和の工芸力

さて先週末で終了となったが、今月は三菱一号館美術館で開催されていた「KATAGAMI Style 世界が恋した日本のデザイン もうひとつのジャポニズム」を観てきた。同美術館へはほぼ一年前の「もてなす悦び展」以来のことだが、完成してまだ日が浅い此処はどちらかというと浜美などのど真ん中路線というよりもテーマ性を持たせたニッチ路線なのが個性的で他と一寸毛色の違いを感じる。

で、今回は日本の伝統的な工芸品・型紙のデザインが西洋の芸術にどのような影響を与え、そして現代に受け継がれているかを紹介する日本初の展覧会という触れ込みであったが、実のところなかなか観る機会のないエミール・ガレのカードテーブルや、同じくドーム兄弟・ルイ・マジョレルのたんぽぽランプが出ているということでこれを目当てに見に行ったというのが正直なところである。

果たしてというかやはりこれらは素晴らしいものであったが、同じ仏系でも珍しいルネ・ラリックの娘シュザンヌの作品や、英系では10年以上も前に見たオーブリー・ヴィンセント・ビアズリーのモノまで展示してあったのは思わぬ収穫であった。その他でも独系のヘルマン・グラートルの壁付水盤などは本当に和テイスト満載の素晴らしい作品でこれまた良い物を見せて貰った。

これら世界中に散らばっている美術館から集めたようだが、斯様にこれだけ拡散するなか各々が型紙の用途を超え各所でインスパイヤーされた向きから新たな芸術が生み出されているとしたらこれは本当に素晴らしく誇らしいことでもある。


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