110ページ目   雑記

世論の顔色

さて東京五輪も酣だが、日本選手が金メダルラッシュで沸くなかで先にも書いたようにスケートボードの表彰式で東証一部の水産物竜会社ホウスイが度々映り込んだ事で、五輪のスポンサーでもない同社のホームページにアクセスが殺到し、株価も急騰し年初来高値を更新するなど俄かに話題になってしまった一件があった。

こんな珍事があった一方で、正式スポンサーの最高位とそれに次ぐ「ゴールドパートナー」といわれる錚々たる面子はこの度の五輪開会の是非を巡る世論が割れた挙げ句に無観客開催という事もあり、トヨタ筆頭としたトップが開会式への出席を欠席するなど世論にも配慮し自ずとPRも影を潜めざるを得ない旨が先週の日経紙に出ていた。

対照的に表面感覚では全アスリートに贈呈されたサムスンのスマホなどは選手が挙ってSNSにアップし国際規模でPRが奏功している感もあるが、費用対効果どころかすっかりアテが外れてしまったとの指摘喧しい国内勢も、例えば聖火や燃料電池車へは再生可能エネルギー由来の水素をENEOSが提供、またその車はトヨタが提供などSDGsのテーマにも乗り五輪を通じた発信に工夫を凝らしており軸足を変えた戦略もまた注目すべきであろう。


金融民主化の騰勢

さて、昨年から個人投資家中心にして様々な話題を振り撒いて米市場を席巻してきた証券アプリを提供する米スマートフォン証券専業ロビンフッドが、創業8年ではれて先週末にナスダック市場への上場を果たした。注目の初値は38ドルと公開価格と同値であったが、終値は同価格比8%安で初日の取引を終えている。

同社といえば言わずもがなSNS等で連携したイナゴ勢の共闘買いでわずか1ヵ月そこそこの間に株価が約20倍まで大化けしたゲームストップ株から果てはシルバーETFまで大化けさせるなどコモディティーに至るまでこれまで何度も話題を提供してきたが、その裏では誤解を招く情報提供など投資家保護の不備も指摘され1回の罰金として過去最高額の約7000万ドルの制裁金を支払うなどこちらの話題でも事欠かない。

コロナ禍による巣ごもり生活に投資ブームを後押ししその稼働口座数もコロナ感染拡大前から4倍錠になり業績も順調に拡大しているが、その収益源についても例えば1-3月期の売上高のうち実に8割以上がマーケットメーカーからユーザーの売買注文を回送した報酬体系所謂PFOFで得るなどこの辺にも賛否が分かれるところだ。

いずれにしてもこのIPOでその時価総額は3兆1,700億円と、アルケゴス問題で火傷を負った老舗の野村證券の実に2倍近い価値が生まれた。投資の民主化を謳い今回も最大3割以上の株式を自社アプリユーザーに割り当てたが、上記の通り諸々の規制強化の懸念があるなかでも彼らの支持を継続させられるかこのIPOは色々な意味で試金石となろうか。


土用の丑2021

さて昨日は土用の丑の日であったが、今年の丑の日は東京五輪と重なる事もあり鰻の商戦もスーパーなどでは例年より早くから予約含め注力していた光景が見られた。この東京五輪では開会式向け弁当約4000食が余り処分されたのが物議を醸し出していたが、流通各社は斯様なフードロスの対策の為に予約と共に保存が効く商品開発等にも注力したのが今年は奏功している模様だ。

そんな事もあって株式市場でも上記の通り東京五輪を家で観戦する人が多い事が予測され持ち帰り需要への期待もあってウナギ関連株が上昇、丑の日当日の28日は日経平均が急反落するなか手頃な価格でうな丼を提供する吉野家やG-FACTORYなど逆行高を演じていたほか、水産大手のマルハニチロや日本水産まで逆行高し日本水産に至っては年初来高値を更新していた。

ところでかつては10年で約10倍にも暴騰していた価格だが、シラスウナギは昨年の大豊漁に続いて今年も豊漁でここ数年では不漁で高騰した19年比で4割近く安くなった模様だが、通年消費傾向とも相俟って蒲焼の卸価格も前年同期比で安くなっているというワケではないようだ。

しかしこれまでは上記のように価格高騰を背景とし代替魚や茄子など原料とした様々な安価の代替製品が登場したものだったが、昨今ではSDGsの流れで絶滅危惧種に指定された鰻を敢えて食べない「ウナギフリー」の気運からの代替製品進化も著しい。せめて丑の日はこれらを想いつつ本物を有り難く頂きたいものだが、さて貴方は何れを選びますか?


