戦略に忠誠心
本日の日経紙社説には「トランプ氏に歯止めはあるか」と題し、上院・下院共に共和党多数のトリプルレッドが叶ったことで民主主義の根幹をなす三権分立が機能するのか憂慮せざるを得ないところに次期政権の異質さがある旨が書かれていたが、既に「政府効率化省」のトップに起用される見込みのイーロンマスク氏との蜜月関係も連日のように報じられている。
幾つもの刑事裁判を抱えながら当選を果たしたトランプ氏だが、上記以外でも次々と明らかにされる人事もなかなかだ。ザッと挙げても厚生長官には新型コロナの陰謀論者で反ワクチン波のロバート・ケネディ・ジュニア氏を起用予定、保険行政の混乱が懸念されるが、他に国務長官には対中強硬派で中国からも制裁対象者にされ入国禁止措置まで受けているマルコルビオ氏を予定している。
極めつき?は司法長官には売春疑惑や薬物使用疑惑で司法省から捜査を受けていたマット・ゲーツ氏を指名、副長官にはトランプ氏の不倫口止め裁判で主任弁護士を務めたトッド・ブランチ氏を指名している。他にも国防長官にはかねてよりトランプ政権寄りの報道を続けて来たといわれていたFOXニュースの司会者であるピート・ヘグセス氏を指名、彼には政治経験が無くかつて女性への性的暴行疑いで取り調べを受けていたことも発覚し批判の声も出ている。
政治経験が無い向きの起用といえば、日本では石破政権による石破流人事も話題だ。外務政務官に選ばれたのが安倍政権下で当選1回の生稲晃子氏だが、議員になって2年目で交渉経験も無い同氏を充てるのははたして如何なものかと懸念の声が挙がっている。ただ両人事で全く違う点は自身が成し遂げたいものの実現のために一期目の反省を経て人選するようなストラテジーがあるかまったく無いかが決定的に違うところか。いずれにせよ予測不能な4年間という不透明な新時代が始まる。