149ページ目   雑記

遺伝資源保護

時節柄お歳暮関係の案内が頻繁に来るようになったが、和牛関係の品は相変わらずバリエーションが豊富だ。ところで和牛といえば一昨日の日経紙一面には「和牛保護へ法整備」と題し、農林水産省が和牛の海外への流出を防ぐために交配に使われる精液や受精卵の転売などを規制する方針の記事が載っていた。

これに関しては当欄でも今年に入ってから取り上げた事があるが、遺伝的な特徴などを知的財産権として守る枠組みは従来無い上にアジアでは和牛人気の高さから前回も書いたようにブランド化が進むフルーツ等と共に和牛受精卵の中国等への流出事件も幾度となく表面化している。

ブランド化の背景にはTPP発効で安価な輸入牛肉が幅広く流通する事に対する生産側の警戒感もあるが、斯様に日本が総力をあげた成果であるブランドが侵害される経済損失など勘案するにその保護委対策は急務の課題だっただけに今回の新法提出は先ず一歩踏み出したという感じか。


ヘリウム高騰彼是

さて、今週アタマの日経紙科学技術面には「ヘリウム高騰 研究に支障」と題して、超電導などの研究に不可欠なヘリウムが供給不足に陥り2018年度に比べ価格が2倍以上に高騰した事を受けて、研究機関が予算などの都合で入手できず実験を中止するなど悲鳴を上げている旨が出ていた。

さてこのヘリウムといえばかれこれ今から7年くらい前から不足がいわれて久しいが、上記の文中に東大ですら再利用率は9割程度とあったが6年前に東大発ベンチャーが極低温の実験装置向けに液体ヘリウムを循環して再利用する装置を近く販売するといった報があったのを思い出す。

そのプライオリティの高さでは冒頭のような学術的モノには勿論のこと及ばないが、身近な娯楽分野でも例えばディズニーリゾートのエントランス近くで販売されていたキャラバルーンなどこの高騰で販売中止に追い込まれた経緯も記憶に新しい。本邦では完全自給の難しさを露呈している物が数多あるが、今更ながらこんなところにも及んでいるのに改めて気付かされる。


中途半端感

今週の日経紙経済教室では「5Gが切り開く未来」と題し、各国で次世代の無線通信網として大きな期待がかる5Gネットワークの整備が急ピッチで進められている旨が連載され、本日のマーケット面・どうなる来年の日本株なる座談会でも野村アセットのインベストメントオフィサーが5G関連銘柄の成長トレンドは今後も続くと述べていた。

ところでこの次世代高速通信に絡んで政府としては今月纏める経済対策でポスト5Gの技術開発助成に2000億円超の基金を創設する模様だが、直近で記憶に新しいのが農林水産業の産業化を狙った農林漁業成長産業化支援機構が複数の投資先不振で累損が100億円規模に膨らみ来年度末にも新規投資業務を停止する方向になった件か。

他に以前にも取り上げたジャパンディスプレイなど日の丸モノの官民ファンドも惨憺たる結果となっており、財務省などは同様に累損が膨らむ他の官民ファンドの業務見直しも急ぐようだが、高技術に対する期待の裏で微妙な金額設定に上記のような二の舞を演じないか一抹の不安が過るのは否めないところ。


ミシュランガイド2019

さて、ボージョレ・ヌーボーのイベントが終ると次はミシュランの番となるが、今年も先週末から書店では「ミシュランガイド東京2020」が販売スタートしている。今年の顔ぶれは三ツ星が11軒、二つ星が48軒、一つ星が167軒となったが、一般客の予約が出来なくなった三ツ星常連組のすきやばし次郎本店や鮨さいとうは評価対象外となりミシュランから消えることとなった。

ちょうどTVでもTBS系で星を獲得するために各々が夢を追うというドラマがスタートしているが、思い起こせば名誉の裏で数年前には秘密裡に偽造表示を行っていたレストランが二つ星を獲得したり、今年はお隣の韓国では星を売るコンサルタント疑惑で沸くなど話題には事欠かない。

こんな権威のあるモノでなくとも足元では公正取引委員会が大手3強のグルメサイトを巡って実態調査に動いている。当欄では今から4年ほど前に米のS&Pやムーディーズの格付け疑惑を取り上げた際に末尾で「モノは違えど何故か証券会社のレーティングからはてはミシュランまでがふと頭に浮かんでくるものだ。」と書いているが、その影響力に比例し自ずと蜜月疑惑が台頭するのは何所の世界でも致し方無いところか。


恩恵と誘発

先週末の日経紙一面には「株・投信、手数料ゼロの波」と題し、ネット大手カブドットコム証券と松井証券が年内にそれぞれ信用取引と投資信託の売買手数料を無料にするなど、ビッグバン以来2度目の大波となる手数料ゼロ化の動きが加速してきている旨が書かれていた。

この辺に絡んでは当欄でつい先月もゼロコストの投資商品が世界で広がっている旨を取り上げたが、純増面や金利収入が要となっているマル信でさえとうとうゼロ時代に突入かと思うと一寸した驚きで、カブコムは更に来年は現物取引においても無料化の予定と先鞭をつける。

また先にHFT業者についても一寸触れたがこうした業者に情報提供等を施しそれらからリベートを得る構図など米国で先駆しているが、それに伴う再編劇もまた然りで先月取り上げた際の末尾でも書いた通り今後業界の合従連衡を活発化させるトリガーとなるのかどうか対面事情とも併せて注目しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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