるウルフパック戦術なる動きが日本でも注目されている旨の記事があった。これと似た名のレストランが思わず頭に浮かんでしまうが、現在の大量保有報告制度などの制度の緩さが背景にあるとの指摘があるようだ。

買収防衛策として新株予約券の無償割当が盛り込まれこれが発動されるケースがあるが、このウルフパック戦術を使えば上記発動のケースでも一般株主を装って新株予約権を行使して株式が交付され、この経営権奪取を試みるグループ全体としては議決権の希釈化リスクを回避する事が可能になる構図だ。

会社側もこうした工作を暴くべく躍起になって証拠を押さえる作業に奔走するワケだが、日経紙に事例としてナガホリと共に挙げられていた東証スタンダードに上場するプラスチック成型の三ツ星のケースでは、新株予約権無償割当の対象外となる非適格者が広範に及んでいた事などが問題視され会社側の買収防衛策は裁判所から差し止めされた経緯がある。

斯様に株主間の協調行為を第三者が立証するのは難しさを極めるだけに、金商法の改正を視野に入れ大量保有報告制度含めたルールの見直しなども喫緊の課題となってくるが、これまでに狙われた企業などをみるに低PBRの中堅上場企業がターゲットにされているケースが多く企業側もこれらの指標向上を図るべく経営意識を変えるのに努めるべきだろう。


ヤレヤレの本気度

さて、先週は東証プライム上場の東京都競馬が突如としてストップ高を演じる場面があったが、この背景には直近の大量保有報告書で香港投資ファンドのオアシス・マネジメントが8%超の株式を保有していることが明らかになった事がある。オアシス・マネジメントといえば直近ではフジテックの取締役解任劇を巡っての大バトルがなかなか見応えのあるものだったのを思い出す。

斯様な実績のあるアクティビストの登場だけに株価の方も期待値先行で反応したとも思えるが、いわゆる物言う株主が保有している企業群の意欲的な中期経営計画発表がここ相次いでいる旨が先の日経紙にも出ていた。いずれの企業も総還元性向において具体的な数字を挙げてきており、株価の方もそれに準じて少なからず上昇を辿っている。

冒頭の東京都競馬のPBRは昨日時点の東証プライム全平均のそれを超えてはいるが、上記のアクティビストが保有している銘柄群のPBRはいずれも1倍を割り込んでいるものが殆ど。先の株主総会でも多くの企業で増配や自社株買いの還元要求提案が目立った模様だが、東証のPBR是正要請とも相俟って世界基準との乖離を埋めるべく今後も要求が強まるのは想像に難くなく各企業の本気度もまた試されそうだ。


4月IPOスタート

本日より4月のIPOがスタートしたが、その第一号となったのが本日東証グロース市場に新規上場となったキャッシュレス決済サービスのトランザクション・メディア・ネットワークス。注目の初値は公開価格930円を49.2%上回る1388円と好調なスタートとなったが、公開株式が多い割に下馬評を覆す意外?な初値が付いたといえよう。

このTMNはそこそこな吸収金額であったものの直近公開モノは小粒だったこともありなかなかの化け具合となっており、先週末に東証グロースに上場したAI活用DX事業のFusicは初日は買い気配で値が付かず、週明けに寄った初値は公開価格2000円の実に約3.3倍となる6530円のロケットスタート。あと利食いでダレて引けるも本日は改めて買い直され一時ストップ高を示現した。

これに限らず3月上場組のIPOは破竹の勢いが目立ち、ソフトウェア検証の日本ナレッジや同日IPOのスマホ向けアプリ開発のアイビスは共に初日は買い気配で値付かず、その初値は公開価格に対し前者は約2.5倍、後者は約2.9倍に化け。また同じく23日IPOのハルメクホールディングスはスンナリと寄ったもののあと連日ストップ高を演じるなどどれもすこぶる回転の良さであった。

ということで今月は冒頭のトランザクション・メディア・ネットワークスはじめ10社がIPOの予定だが、12日に上場予定のispaceは月面開発事業と宇宙関連ベンチャーとしては初のIPO、またその後には今年最大の案件ともなる楽天銀行もIPOを控えている。更にその後にはひふみ投信のレオス・キャピタルワークスとどれも話題な案件が控えているだけに引き続き新興市場からは目が離せない展開になりそうだ。


東芝非公開化の道

先週は東芝がJIP(日本産業パートナーズ)陣営による買収提案を受け入れる事を取締役会で決議したと発表している。市場の二部落ちから3年半ぶりに悲願の一部に復活するもアクティビストからの突き上げで度重なる臨時株主総会が行われ、二転三転のグループ分割案などここ数年迷走が続いていた東芝だが大きな節目を迎える。

ところで肝心のTOB価格だが1株4620円という。週末の同社株はこれにサヤ寄せする格好で反発していたものの、発表前の株価が約4200円であるからなかなか微妙な安さ?に感じる。昨年も60件近いTOBがあったが、それらのプレミアムの平均が4割を超えていたことを考えればモノが違うとはいえ同社の場合はこの4分の1程度という計算になる。

とはいえ筆頭株主の旧村上ファンド系エフィッシモ・キャピタル・マネジメントはじめ火中の栗を拾った増資引き受け組の簿価を考えるにこの値でも十分なイグジットだが、昨年の二次入札へ進む過程で非公開化を提案したアジア系ファンドは1株7000円の買収価格を提示していた経緯があり、昨年末に当のJIPが提示した価格でさえ5000円台であったワケだが逆にいえばそれだけ劣化?進行が早いという事か。

しかし海千山千のアクティビスト、一昨年だったか英系のCVCキャピタル・パートナーズが買収提案をした際も別のアクティビストが算定価格を大きく下回っているとして反対表明した一件があったが皆が素直にこの価格で応じるかどうかが焦点、TOBは7月下旬とのことだがはたして3分の2以上の取得が叶い長年の呪縛から解放される日が来るのか否かまだまだ予断を許さない。


PBRにもメス

さて、最近は日本のバリュー株のパフォーマンスが欧米を引き離すなど一人気を吐いている旨が話題になっている。バリュー株といえば当欄では今から4年ほど前にバリュー株は受難の時代でPBR格差は過去15年で最大を記録した旨を書いた事があったが、昨年末段階でも東証プライム上場企業1837社のうち実に50%にあたる922社のPBRが1倍を割っている状況であった。

この辺に目を付けられ近年では東証がアクティビストの格好の獲物?になってきたワケだが、ここ数年行われてきたTOBやMBOの中にはその価格がPBR1倍を切っているというモノも少なくなかっただけにさもありなんという感じだ。上記の通りPBR1倍割れが半分を占めているワケだが、このうち更にこの半分0.5倍未満が15%もあるというから東証も危機感からこれに改善要請のメスを入れるというのも頷ける。

万年低PBRからの離脱の鍵の一つとなるのはROEを上げてゆくことにほかならないが、このROEもアベノミクス時代に欧米と比較するに著しくその低さがいわれ改善努力が叫ばれた時期があったのを思い出すが、これを上げるべく流行った自社株買いも当時はリキャップCBなどを使った見せかけの実績も目立ったものだ。

そういえばプライム市場基準を満たさない「経過措置企業」の中でも上場維持基準適合に向けた計画書の内容を着実に実行している企業の株価上昇が顕著になった時期があったが、斯様にこの手の改善要請の類が出る度にそれらは期待感から物色の矛先が向けられるもので、今の低PBR物色もそれとダブって見えなくもないが小手先の改善策でなく本質的なものに踏み込む施策が望まれるところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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