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3年連続のスタバ

先週末にスタバが全体の8割以上のドリンクを今月中旬から4~28円値上げすると発表していたが、これで3年連続の値上げとなった。というワケで今月に値上げをする予定の飲食料品は帝国データバンクの発表では1626品目、前年同期の5639品目から大きく減少したとはいえ昨年10月以来、4か月ぶりに1000品目の大台を上回る。

身近なところで挙げれば、江崎グリコがプッチンプリンなど247品目を3~39%値上げ、また冷凍食品大手テーブルマークは家庭用冷凍食品やパックご飯など56品目を約3%~13%値上げ、そしてカゴメは家庭用トマトケチャップなど147品目を6.2%~16.4%値上げするが、このトマト関連製品は昨年の記録的な猛暑でトマトの価格が高騰した所謂“トマトショック”の影響が大きいか。

食品系ではこのトマトショック以外にも鳥インフルエンザによるエッグショック等もあったが、双方共に今は価格も落ち着きを取り戻している。一方5月迄で人件費を理由とする値上げ品目数は約2割を占めているというが、賃上げ分を確保する為の値上げが広がってゆくのかが今後の焦点で、そういった意味では春からの所謂「物流2024年問題」等もどういった影響を及ぼすか注目しておきたいところである。


モノづくり日本

周知の通り、先月は無人探査機の「SLIM」が世界初となるピンポイント着陸に成功しているが、その後太陽電池が発電できず電源を切った状態にしていたものが一昨日には太陽の向きが変わり太陽が当たった事から太陽電池パネルが復旧、地球との通信が確認されてその運用が再開したことが明らかになっている。

それにしてもこの度のピンポイント着陸、その誤差はこれまで数キロメートルとされてきたが、今回は目標地点からわずか約55メートルと前例のないピンポイント着陸であり大きな成果であったのではないか。このスリムを支えているのが搭載されている日本製品だが、三菱重工のエンジン、三菱電機のコンピューター、シャープの太陽光パネルに古河電池のバッテリー等々だ。

まさにオールジャパンといった感じだが、個人的に感心したのが着陸直前で月面に投下され月面を撮影したのがボール状のSORA-Qか。これをJAXA等と共に共同開発したのがこれまた玩具のタカラトミーだったが、月面に降り立ち変形する部分で変形型玩具のトランスフォーマーの技術が使われているということで、日本のおもちゃ技術が宇宙で活躍する時代が来たとは何とも夢のある話ではないか。

昨年末には宇宙ビジネス展示会「NIHONBASHI SPACEWEEK」を書いた事があったが、今や宇宙はこれまでの調査する場から様々なビジネスの場に移りつつある。世界的な競争のなかで日本企業が存在感を示す機会はまたとないチャンスともいえるが、今回の件では上記の通り宇宙という舞台で日本のモノづくりの力を改めて示す事が出来たのではないか。


世界10大リスク2024

今週は国際政治学者のイアン・ブレマー氏が率いる米調査会社ユーラシア・グループが、年初恒例の「世界10大リスク」を発表している。昨年の1位は「ならず者国家ロシア」であったが、今年の1位には「米国の分断」を挙げている。11月の大統領選に向けて国内の政治的分断は悪化し、米国の民主主義がこれまでになく試される年になるとの予測だ。

成程、今年は大発会の日にも書いた通り世界規模で史上最大の選挙イヤーである。今週の台湾総統選を皮切りにして、来月のインドネシア大統領選、そして3月には昨年1位に挙げられた「ならず者国家ロシア」でも出来レース?の大統領選がある。このロシアも米大統領選でバイデン氏の再選か「もしトラ」かで命運が大きく変わって来る可能性があるが、その結果如何で世界のあらゆる問題にも大きく影響してくるであろう。

そして2位に挙げられたのが「瀬戸際の中東」、ロシアによるウクライナ侵攻もこの現代にあってまさかの出来事であったが、にわかに勃発したイスラエルとハマスの衝突も衝撃であった。いずれも今なお終息が見えないが、斯様に世界各地で落ち着いていたかに見えた紛争も活発化の可能性の高まりで世界は更なる紛争に戦々恐々とする事になってゆくのか不気味である。

