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今年も無難に

さて日経紙の年明け恒例といえば「経営者が占う」の特集だが、これまた恒例でザッと一年前に各経営者が選んだ注目銘柄を振り返ってみよう。1位は昨年に続いての毎年上位常連のトヨタ自動車、そして2位も昨年に続いての信越化学工業、3位は日立から変って伊藤忠商事と続いていた。

1位のトヨタ自動車は一昨年の負けに続いて昨年も7,400円の大発会から大納会は6,878円と一昨年以上のマイナスとなったが、2位の信越化学は大発会の6,570円から大納会は9,067円とこれは一昨年の雪辱を果たすかの如くヒット、3位の伊藤忠商事も空売り専門の米企業にターゲットにされる憂き目に遭うも何とかプラスで終了といった結果になった。

というワケで今年はといえば今年も1位はトヨタ自動車とこれで4年連続の首位、そして2位はこれまた信越化学工業、そして3位も伊藤忠商事と1位から3位までがまたも仲良く昨年と一緒。ちなみに一昨年も昨年もすっかり悪のレッテルを張られてしまった東芝などパフォーマンスを問うなら面白い場面もと書いたが、大発会の200円台から年末には475円の高値を示現する場面があった。

斯様に特設注意銘柄を挙げずとも何所かエッジの効いた予測を上げる向きはいないのかどうか毎年期待しているのだが、大手証券社長の判で押したような12月年末高という定番もまたいつの間にか復活しているのを見るにつけやはりサラリーマンの悲しい性を感じざるを得ない。


幻と消えた上場日

さて、本来であれば本日19日は東証マザーズに自動運転技術を開発する企業であるZMPが新規上場の予定となっていたが、周知の通り先月に明らかになった顧客情報の流出が響いた事で公開価格の決定を直前に社内体制を見直すとの理由からこの上場の延期に踏み切っている。

この企業、今がまさに旬の自動運転技術というAI関連で上場すれば時価総額1,000億円という下馬評もあったくらいで、それだけにこれに先駆け同社に出資する企業には買いが集まっていたものだが、この延期のトバッチリで運用するファンドが出資していたフューチャーベンチャーキャピタルは3日連続のストップ安の憂き目に遭い、ジャフコ等も急落となった。

ともあれ今年はこれで承認後に上場延期となったのは9月の中古車オークション業のオークネットに続いて2件目、先に日本取引所グループは2016年のIPO企業数が前年より約1割少なくなる見通しを出していたが、上記のようにベンチャー投資額は過去最高を更新する見通しだけに注目企業などの不祥事による上場延期は活況を呈するベンチャー市場に水を差してしまわぬか懸念される。


売り専続々と

本日の日経平均は小幅ながらも7日続伸し11月16〜25日の7日続伸以来の長期上昇を演じている。そんな状況の裏返しで昨日の東証発表で株の信用売り残は、急ピッチな上昇から一先ず調整が入ると睨んだ個人の信用売り等から5週連続で増加し2009年6月以来、7年半ぶりの水準まで増えた。

ところで信用売りといえば昨日の前場では日本電産とSMCの急落が一際目立っていたが、これは日本電産は米マディ・ウォーターズ・キャピタルが、そしてSMCの方はウェル・インベストメンツ・リサーチが共に業績や会計処理に疑義があるとして空売りを推奨するリポートを出していた事に因るもの。

空売りといえばこの手では米グラウカス・リサーチ・グループの伊藤忠商事の空売りリポートが先駆けであったが、先月発表の4-9純利益は円高の逆風下において総合商社で利益トップを叩き出し、当の株価も当初の下落後は揉み合いを経て順調に上昇を描き今週アタマには年初来高値を更新してきている。

上記のうち日本電産も当日こそ売られたものの引けは小幅安となり翌日にはそれ以上の切り返しを見せているが、伊藤忠の如く空売りファンドに稼ぐ力を証明し担ぎ上げるか否か今後も注目である。


懐疑の中に育つ

本日の日経紙マーケット面では「個人、逆張り姿勢鮮明」と題して、信用取引の売り注文が増えると発生する「逆日歩」が付いた銘柄数が、25日に679銘柄と2009年3月以来7年8ヵ月ぶりの高水準に達し、また信用売り残高も前の週に比べて668億円多い9,323億円と7年ぶりの規模に膨らんでいる旨が載っていた。

逆日歩増加に絡んでは3月決算企業の権利落ち日あたりから言われていたものの、その後も依然高水準が続いている事で配当や優待取を狙うクロスからの特殊要因だけではない事が言われ始めなかなか売り方もコストが高く付く割にはケツが入り辛い状況の露見パターンも多くなっている。

もう一つ信用取引に絡んでは過日回転日数の10日割れが続いている旨が報じられるなど短期志向もいわれていたが、総じてマーケットに対しての疑心暗鬼の表れか。相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育つというが今後この逆日歩や回転日数等々ショートに傾斜している構図の恒常化に変化が出てくるかどうか注目される。


ななつ星上場

本日は先のLINEに次ぐ売出価格4,160億円という大型IPO案件でもある、九州旅客鉄道がはれて上場の運びとなった。差し引き2,000万株以上の買い気配から始まり、注目の初値は9時半過ぎに公開価格2,600円を19.2%上回る3,100円となり、ほぼこれを高値としてあと若干ダレる展開で引けた。

当欄では7月のLINE上場時に年内のIPOで個人に身近な企業で注目を集めそうな物としてこのJR九州を挙げていたが、この日の売買代金は2,736億円と東証一部全体の約13%を占めただけあって、騰勢を誇っていた直近のIPO銘柄群は換金売りの余波か値を崩すモノが散見されマザーズ指数も4日続落となっていた。

国鉄分割民営化では不採算路線を持つお荷物的な存在でIPOはほかのJR3社に随分と遅れをとってしまった感があるが、こうした上場の瞬間を見るにやはり感慨深いものがある。運輸というカテゴリーで見るより同社は不動産ポストといった見方をした方がよいと思うが、いずれにせよ上記JR3社よろしく長期的に株価が育つのか否か今後が注目されよう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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