ヒルドイド神話

さて、本日の日経紙一面には「診療報酬マイナスに」と題して、厚生労働省と財務省は2018年度予算編成で医療行為や薬の対価としての医療機関が受け取る診療報酬をマイナスにする方針とし、今回は効果があるが価格が高すぎる医薬品を値下げする薬価制度の改革による減額にも踏み込む模様だ。

ところでこうした価格が高すぎる医薬品がある一方で安価な普及薬を保険適用で更に安く入手出来るのを悪用し、一部では美容クリーム代わりにこれを多用しているケースが話題になっている。保湿剤のヒルドイドがそれで私も何回か処方してもらった事があるが、確かに一部女子の間で実しやかにそんな話が喧伝されていたのを聞いた事がある。

元を辿れば一部女優・モデルが美容効果を謳ったとかで口コミの波が広がったという話だが、これまでも他目的での要処方箋薬で費用対効果が高いとされる薬は数多あった。とはいえこの美容目的の保湿剤利用を巡っては今月上旬に健保組合連合会が公表したレセプト分析調査研究で、実に年間93億円の薬剤費が無駄に支出されているというから看過出来ない。

斯様な状況に至りさすがに厚生労働省も保険適用外や一回の処方量制限の検討に入る模様だが、その線引きも難しく本来必要な患者からすれば甚だ迷惑な話だろう。美に対する飽くなき執念がこんな医療保険財政の圧迫要因になるまでに至っているとはとんだ弊害を生み出しているものだ。


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