アップサイクル新ステージ
当欄では今月アタマに日経平均構成銘柄の入れ替えを取り上げていたが、日経平均同様に日本経済新聞社が算出する指数に「日経平均気候変動1.5度目標指数」がある。同指数のこの秋の定期見直しではコマツとダイキン工業が外れる一方で、日経平均構成銘柄でも新規採用された野村総合研究所と良品計画に加え、環境面で評価が改善した高島屋も採用されて本日より反映されている。
環境面で評価が改善したとある高島屋だが特に近年アパレル系でサステナに力を入れており、今月9日からスタートしたサステナブルウィークスでは「RETURN TO SENDER」と称し、先進国からアフリカに寄付・輸出され飽和状態となっている古着をデザイナーが再デザインしアップサイクルしリメイクウェアのうち1点を一般商品として販売、もう1点を提供した顧客分として渡すユニークな取り組みを行っていた。
今回の試みは服をデザインするプロセスに、古着素材の提供として客を巻き込みながら循環の輪を回すアップサイクルの提案になっているところがポイントか。そういえばこれまで当欄で取り上げた東京オリンピックのメダル作成において一般から携帯など都市鉱山を募ったり、年末の風物詩イルミネーションの一部でも家庭内で出た廃油を原料にした燃料を使用するなどの巻き込みと同様のものといえるか。
以前にも書いたが、世界で排出される二酸化炭素の約1割はアパレル産業によるものとされ、石油産業に次いで地球にやさしくない環境汚染産業ともいわれている。昨年は経産省でもアパレルの再生や再利用に関する課題と改善策を纏めた報告書を公表しているが、斯様な顧客巻き込み型等の形態が何処まで広がり、またサステナで先行している欧州勢に何処まで近づけるかも注目しておきたい。