エンゲル係数と台所事情
先の日曜日の日経紙には「エンゲル係数 日本圧迫」と題し、主要7か国中で消費支出に占める食費の割合であるエンゲル係数の首位が日本との記事が一面を飾っていた。今の日本は高齢者の割合が多い環境下で可処分所得の伸び率も低迷するといったもともと同係数が高くなり易い素地があるなか、加えて物価高の波が食材を直撃している構図か。
その昔学校で初めてエンゲル係数なる単語が出てきた時にはこの係数が低いほど生活水準が高いと教えられた記憶があるが、記録では2000年以降でエンゲル係数が一番低かったのは2005年3月の19.7%、以降10年ほど前まで20%台前半での推移となっていたが、今年の8月では30.4%と30%大台を超えるまで水準を切り上げてきている。
食材に絡んではもう一つ、帝国データバンクが出しているものにカレーライス1食分に必要な食材と水道光熱費から算出した「カレーライス物価指数」なるものがあるが、先週発表された9月の同物価は364円と6か月連続で最高値を更新。これで2020年の平均を100として算出した同物価指数も133.1となり、ここ5年間で3割を超える上昇率を演じ前年同月比では18.8%上昇し16か月連続のプラスとなっている。
先に行われた住友生命保険による「我が家の台所事情アンケート2024」によれば物価上昇の家計への影響があるか?との質問では影響ありが8割近くにのぼり、具体的に何に影響を感じるかでは約9割が食費と回答、これにより7割以上が支出削減・節約に取り組んだとしており項目では食費が1位であった。より厳しさを増す台所事情が浮き彫りとなった恰好だが、継続的な実質賃金の上昇などやはりここでも重要課題として挙がって来る。