各々のメダル

さて、誰の為の何のための大会なのか?と言われ開催だけを目的にしたと揶揄された東京五輪がいよいよ始まった。世界で最も厳しいと強調した感染予防策も選手村は危ないとホテルに逃避する国あり、開会式では天皇陛下が開会を宣言している傍で首相と都知事が着席したままそれを聞く姿が放映され、入場行進ではマスク無しの国ありなど突っ込みどころ満載の祭典が行われた。

とは言えいざ始まってしまうと政治とは別で一斉に応援モードになりメダルの数も気になりはじめる。先に各国が獲得するメダル数を日経紙とフィナンシャルタイムズが予測していたが、その上位予想ベスト5では米の121個から中国、英に続き日本が56個の予想だが、前回のリオ大会で41個のメダルを獲得し参加国では7位がこの予想通りなら過去最多という事になる。

とりわけ気になる金色だが、この土日では柔道女子52キロ級の阿部詩選手、そして兄の一二三選手が日本オリンピック史上初の男女兄妹同日金メダルの快挙で沸いていたが、他にも柔道では男子60キロ級の高藤選手、競泳女子400個人メドレーの大橋選手、そして新競技スケートボード男子ストリートからは堀米選手等が金メダルを獲得している。

ところで五輪中継でメダル授与式に映り込んだ東証一部の「ホウスイ」の文字が思わぬ広告効果を齎したと囃され、本日の同社は前日の約200倍の出来高急増を伴い株価も年初来高値を更新していたが、市場のアノマリーでは10個以上の金メダルで平均株価が上昇するというのもあり、金に王手組がまだ続々と控えているだけに明日以降もこれらと併せ注目してゆきたい。


嗜好から投機へ

さて、エンゼルスの大谷選手の活躍が報じられない日は無いが、この人気熱で昨年夏に約4万円だったトレーディングカードが直近では100万円以上に暴騰しているらしい。ところでトレーディングカードといえば、2017年に約10万円だったポケモンのカードも今年5月のオークションでは310万円と4年で約30倍にも大化けした旨も先の日経紙の記事で見掛けた。

オークションで大化けした事例として今月はゲームソフトも話題になった。任天堂が1996年に発売した家庭用ゲームソフト「スーパーマリオ64」が、11日に米で競売にかけられた156万ドル(約1億7200万円)で落札されたのがそれだ。ちなみにその数日前の9日には「ゼルダの伝説」が87万ドル(約9600万円)で落札され、ゲームソフトの落札額としては史上最高額を記録したばかりであったがこれが数日で塗り替えられたという事になる。

また近年すっかり投機対象と化した定番?のウイスキーも騰勢衰えない。約1年前に香港で開催されたオークションでは当時300万円で発売されたサントリー山崎55年が約8500万円で落札と実に約28倍に大化けしている。最近ではこうしたモノからメーカーにまでその投機熱が広がっており、MSCIワールド指数を米英仏の主要ワイン・ウイスキーメーカー5社の平均株価は既に大きく上方乖離している。

金融緩和でジャブジャブに溢れた世界のマネーがオルタナティブでこうした希少な嗜好品へ向かっているワケだが、先に挙げたNFT(非代替性トークン)などに見られるように日進月歩のIT技術も消費財の金融商品化に大きく貢献しこれがまた個人投資家を投機の世界に誘う循環が効いており、次の大化け候補の争奪戦も既に水面下で粛々と進行している。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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