原油下落の是非

さて、最近給油した際にガソリンが一頃より安くなっているなとふと思ったが、それもそのはず新型肺炎の拡大で中国成長率が5%を割るとの試算も出るなど世界経済の減速懸念からエネルギー需要が落ち込むとの警戒感で、年明けに60ドルを超えていた週明けの原油先物指標WTIは再度50ドルの大台を割り込み昨年1月以来、約1年1か月ぶりの安値まで沈んでいる。

燃料費の変化がそのまま反映される仕組みは上記のガソリン以外にもいくつかあり、例えば電気料金や都市ガスの料金などの身近な公共料金も安くなり家計に恩恵となるものも部分的には出てこようが、これを手放しで喜べない事情として景気への影響という観点で考えるとこれから新型肺炎の影響はジワジワ広がってゆく可能性があり応分の警戒が必要となるか。

既に自動車産業界等はサプライチェーン寸断で工場が操業停止となり、レストラン等の売り上げも7割からワタミなど9割減まで落ち込み一時撤退を決めている。先のトヨタ自動車20年3月期業績予想では純利益の上方修正が好感され年初来高値を更新していたが、これも中国の業績は数カ月のタイムラグを経て反映される傾向があるだけに素直に上方修正を囃してよいものかどうか?

大手シンクタンクでは影響が1年ほど続くと見込んだ場合、インバウンド減少やリスク回避による円高ドル安・更に世界経済減速が進む事で日本の実質GDPは0.9%押し下げられ20年は0.4%のマイナス成長と試算しているが、これまで続いて来た緩やかな景気回復基調が止まり景気後退へ向かう事になるのかどうか今後も注視が必要だ。


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