245ページ目   雑記

フィンテック日進月歩

本日の日経平均は堅調な米11月雇用統計を受けて週末から一転して急反発となった。同内容は非農業部門雇用者数が予想を上回る21万1千人増、失業率は前月と同じ5.0%となりこの発表でFF金利先物取引から算出される12月の利上げ確率は76%に上昇しており、利上げはほぼ確実と一部で報じられている。

これまで上値を抑えてきた主因が金融政策の不透明感であったと考慮すればこの度の利上げ確率は好感されて然るべきであったが、反面週末の急反落はECBが期待されていた追加金融緩和策を発表したものの期待されていた資産買い入れ規模拡大は含まれなかった事で市場に失望感が広がったもの。

斯様に金融政策結果でボラタイルな展開となる為にその予想にも関心が向かうが、先週の日経紙にはこの辺に関して「AIが読む政策と株価」と題しAI(人工知能)を使った予測モデルが立て続けに開発され、実際に追加緩和がコンセンサスであった先の10月の日銀金融政策決定会合では緩和に動かずとの示唆をしてその能力の高さが証明された旨も載っていた。

GSAMではアナリストリポートを全てAIで解析するというが、高速売買が市場を席巻し人が作成したリポートもAIに投げる時代になった。このGSは昨年にAIでリサーチャー業務を代替する米ベンチャーに出資もしているが、これら運用や助言はじめ電話応答までフィンテックも日進月歩となっている。


視聴覚

昨日の日経紙では朝刊・夕刊共に特許庁が直近で新しく認めた商標に絡めて、企業等が商標取得に向けて厳しくなりつつある審査突破を睨んだ動き等について書かれていた。先の新しい商標の中にはCMで流す音や声までが登録されたのは新鮮であったが、一寸前に揉めていた正露丸など思い出される。

上記の通り昨日の朝刊では「色の商標権、企業が争奪戦」として色彩に関しての企業の関心の高さも載っていたが、確かにコーポレートカラー等として各社この辺は周知徹底されているだけに登録獲得しておきたいところだろうが単色での登録はティファニーブルーなど一部に限られ事例が少ないという。

確かに個人的にも昔見たKOREANAIRのCMは、最後に企業ロゴが出るまでてっきりティファニーのCMと勘違いしてしまった事があったのを思い出したが、この辺が長年親しまれ認知度が高い物の証なのだろうか。他にもルブタンのあのレッドソールに関しての裁判沙汰の話もあったが、主観と客観が鬩ぎ合う商標権の世界は実に難解を極めるか。


撤退と進出

本日の日経紙一面には「中国高齢化、巨大市場に」と題して、ニチイ学館やエーザイ等が中国の急速な高齢化をにらみ現地向けのサービスに積極投資する旨が載っていた。日本で培った事業ノウハウを活用し、巨大市場の変化を商機として掴むという。

斯様に中国ビジネスに商機を見出す進出組がある一方で、先週末の同紙では日清食品HDが中国での即席麺合弁事業解消の報道もなされている。提携企業と戦略に温度差があったというが、同じ食品業界ではヱスビー食品が生産を打ち切り、カルビーに至っては商品戦略での意見の違いから合弁設立からわずか3年というスピード解消をしている。

他にも今年に入ってパナソニックの液晶テレビ生産打ち切り、NTTコムの事業計画頓挫、ホンダの新工場建設見送り等の報道もあったが、1-9月の中国への直接投資実行額は前年同期比25%減と中国経済の減速も影響したのか対中進出への衰えが顕著だ。かねてより様々なリスクから対中ビジネスの難しさは指摘されてきたが、個々の戦略とコミット次第で今後も明暗が分かれてくるのは想像に難くない。


銘柄共々不可解な動き

さて、昨日の引け間際に起きた不可解な動きとして黒田電気や三信電気の急落が一寸した話題になっていた。黒田電気は引け間際わずか1分そこそこで200円以上も急落、また三信電気も黒田電気とまったく同じ時間帯で150円以上もの急落が目を引いたが、両社とも当欄で取り上げた経緯があるように最近はあの村上ファンド関連が買い集めに走った銘柄として注目されていたモノ。

この引け際を挟んで証券取引等監視委員会による村上氏への強制調査が彼方此方で報じられこの急落現象も合点がいったが、容疑内容はTSIホールディングス株の株価操作という。空売りで不正に株価を下げたというが、当の銘柄は前身が同氏の買い集めから日本で初めてのプロクシ―・ファイトとなった東京スタイルという曰く付きの企業。

まあその辺は兎も角も、借株して利益を得る行為が今回強制調査を受けるハメになってしまった経緯が一寸不透明な感は否めない。最近では貸借指定で無い銘柄まで証券会社が貸すサービスを行っているところまであるが、この手がクロなら魑魅魍魎のヘッジファンドのショートなど殆どがこれに抵触してしまうのではないか?

沈黙を破って再度の同氏復活劇の背景には今年のコーポレートガバナンスコード適用に商機を見出したという部分も大きいとの見解を書いた事があったが、先週逮捕された仕手筋の大物代表も沈黙を破っての復活であった。両者共に相場操縦の金融商品取引法違反容疑で過去にケチがついていた者同士であったが、立て続けに挙げられるのを目の当たりにし正直こちらも釈然としない感は否めない。


今年の改正大綱

本日の日経投資情報面には、金融庁が2016年度の税制改正で要望している株式等の取引とデリバティブ等の金融派生商品取引との損益通算について、ネット証券等が個人投資家の賛否を調べたところ93%が賛成だったことが24日分かった旨が書いてあった。

この辺に関しては確かに今月中旬頃、「個人投資家に有利な税制改正に関するアンケートご協力のお願い」と題してネット大手からお伺いが来ていたの思い出した。その項目は未経験だった新たな投資商品に食指が動くかなど投資行動に変化が出るか否か等複数あったが意欲的な回答もあった模様だ。

税制改正大綱については今からちょうど4年前にも当欄で取り上げた事があったが、当時からこの株式とデリバティブの通算に関しては検討事項に盛り込まれ続けてきた。デリバティブ以前に損益通算といえば直近ではNISAもやり玉に挙げられていたが、総合取引所創設にも絡んで長年の悲願は叶うのかどうか実現の可否には注視しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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