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HOTEL Living

さて、今週気になったニュースといえば帝国ホテルが「ホテルに住む」をコンセプトとしたサービスアパートメントの新事業をスタートさせるという報か。既に予約の受付が始まっており客室全体の約一割をこれに充てて一部屋ひと月30泊で月額36万円からというが、130年の歴史を誇る同ホテルでは初めてのサービスという。

この辺の背景にはやはり新型コロナウイルスの感染者数急増による宿泊者数低迷などが想像に難くないが、先にホテル専門の調査会社英STRが発表した2020年12月の国内ホテル平均稼働率はといえば前月から12.1ポイント下落の43%となり、20年通年での稼働率は39.6%と同調査開始以降で最低を記録している。

ところで「ホテル御三家」では他にホテルニューオータニも昨年の夏にワーケーションプランとして30日連泊プランを39万円から販売した経緯があるが、こちらはラウンジで約1500円相当のドリンクが無料のほかパーキングにプールやサウナまで無料のうえ専属アテンダントまで付くのを考慮すれば1日あたり1万円を切りビジネスホテル並みの料金でインペリアルに「住める」という事になる。

単に客室をディスカウントしてセールするのではなく形態を変え新事業として売るあたりにブランディングの上手さを感じるが、一方ではSakuraブッフェで有名だったホテルグランドパレスのように東京オリンピックを前に7月で営業休止を表明したところもある。其々の決断だがともあれ先ずはこの老舗ホテルの新たな挑戦に追随してくる向きがあるのか否かこの辺も注目しておきたい。


124年ぶりの2日節分

さて最近では関東でも彼方此方で恵方巻のCMが喧しくなって来たが、本日は恒例の節分である。恒例とはいえ今年は4日という固定観念がある立春が3日になるという事でその前日にあたる本日が節分になるワケで1897年以来、124年ぶりに通常より1日早い本日2日というのが話題になっている。

もう何十年も立春は4日だっただけに成る程話題にもなろうがそれは兎も角も節分はもともと災厄消除を願うもので「コロナは外!」と今にはピッタリの行事とはいうものの、やはり蜜を避けるために初詣よろしく各地の寺社は境内での豆撒きの催しなどを相次いで中止もしくは大幅に縮小しているのが目立つ。

ところで昨年の当欄では豆撒きで追い立てられる鬼を擁護するようなコラムが増えたり、児童書「おにたのぼうし」など鬼が別な視点から描かれるなど新しい潮流を書いたが、昨年大ヒットし記録を数々の塗り替えた「鬼滅の刃」も元々は鬼も人間で一人ひとり実はバックグランドがあったというような含みを持たせ、一昔前の単純な勧善懲悪の構図とは異なる筋書など現代で流行るモノの流れが変わりつつあるのを感じる。


残高増と出口論

さて、FOMCでは大規模の金融緩和据え置きを決定し当面緩和策を解消する意向が無いことが再確認されたが、国内では先週の日銀金融政策決定会合後の記者会見で総裁が日銀内で金利操作やETFの運営方法も見直す案が浮上していることから、これに関しては従前の購入枠にとらわれず、必要な時だけ買い入れる形に改める見通しとしている。

日銀といえば新型コロナウイルス対応による資金供給でその資産は昨年末時点で1年前に比べて129兆円増加の702兆円となり、金融市場の安定を掲げたETFは20年の買い入れ額が約7兆円と過去最高となり25%増となっている旨が報じられていたが、昨日の参院予算委員会ではETFによる含み益が12〜13兆円とする試算を明らかにし現時点で全体の枠組みを、そしてその中のETF買い入れを止めるという考えはない旨を同総裁が語っていた。

とはいえ度々触れているように自ずと出口戦略の議論も喧しくなってくるが、当欄で昨年11月にも触れたようにバブル時代に証券会社で大流行?した所謂飛ばしのようなスキームや売却制限を付けた個人への譲渡案等も健在で、各経済シンクタンクの専門家も日銀の財務リスクを回避するべくバランスシートから外す必要があるとして買取機構の創設やNISAやイデコ等の運用先指定で個人へ売却、また分割して企業に自社株として購入してもらう様々な案が出ている。

この前の会見で同総裁はETFの売却を巡る議論について売却は出口の議論の一つなので全く時期尚早だと思うしそういうことは現在考えていないと話していたが、曲がりなりにもETF残高は簿価ベースで35兆円まで膨らんでおり、2%のインフレ目標は未達成ながら更に大きく残高を積み上げる状況ではなくなってきているのは事実で引き続き出口戦略について今後も様々な議論は続くだろうか。


互いの誤算

さて、先週初めの当欄では寒波の影響から暖房用需要が高まった事などで今月に入ってからのスポット価格の上昇で自前の発電所を持たない新電力業者の経営が厳しさを増している旨を書いたが、昨日の日経紙企業面では「新電力、卸値高騰で苦境」と題し地域新電力の中には来月に全事業を停止する向きも出て来た旨が書かれていた。

この頁では地域電力が一日の売り上げに対して1月中旬辺りの調達ではその10倍以上もかかる惨状が綴られていたが、これらの他に本日は新電力の楽天エナジーが同社提供の家庭向けの楽天でんきや法人向け楽天でんきBusinessなどエネルギー関連サービスについて新規申し込みを一時停止する旨も同紙で報じられている。

斯様な市場連動型を謳うモノへ契約した向きもまた然りでこの辺は同じ憂き目に遭うワケで、さながらハイリスクな仕組債等の金融商品でまさかの「ノックイン」してしまったパターンにも似ているか。新電力の中には異常高騰分の料金を会社側が負担したり値引き策を表明したりしている殊勝な向きもある一方で、纏まって経産省への陳情など泣きつく光景を見るに返す返すも先物市場を上手く機能させてゆく重要性を感じる。


電子化への流れ

さて、先週末の日経紙マーケット面では銅の国際指標であるLME(ロンドン金属取引所)の銅先物相場が高止まりしている旨が出ていたが、中国勢の需要と共に相場高を牽引した投機筋の買い越し残高も金融緩和による余剰資金を背景に積み増しが進み、1月15日時点で4万4千枚弱とLMEの公表値がある18年1月以降で最高水準に達した旨が書かれていた。

ところでこのLMEといえばブローカーが円形に向き合う伝統的な「リング取引」が有名なところだが、昨年3月下旬から新型コロナウイルスの感染防止策としてこの形態は一時中断になっていた。これが先週には終息の兆しが見えないパンデミックを背景に恒常的に取り止め廃止する旨を市場参加者に提案、今後は電子取引システムに一本化する計画の旨が報じられている。

日本でも東証で場立が消えてから今年で21年となるがもし現存していたとしたらやはりこのコロナ禍での取引は憚られ、ましてや笛吹などトンでもないという状況だろうか?LMEの値決めは今後売買高加重平均に基づく仕組みになる見通しだが、相場形成にどのような影響をもたらすかは未知数。何れにせよ140年超の歴史を持つ取引所の欧州最後の伝統的手法もコロナ禍が消滅を促進する事になったという構図になるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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