155ページ目   雑記

親子上場と利益相反

さて、親会社のヤフーに対しアスクルが資本・業務提携の解消を求め両者がザワついているが、果たして先週開催されたアスクルの株主総会では親会社のヤフーの意向でトップと独立社外取締役の再任が否決、この辺に絡んでは本日の日経紙社説で「看過出来なくなってきた親子上場の弊害」と題して問題点が挙げられていた。

この件でトップは兎も角も社外取締役の処遇が物議を醸し出しており、結果としてこの株主総会後にアスクルの独立社外取締役は存在しなくなってしまったが、今後親会社の意向が強く働くケースが出てきた場合には少数株主の利益が脅かされるなど不利に傾く可能性も出て来ないとも限らない。

先に政府も新たな指針を作成し子会社の取締役会で独立した社外取締役の比率を高めるよう求める一方、親会社には親子上場を維持する合理的な理由を開示させるなど親子上場している企業グループの利益相反を抑える仕組みを謳っているが、政府が大株主となっている一部の企業でも社外取締役が3分の1に満たない例があるのが現状でこの辺がまだ課題として残る格好になっているか。


代替肉とESG

NYは大幅続落となったものの本日の日経平均は円安効果に助けられて小反発、そんな中個別では本日続落となったものの大塚ホールディングスが連結業績上振れ着地から一昨日急騰し一時4,000円台に乗せてきた。同社株といえば先月の日経紙・市場点描でも代替肉関連株への関心が高まっている旨で、大豆ミートを手掛ける不二製油ホールディングスと共に肉を使わないソーセージを販売する同社も取り上げられていた。

この代替肉といえば斯様な上場企業でなくとも埼玉のベンチャー企業グリーンカルチャーなど先月から代替肉焼売の販売を開始しているが、米でナスダックに新規上場した代替肉のビヨンド・ミートが株価大化けと共に話題を振り撒いているあたりから昨今は欧米の代替肉ブームの波が各所で波及しつつある。

当欄ではこれまで度々ESGについて触れてきたが、リアル肉に比べて飼料による地球温暖化への懸念等々環境への負担が少ないという事で環境や企業統治の観点から上記の企業群もESG投資のカテゴリーに括られるという事になるが、各所でこうしたサステナブルを意識する動きが加速しつつあると切に感じる。


思惑外れ

本日は日本郵政グループがかんぽ生命保険による不正販売問題に絡んで約3千万件の全契約について調査に乗り出す無の発表をしていたが、日経紙経済面では早ければ9月に売り出すとしていた政府による日本郵政株の第3次売却が、この不祥事から株価が急落した事による影響で今冬以降となる公算が大きくなった旨が出ていた。

当の日本郵政株は本日も寄り付きから年初来安値を更新しており、復興財源1.2兆円は必達事項と表明していただけにこの株価では売り出し価格の設定から、売却までの需給緩和を勘案するにここからはあと10%以上の値上がりが最低ラインといったところでやはり今回の不祥事は何ともなタイミングの悪さである。

売り出しに関る思惑外れといえば来月マザーズに上場する大阪大学発の新興バイオ企業のIPOも仮条件変更から当初の手取り額が計画より約4割減少する見通しとなった模様だが、この手とは違ってこちらは復興財源が懸かっているだけに深刻だ。今後政府の思惑通りに事が運ぶのか否かだが、先ずはグループ全体のコーポレートガバナンス体制の再構築が何所で一区切りつくのかが焦点となるか。


地銀の苦悩

本日の日経紙地方経済面には「持ち合い株削減じわり」と題し、北関東の5地銀・グループが持ち合い株式の削減を進めている旨が出ていた。単体の中核的自己資本に占める持ち合い株残高比率を25%まで低下させる方針を掲げる群馬銀行は、2019年3月期で18銘柄135億円を売却、以降額ではめぶきFG、栃木銀行、東和銀行と続く。

周知の通り日銀の超低金利政策の長期化による利鞘縮小を背景に地銀は収益力の低下に苦悩しており、先に全国地方銀行協会が公表した会員63行の平成31年3月期決算は最終損益合計が前年比20.7%減の6211億円と3年連続で前年割れとなり、全体の7割弱にあたる41行が減益の憂き目に遭っている。

企業資金需要低下や地域経済地盤沈下のなか貸し出し競争激化でスルガの様な苦し紛れの不正融資事例も出てきてしまっており、削減促進の背景にはコーポレートガバナンス・コードの政策保有株削減方針明記要求を背景にしているだけではない上記のような構造問題の恒常化もあり再編促機運がまた高まりそうだ。


令和の隅田川

さて、26日に発生した台風6号の影響で各所のお祭りや花火大会など夏の風物詩が各地で中止に追い込まれ、場所によっては2年連続で中止の憂き目に遭うなど関係者から恨み節も聞こえた先週末であったが、ここ数年順延や雨のチラつく天候に悩まされている隅田川花火大会は予定通りの開催となった。

東京三大花火大会の一つであった東京湾大華火祭が休止となってはや4年だがその分の経済効果も期待が掛かるというもので今年で42回目となるこの花火大会、衝撃の中止に追い込まれた2013年の記憶から関係者もやきもきしていたが、果たして約96万人の見物客が訪れ約2万発の花火を楽しんだ模様。

隅田川といえば恒例の花火コンクールが楽しみの一つだが、今年はエントリー最初の阿部花火工業と最後の菊屋小幡花火店の題材が両者共に奇しくも散る桜であったが、店が違うと作品も斯様に違うのかと感心。またここ数年時間差で動きや変色を見せる技術が格段に進歩し、今年優勝した丸玉屋小勝煙火店の五輪をテーマにした作品はやはり圧巻で令和最初を飾るに相応しい大会であった。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

4

1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30