224ページ目   雑記

ハロウィーン経済

さて、秋の一大イベントになりつつあるハロウィーンから1週間が経過したが、今年の渋谷も初の交通規制導入するもあまり費用対効果が得られなかった模様だが、1,000億円の大台を軽く超えバレンタインを既に抜いていると言われた経済効果の方は果たして如何ほどであったのだろうか。

この辺の経済効果に関して最近では草食化する若者を背景にした恋愛減少からこのハロウィーンがバレンタインの市場規模を侵食したとする見方も出てきたが成る程妙に説得力がある。ところで経済と言えばもう一つ、ハロウィーン翌日を高値に急速に値を崩した日経平均だが「株はハロウィーンに買え」との格言がある。

2000年以降の16年間を検証してみると外れたのは5回ほどで、その平均騰落率は2000年以降は7%ほどのプラスとなっていると日経紙で見掛けた所謂アノマリーだが、昨年から今年にかけてはこの間に日経平均が12.7%下落した外れパターン、さて今年はアノマリーの期待に適うや否や米大統領選を挟む注目のサンプルである。


ピンポイント消費

さて、今朝見掛けたTVでは最近のインバウンド需要の傾向をかつての「爆買い」から、「錦鯉」や「ウイスキー」から「ニッカポッカ」等々に狙いを定めてくるというような所謂ピンポント消費の傾向になってきている旨の報道が為されていた。

とはいってもこの辺は以前より世界中のシェフが挙って買いに来る「包丁」や、上記の錦鯉よろしく生物では「秋田犬」から上記のニッカポッカのようにファッションとして注目されている「ランドセル」や「着物生地」等々、一寸思い返しただけでも幾つも過去に報道されていたような気がしないでもない。

ともあれ爆買いの勢いに陰りが出始めホテル稼働率等の数値はそれを如実に表し始めている。日本経済新聞社がまとめた8月都内主要18ホテルの平均稼働率は、79.2%と前年同月より6.2ポイント下がり低下は実に7ヵ月連続となっており、割安プランの販売強化が各所で目立ってきたという。

また、首都圏ほどではないにしろ大阪・名古屋でも稼働率低下が目立つというが、当欄では東京五輪も睨んだ高級ホテル競争について7月に触れたばかりであり、ここからの局面で外資系含めた各社政策にブレはないのか否か引き続きインバウンド動向はこれら稼働率等睨みつつ見てゆきたい。


相互インスピレーション

さてここ一週間で気になった報としては、長らく作者不明とされてきたオランダのライデン国立美術館所蔵の6枚の絵が江戸時代後期の浮世絵師、葛飾北斎の肉筆画である事が同博物館の調査でわかったという件か。親交があったドイツ人医師シーボルトから影響を受けた作品群とみられるが、西欧の水彩画技法を真似た異色の作品とか。

葛飾北斎といえばこの間久し振りに会ったピアノ講師をしている知人女性と逢った際にも、ドビッシーが浮世絵が好きで自身の交響曲「海」の楽譜の初版表紙には此処からインスピレーションを得たとして、北斎の富嶽計三十六景の第二十八景[神奈川沖浪裏]を使用、自室にも同じ北斎の絵が飾られていた云々の話をしたばかりであった。

また、印象派の画家も浮世絵に影響を受けた向きが多く、例えばエドガー・ドガは「北斎漫画」を参考にした人物像を描いた事で知られているが、この「北斎漫画」を用いたのはこのドガだけではなく、アール・ヌーヴォーを代表するガラス工芸家のエミール・ガレもまた「北斎漫画」の鯉を図案に入れた花瓶を世に送り出すなど挙って自身の作品に浮世絵の要素を取り入れていた。

斯様に世界中の多くの巨匠にインスピレーションを与えてきた北斎も今回の件で同様にまた西欧技法からインスピレーションを得ていたという事が窺える話だが、いずれにせよドビッシー然りドガ然りこの頃のパリの東洋趣味を象徴する話と併せアートの世界は時々こうしたエピソードが舞い込んでくるから面白い。


サイダーの甘い匂い

さて、以前の当欄でも触れていたが今月上旬には東証マザーズ上場の「ALBERT」株の公表前の業績予想を保有する親族らに伝え、損失を回避させた等として金商法違反に問われた元会長の初公判が開かれ起訴内容を認めた旨が報道されていた。

インサイダー取引といえばもう一つ先月も「みんなのウエディング」株でクックパッドによるTOB情報からインサイダー取引をしたとして兵庫県の男性が証券取引等監視委員会から課徴金納付を命じられる件もまた明るみになっている。

更に先週報道されたものには、TOCOMの元市場取引監視委員会委員長を務め同所取締役も務めた元大学教授が、知人の上場企業幹部から得た未公表情報を基にインサイダー取引をして1千万程度の利益を得たとし証券取引等監視委員会が強制調査をしている件もある。

不正な取引を監視する市場取引監視委員会の元トップというのがなんとも皮肉な話だが、斯様にインサイダー情報の甘い匂いに誘われウッカリ手を出しバレてしまう輩は後を絶たないが、本邦の市場もソコソコの利益を得てしまうような取引においては一昔前から比べるに摘発率が格段に高くなったなと感心することしきりだ。


BCP

先週末は鳥取県中部で震度6弱の揺れを観測したとの報が舞い込み、既に住民からの家屋の被害届が1,500件を超す事態となっているが、先の熊本大地震から半年そこそこで再度列島がザワついている。

この手の災害の報が出る度に首都圏でも主要インフラに対する事前対策が話題になるが、奇しくもこの日の日経紙投資情報面には「東証を大阪から遠隔操作」と題し、日本取引所グループが首都圏直下型地震など大規模災害に備えて、2018年3月期中に東京証券取引所の株式取引システムを大阪取引所から遠隔操作する仕組みを整える旨が載っていた。

この辺に関しては最近また「豊洲問題」で引っ張り出されそうな当時の石原都知事が、先の東日本大震災の時に「首都機能のうち証券市場の中心は大阪に移すなど大きな発想力で取り組むべき」と発言したのが記憶に新しいが、JPXは先行して節電策等で業務を大阪本社へ移管するなどしてきた経緯がある。

BCP(緊急時事業継続計画)に関しては現状運行システム等でもバックアップ機能等万全の態勢で臨んでいるところが多いが、思えば上記の元東京都知事発言以来金融インフラに関してのこの分野の整備体制はあまり耳に入ってきていないものの、この課題も焦眉の急を告げるといっても過言ではない状況になってきているのではないだろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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