149ページ目   雑記

脱棲み分けの課題

さて今週は株主総会がピークを迎えるなか、昨日は東京商品取引所も株主総会を開催していたが本日の日経紙商品面には「TOB価格決定 予定より遅れも」と題し、JPXと統合を控えるなか総会では社長がTOB価格の決定時期が予定されている下旬から以降にずれ込む可能性を示唆した旨が載っていた。

これが可也ズレ込むようだと秋口のTOBスケジュールにも影響が出てきそうな感じもするが、東京商品取引所といえば取引低迷に加えてJPXとの統合に向けた減損処理の影響もあり、前期7億円の赤字から先の2019年3月期では発足以来最大となる23億円の最終赤字を計上、これで4期連続の最終赤字となっている。

構造から10年を超える月日を経る間に疲弊し世界標準との距離も広がった形になったが、構想実現に向けた動きになってなお縦割り行政の部分の課題がやはり大きいか。コーポレートガバナンスが声高に謳われるなか、上場企業の傘下に入る事で改めて統治の在り方が問われようか。


暗号通貨の在り方

さて、先週末には代表的な仮想通貨ビットコインの価格が心理的節目の1万ドル大台を2018年3月以来、約1年3か月ぶりに回復となったたが、週明けの本日も騰勢は衰えずに一時1万1,000ドル台に続伸し株式市場でも仮想通貨関連株が再度の蒸し返しも含め軒並み動意付いていた。

中東情勢を巡る地政学リスクを背景に仮想通貨は一部投資資金の退避先になっている部分もあるが、米フェイスブックが発行を予定する仮想通貨リブラへの期待もまた大きいようだ。この辺は同じ仮想通貨でも価値の裏付けが無く投機色が強い上記のビットコインと違い、約27億人の潜在ユーザーに加え価格が安定しているステーブルコインの色を持つ点がポイントか。

しかしその規模を勘案するに銀行の聖域を侵食しかねない部分もあるだけに牽制の声も出て来ようし、各国の法制度との整合性も確保出来るか否かも課題となってくるのは想像に難くないか。その辺は兎も角、何れにしても月末に開催されるG20首脳会議でも仮想通貨に関する規制面の在り方についても議論されるとの一部報道もあり、この難題が各国でどう対応されてゆくのか注目される。


インスパイアか模倣か

さて今週は所用で郵船ビルの前を通った際にイッセイミヤケの店舗があったが、そういえば先週末から一部で報道されていたバオバオのバッグデザインが別のバッグブランド・ハナアフのバッグデザインと酷似しているとし不正競争防止法違反等を理由にイッセイミヤケ側が製造・販売・輸入の差し止めを求める仮処分を東京地方裁判所に申請した件を思い出した。

イッセイミヤケといえば過去にも縦横無尽にプリーツを操った独特なデザインを他のアパレル企業にパクられたとして差し止め請求をして勝訴した経緯があったが、今回も東京地裁はハナアフ側に損害賠償支払いを命じるなどイッセイミヤケ側が勝訴したとの発表が昨日になされている。

イッセイミヤケ側はインスピレーションとしての一線を越えて看過出来るものではないとの言い分だが、ファッション業界においてこの手の酷似性については別に今に始まった事ではなく、例を挙げればクリスチャンルブタンとイヴサンローランの靴を巡る裁判から、近年では複数のファストファッションブランドによる有名ハイブランドのパクリも半ば恒常化しこちらも一部裁判で敗訴している。

酷似といえばファッションではないが、東京オリンピックエンブレムもベルギーの劇場ロゴのパクリだとして大問題になった挙げ句に白紙撤回となり、他のモノまで続々とネット民に炙り出された経緯も記憶に新しいところ。上記も含め模倣か否か真相は当人のみぞ知るといったところで、こうしたクリエイティブな業界はトレンド市場形成の重要性もあり立証困難なケースもあるが必要悪?な自由の線引きは何所までなのか今後も出てくるであろう判例も興味深く注目したい。


再配分考

本日の日経紙経済面には「自治体二重取りに賛否」と題し、ふるさと納税によって大幅増収となった人気の自治体にも寄附金が税収とされないために国が地方交付税交付金を手厚く配っており、同紙がこれを税収とみなし交付税がどれほど減るか試算したところ2018年度はその額が2300億円超に達した旨が出ていた。

この「二重取り」に関してはかねてより一部の識者からその構図のおかしさが指摘されていたものだが、寄付側もわずか2千円で年間の食材が賄えたり数百万円もするロマコンが貰えたりするワケだから「得する寄付」が定着し、企業誘致等より手っ取り早い財源確保策として競争が熾烈化したのは自然な流れだろう。

そんな事から寄付側も累進制にすべきとの意見も出てきそうだが、過熱した同制度の裏で当初はニッチだった仲介ビジネスも増殖しこちらへのコミッションの原資は国からの補填と歳出面の構図のおかしさも指摘される。今月からの新制度の次は再配分の歪さをふまえ財政問題と向き合うのが先ず課題となろうか。


忖度取締役

さて、総会シーズン突入で日経紙投資情報面でも「変わる総会」と題し連日各所に触れているが、先週末は15年から適用されたコーポレートガバナンス・コードで2人以上選任することを求められている社外取締役について、単に数ではなく多様性や適性など所謂「質」の重要性が問われる環境になりつつある旨が書かれていた。

昨今世間を騒がせている企業の不祥事でも取締役会には悪しき情報が伝達されていないという事例が多く見られたが、企業統治で社外取締役への情報提供の必要性が指摘されてきた中お飾りというべきか形骸化から第三者目線としての社外取締役の機能不全が明るみになった格好だろうか。

また適正という部分に関しては日経紙でもフィデリティ投信が政策保有先から迎える社外取締役には独立性が無いと規定したとしているように、従前の踏襲には一段と監視の眼が厳しく光るようになって来た。今後はその候補者の毛色も忖度が効く親戚?からアナリストなどへ変遷する動きが加速してくるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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