風雲児
さてちょうど一カ月ほど前の当欄では「因果」と題し、証券取引等監視委員会が金商法の疑いでバブル期に大物仕手筋として知られた人物を東京地検特捜部に告発する方針を固めた旨を書いたが、先週はとうとうこの本尊含む3人を東京地検特捜部が逮捕した旨が各所で報道されていた。
この逮捕劇でこれまであまり語られていなかった大学の大学院で助教をしているという長男の存在なども明らかにされたが、同氏はそこで数理ファイナンスを専門にして皮肉にも金融市場の数理モデルにおける流動性の問題などテーマに挙げていたというからなんともというか成る程といったところか。
しかし振り返ってみれば同氏はこれまで大量にカラ売りを誘い現引きも駆使した取組演出から全員参加の派手な相場形成を様々な銘柄でやってのけてきたのが記憶に新しいが、場立ちの連中が消え冷徹な高速売買が市場を席巻する時代にネットを駆使した相場形成で沈黙を破って再登場したのは昔を知る向きにはけっこう衝撃的であった。
場立ち時代に比べ貸借規制も含めはるかにキツくなった背景含めた現代ならではの短期決戦型であったが、やはり最終的にはこんな形で表舞台からまた姿を消す羽目になってしまったのも時代の変化を感じざるを得ない。