また3位に挙げられた「ウクライナの事実上の割譲」もなんともやるせない感だが、この辺は上記も書いた通り米大統領選の結果次第か。そして4位にはAIのガバナンス欠如が挙げられているが、世界経済フォーラムも国際社会を取り巻く2024年の報告書にて誤情報と偽情報を短期リスクの1位に挙げている。昨年2位に挙げられた中国の不透明感も一段と増す事も予測されているが、いずれにせよ今年もまた各方面で予期せぬ事態に身構える1年になりそうだ。


今年の値上げは?

さて年が明けても巷で関心が高いのが飲食料品等の値上げラッシュの行方について。帝国データバンクによれば昨年のそれは累計で3万2396品目と一昨年の累計である2万5768品目を6628品目、率にして25.7%上回る事となった。年間で3万品目を超える水準というのはバブル崩壊以後の過去30年間でも例を見ない規模であり、記録的な値上げラッシュであったといえよう。

今月の値上げは日清オイリオのドレッシングやごま油に味の素の調味料などだが、今年の値上げで最も多い食品分野は冷凍食品類やパスタソースなど「加工食品」の2137品目で全体の約半数を占めており、次いでトマトケチャップや出汁・つゆ製品など「調味料」の784品目となっている。

そうした裏でここ数年続いた値上げラッシュに消費者の購買力が追い付かなくなり買い控えをはじめとした値上げ疲れが食品の売り上げにも影響を及ぼし始めている。食品スーパーではPBへ人気が集中、相対的に値上げ品目商品は購入個数が減少したり販売数量の減少も見られ結果、後半以降の値上げの勢いが大幅に減速する事となった。

そんなことや輸入物価の下落等を背景に24年は4月頃までは比較的抑制された状態が続くと想定されるが、昨年に進行した円安の影響や人件費などの動向次第では変化する可能性もある。サービス価格では既に後者の人件費増を反映した上昇傾向が顕著にみられるが、今後は食品分野にも波及することも想定され値上げの内容の部分の変化には要注目である。


4年ぶり1億円超え

先週から大手百貨店各社の初売り商戦が本格的に始まっているが、新型コロナの5類移行後で初めての正月ということで今年も各社共に好スタートをきっている。三越伊勢丹は1月2日~3日の売り上げが主力3店累計で前年同期比2%増加、高島屋も同6.4%増加し大丸松坂屋も同期間の売り上げが前年を上回り、初売りを今年から1日遅らせた松屋銀座では3日だけで昨年1月2日~3日の8割を超える水準を確保した模様だ。

これらを牽引しているのは国内富裕層に加えやはりインバウンド客によるところが大きいか。免税カウンタ-の混雑は円安の恩恵を物語っているが、国内百貨店の昨年7~1月期の免税売上高は過去最高を更新しており昨年のインバウンド全体の消費額は5兆円とも試算されたが、大手生保系シンクタンクでは今年はそれを上回る6兆円に達する可能性を指摘しており今年もこの辺はインバウンド客にかかっているといえようか。

ところでこれと並ぶ年初の風物詩、マグロの初競りも先週末に豊洲市場で行われたが4年ぶりに一番マグロの値段が1億円を超える結果となった。昨年も一昨年の値から約2.1倍とコロナ禍以降では最高額だったが、今年は更にその3倍を超える値がついたことになる。注目の競り落とした向きは今年もまたすし店経営の「ONODERA GROUP」と仲卸の「やま幸」であった。

彼らが一番マグロを競り落とすのはこれで4年連続となった。今年は上記の通り4年ぶりの1億円超えだったが、思い起こせばマグロの初競りにおいて初の1億円超え落札を演出したのは言わずもがなあのすしざんまいの「喜代村」であった。豊洲移転直後の史上最高値3億円超えの歴史を作ったのも喜代村であったが、代名詞的存在であっただけにまたどこかで返り咲いてほしいものだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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