123ページ目   雑記

巣ごもり消費で明暗

さて、新型コロナウイルスがもたらした一連の消費行動の変化はネット通販関係の快進撃を一段と後押しし先週は最大手のアマゾンやECサービスの強化を発表したフェイスブックの二強が史上最高値を更新し、こうした大本命以外でも決算で純利益が前年同期比4%増となったウォルマートのネット通販売上高は74%と過去最高の伸びを記録している。

この辺の流れから国内マーケットでも先週はECプラットフォームを手掛けるマザーズのBASEが2日連続のストップ高を交え21日には上場来高値を更新と破竹の勢いが注目を浴びていたが、このコロナ禍での利用増から4月には顧客EC店による流通金額が前年同月の3倍弱に増加した事を明らかにしている。

同社は1〜3月期の連結最終損益が赤字で20年12月期は無配を予定しているものの、環境から受けるメリットへの期待感を背景に足元には目を瞑らせマザーズ指数の年初来高値更新に一役買っている。しかし先のレナウンもECへ乗り遅れが指摘されていたが共に破綻してしまったJCペニーも冒頭のウォルマートと共にアメリカを代表する大手百貨店チェーンであったものの、まさにECで明暗を分けてしまったといったところだろうか。


貴重な期間限定?

さて、直近では某女性タレントが高級店のフカヒレ姿煮をテイクアウトしたSNSが豪華だと話題になっていたが、こんなセレブ?でなくとも先週の日経紙夕刊一面では「家で特別な食事 GWで消費2倍に」と題し、マクロミルが纏めた消費動向でステイホーム週間によって外食が激減するなか代わりに自宅での特別な食事が昨年比2倍の23.4%となるなど家で贅沢する人が多かった旨の記事があった。

ちょうどこの記事が出た日にはアメックスから「おうちde KIWAMI」なる名店のテイクアウト案内も来ていたが、とんかつ弁当が15,000円也などなるほど予約困難といわれる名店だけにお値段もそれなりによろしい。これ以外にも一寸別の所を見てみるとカツサンド3切れ15,000円とか鍋が40,000円から等々もうおせち料理の世界かと。

また一昨日の朝のTVでもミシュラン店のテイクアウトを紹介していたが、斯様にレストランとテイクアウトは全く異なる営業との考えでこれまでテイクアウトを逡巡していた高級店や名店も、コロナウイルス感染拡大による自粛長期化の影響で背に腹は代えられぬという事で続々とテイクアウトを始める店が増殖している。

また同じく需要が激減しているタクシー業界とタッグを組みお届けサービスを提供する店も出て来ているが、これから夏場にかけ暑さが増してくる時期だけに食中毒など衛生管理が重要となるなど課題も多いものの、感動する食体験など人間の本性を基盤とする需要回帰を願い各所共に知恵を絞る日々はまだしばらく続こうか。


コロナ物色

さて、ここ数日の米株式はバイオ製薬のモデルナに振り回される展開が続いている。週明けは開発中の新型コロナウイルスワクチンの治験第?で効果があったと発表、これを好感した買いからザラバで上場来高値を更新し前週末比20%高で取引を終えたが、昨晩は有効性を示す試験データが不十分と報じられた事で一転して10.4%安と急反落となっている。

週明けにゴールドマンサックスが同社の目標株価を105ドルまで引き上げる一方、1760万株を発行し13億4000万ドル相当を調達するファイナンス計画の発表もあるなど好悪材料が交錯しているが、本日の日経紙市場点描では国内ではコロナ過熱銘柄に売り戻しから失速の兆しが出ている旨が書かれていた。

緊急事態宣言の段階的解除を睨み外出自粛をテーマとした物色は一服感も出て来ようがモデルナのようなバイオものは不動の本命、同社以外でも世界中で100超の企業・機関が躍起になってその開発に取り組んでおり今後も折に触れこの手の報道による局地戦が指数へのカンフル剤となる素地は残っている。


社会的距離

コロナウイルスの感染拡大に伴いその防止目的から人との間に取る所謂「ソーシャル・ディスタンス」も彼方此方で進んでいるが、昨日の日経紙夕刊には「社会的距離 例え楽しく」と題し、このソーシャル・ディスタンスを同じサイズのもので例えるユニークな紹介方法で広がっている旨が出ていた。

この頁ではその距離を、アルバム「アビイ・ロード」で横断歩道を渡るビートルズと表現するイラストが出ていたが、ココに出ている以外にも例えば自動車メーカーではメルセデスベンツがスリーポインテッド・スターが円に接触しないよう縮小、アウディも4つの輪が接触しないよう離したりするなど世界の著名企業も続々と自社のロゴマークを使ってこれを訴えている。

今では飛沫感染防止で何所の店でもレジ等では仕切りがあるが昨晩たまたま見たTVでは居酒屋の座席にアクリル板のシールドが立てられ、料理のオーダーは自身のスマホで発注、出来上がった料理は蓋がかけられそれを客が自分で取るという仕組み紹介されていた。挙げ句にはオンライン飲み会に対応出来るようにタブレット端末と顔が明るく見えるライトまで貸し出す旨もやっていたが、これを滑稽と見るかニューノーマルと見るか。

ところで過日に北欧の知人と話した際にこのソーシャル・ディスタンスの話題になったのだが、昔から所謂パーソナルスペースを好むことで知られている彼らの間ではこれまで或る意味揶揄されていた行動様式が国際標準化されつつある事に今更感を強く感じているというが成る程いろいろ考えさせられる。


数奇な関係?

さて、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛の影響が災いし企業破綻も月を追うごとに増加してきているが、先週は東証に上場しているレナウンが東京地裁から民事再生手続き開始の決定を受けとうとう国内の上場企業の破綻が出た。上場企業の破綻といえば昨年1月のJASDAQのシベール以来、16ヵ月ぶりの事か。

先の決算では2期連続の最終赤字を計上し決算短信にはGC注記を記載していた事で、最近の投げ売りのようなプライスが付いたダーバンのセール案内が増えていたのにも不穏な空気を感じていたが、そういえば今月上旬に同じく民事再生法申請した米のJクルーもかつてレナウンが販売していたのを思い出す。

ところで米でも今週決算発表を予定していたアメリカを代表する百貨店大手JCペニーが奇しくもレナウンと同じ日に破綻した報が飛び込んできたが、新型コロナウイルスの影響で破綻となった百貨店では先に破綻したハワイでもお馴染の高級百貨店ニーマン・マーカスに続いて2例目である。

このレナウンとJCペニー、上記の通り破たんした日付も同じだったが皮肉な一致で両社ともにその創業年も1902年という老舗。バブル当時まで流れていたCMソングもいまだ直ぐに浮かぶが、かつてアパレル日本一まで駆け上がった同社が近年の業界変遷から誤算の身売りの末にこのコロナ禍でとどめを刺され市場から退場する様は産業構造の転換期を如実に物語る。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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