113ページ目   雑記

鉱山株彼是

先週の日経紙・グローバル市場では金鉱株の米ニューモントやカナダの金鉱大手バリック・ゴールド、また新興国でもパラジウムで4割のシェアを持つロシアのノリリスク・ニッケルや南アフリカのプラチナ大手アングロ・アメリカン・プラチナ株などいずれも5月まで上昇基調であった世界の鉱山株が軒並み調整している旨が出ていた。

鉱山株といえば著名投信の組入れ対象としても定評があり、例えば南ア・オーストラリア等の金鉱企業株式を主要投資対象としたブラックロック・ゴールド・メタルなどその上昇率から投信ランキングで度々取り上げられてきたものだが、昨日の住友金属鉱山の年初来安値更新にも見られる通り商品の一服と共に調整色を強めている。

ところで鉱山業界といえば南アのインパラ・プラチナムがカナダのノース・アメリカン・パラジウムを買収したり、中国の紫金鉱業もカナダの金鉱会社コンチネンタル・ゴールドを買収したりとM&Aが粛々と進行しているが、直近で銅相場高騰の牽制を露わにした中国もかつて資源安を好機に積極化してきた経緯がありその先の展望が気になるところでもある。


完全オンライン化へ

さて、この時期彼方此方の企業から定時株主総会の招集通知が届くが、今年は殆どが緊急事態宣言下にあった事で当然乍ら昨年に続いて招集通知にもかかわらず今年もまた「新型コロナウイルス感染拡大防止及び皆様の安全・安心の観点から株主総会当日のご来場をお控えいただくようお願い申し上げます。」等の一文が封筒に記されて企業が殆どであった。

斯様な事情から株主総会のオンライン化が課題となっていたが、これまで総会は会場を設置する事を条件にオンラインで行われるのが認められてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ改正産業競争力強化法が参議院本会議で可決・成立した。これによって国の事前確認を受ければ完全オンラインの形式で株主総会が開催出来るようになる。

こうした事で今年の総会ではこれに絡んで定款変更議案を諮る企業も少なくないが、感染症対策はもとよりこれまで何度となく言われてきた僻地開催企業への参加のハードルが無くなるなどメリットも多い一方、セキュリティ含めた通信インフラやなりすましの問題も課題になってくるが、何れにしろこれも以前より議論されていたものの踏み切れなかった件がコロナ禍で背中を押された事例と言えこうしたチャンスは生かしてゆきたいもの。


訳あり銘柄明暗

本日の日経紙・経済政策面には「経産省が頼る首相の一文」と題し、政府が18日に閣議決定する予定の成長戦略の原案にSPAC(特別買収目的会社)の解禁方針が盛り込まれた旨が書いてあったが、これに絡んでは当欄でも今月のアタマに「白紙小切手?」と題し取り上げていた通りでここから解禁に向けて侃々諤々といったところか。

この項の中ではSPACが先行する米国では本来なら上場基準を満たさないような企業が上場するリスクがあるとの一文があったが、昨晩のNY市場ではSPACを通じナスダックに上場した新興電気自動車メーカーのローズタウン・モーターズが今月に入ってから突然製品を生産開始する資金不足に陥り事業継承に疑義が生じているとSECに届けを出した事で約19%安と急落、まさにこれを象徴するような一件が市場をザワつかせていた。

一方でテスラのマスク氏によるビットコイン決済再開表明などから4万ドル回復となった相場を背景に多額のビットコインを保有するマイクロストラテジーは約16%高と大幅高し、ミーム銘柄のAMCエンターテインメントもイナゴ勢の呼びかけで再度浮上し約15%高と市場でも明暗が分かれた格好だが、S&P500種などが史上最高値を更新する裏で何れも問題銘柄の乱高下が実に不気味に映る。


政府銘柄の蜜月

さて、東芝の株主総会を巡っては当欄でも春先に株主側要求による異例の臨時株主総会について触れていたが、今月の株主総会を目前に控えた先週に昨年の定時株主総会が東芝と経産省とが連携しアクティビストの提案を妨げようとしたなど総会運営について調査した第三者の弁護士から「クロ」判定の調査報告書を受け取ったとの発表が為された。

早速本日の午後には東芝の取締役会議長が記者会見にて陳謝、株主の信認を得るのは難しいとして報告書で関った社外取締役及び執行役を退任させる旨を報告しているが、大株主だった米ハーバード大学や3Dインベストメント・パートナーズなどに経産省側が接触し無言の圧力で議決権行使判断に一定の影響を与えたというから何とも闇が深い。

皮肉?にもこのニュースでザワついた11日には東証が上場企業の経営に関するルールを纏めたコーポレート・ガバナンス・コードの改訂版を施行している。確かに東芝といえば原発から量子技術に至るまで或る意味国の安全保障の一翼を担っている面もある事で他の一般的な上場企業とは異なる顔を持つ特異性はあるものの、官による企業への関与が何所まで許容されるのか、企業統治改革そのものの信頼に関るだけにこの辺も明確なところが求められようか。


カップヌードルのシールが・・

さて、先週はTVでも取り上げられるなど一寸世間がワザついたニュース?に日清食品がカップヌードルの蓋留めシールを廃止にするという発表をした件があった。私の周りにはそもそもこのシールの存在自体を知らなかった者も居たが、それは兎も角もちょうどこの発表と同じ日にはプラスチック廃棄物削減をめざすプラスチック資源循環促進法が参院本会議で可決されている。

上記のカップヌードルの件もこれの廃止でプラスチック使用量を削減するのが目的というが、この新法成立でこれまで小売店や飲食店が無償で提供してきた使い捨てのストローやスプーンについては、レジ袋よろしく有料にしたり代替素材へ転換したりする対応を義務化する事が出来るようになりコンビニや外食産業は其々が対応を迫られる事になる。

斯様にプラスチック廃棄物の削減気運が盛り上がっているが、あるデータではプラスチック廃棄物の排出量の割合ではレジ袋が約1.7%、また今回の新法で対象となった使い捨てスプーンやストローに至っては1%にも満たない0.17%という。そんなワケでこれらが有料化されたとしてもプラスチック問題解決に直結する事も無いが要は問題意識の啓蒙だろうか。

実際に早いものでプラスチック製レジ袋の有料化から来月で1年が経つが、この啓蒙が浸透してきたのかどうか最近ではエコバッグなども普及しレジ袋を辞退する向きはコンビニで7割程度に、またスーパーでは8割程度にものぼっているという記事も見たがさて今回も同様の動きが広がるかどうか一先ず注目である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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