行政裁量の歪

さて、総務省によるふるさと納税制度からの除外を不服とする大阪泉佐野市が国と争った注目の訴訟だが、大阪高裁は先月末に返礼品が突出して極端で是正すべきであったと指摘し除外が違法であるとはいえないと国の主張を認め勝訴の判決を下し、市側はこの判決を旧態依然の中央集権的な総務省を正当化する判決で不服として最高裁に上告する方針だ。

本件では新法施行前の事実関係で処分されるのは遡及適用か否かといった点が焦点であったが、判決は総務省は幅広い裁量を持つとしたうえでこれにはあたらないと認定した形になった。確かに税収全国1位にまでなったその寄付集めは自治体のブランドイメージを失うようなお世辞にも品のよいモノとはいえなかったが、一方で総務省もまた制度設計に不備があった点も否めない。

ともあれ今回の裁判は総務省が自治体に権限を及ぼすことで動かして来た地方自治の在り方を問うものとなったが、地方分権一括法の観点で対等な関係とされた国と自治体がこの流れに沿ったふるさと納税制度を巡って双方が司法の場で争い合うなど分権が影を潜めることにならないかも危惧される課題の残るものである。


関連記事

この記事のハッシュタグに関連する記事が見つかりませんでした。

最新記事

カテゴリー

アーカイブ