269ページ目   雑記

体質

本日の日経紙には「証券、顧客と長く深く」と題して、野村や大和など証券各社が金融資
を手厚く持つ高齢の顧客等と長く深い関係を築くために営業正社員の定年を最長で70歳まで伸ばしたり、遺産相続等の相談に乗る専門家を支店に置くなどという試みに取り込んでいる旨が載っていた。

斯様に短期的な証券売買による手数料収入への依存から脱して個人投資家との信頼関係を重視した質の高い営業への転換を目指すとしているが、この課題はもうバブル崩壊後あたりからいわれて久しいが結果的に収益構造はあまり変り映えがしていないのが実情か。

確かに一昔前の仕切りや不抜け売買の営業など、入社してくる新卒はその言葉さえ知らない向きも多いだろうがやはり回転してナンボの部分は要だ。販売にしても証券会社や銀行は今が旬となっている投資家人気の高いテーマものを次々と新しく設定、リスクの大小に関わらず大々的に営業をかけ旬が過ぎれば解約の嵐だが、その頃は既に営業の主力からは外してしまっている。

この辺が手数料稼ぎの道具という批評が多くなる所以だが、それでも並行してここ数年で漸くいくつか販売手数料無しなど投資家目線を謳うファンドも出てきている。とはいえ純資産額はまだまだ僅かで、今後数十年にわたって続いてきた上記の構図に変化が出てくるや否やこの辺の動きが注視される。


試金石

先週末の日経紙マーケット面には「日銀頼み裏で進む選別」と題して、先月末の金融緩和決定に従って決定後初となる5日のETF購入額が10月平均の147億円の約2.6倍の380億円に達したことが出ており、その辺と併せて日銀頼みの株高期待が広がっている旨が載っていた。

ところで文中には、週末から週初にかけての総株高の中にあってもジャスダック上場の日銀株は反応薄であったとも書いてある。確かにサプライズな発表があった31日の出資証券価格は前日比マイナスで引けており出来高も過去数日と変わらずと、前回の緩和時とは価格も出来高もまるで様子を異にしていた。

上場銘柄とはいえ株主総会もなければ議決権もない所謂普通の株式会社ではない日銀のそれは正確には出資証券ということで当欄では常にそう書いてきたが、その価格は長年円の信用力を測る目安とされ、また相場全体を映す鏡とも言われてきた。昨年3月に当欄でこれを取り上げた際には、「白から「黒」への交代劇で今後の政策もこの出資証券と併せ注目されてゆくことになろう。」と書いたがここからが正念場になるか。


ドミノ再編の契機?

さて今週は週明けの日経紙一面を飾っていた通り、横浜銀行と東日本銀行が共同持ち株会社を作り両行が傘下に入るような格好で経営統合する方針を固めた旨の発表があった。この横浜銀に関しては静岡銀や常陽銀などと共に長年にわたって常に統合のうわさが燻っていたものだが、いよいよ現実のものとなったか。

地銀に関しては当欄でも今年8月に「低PBR離脱」と題して書いた際に「地銀は業績回復の期待のかかるゼネコンと違って利益成長への手詰まり感が否めない。こちらはこうした方向性が出てこない限り、暫くは再編思惑がこの辺の切っ掛けとなろうか。」としたが、果たしてこの日の値上がり率ランキングでは東日本銀行が東証一部で一時トップに躍り出る急騰となり、横浜銀行も続伸となっていた。

上記の通り当欄で触れた8月から2ヶ月一寸で先ずはこの両行が出てきた格好になったワケだが、人口減などで地銀経営環境は厳しさを増しているなかそうした波もいよいよ首都圏行にも波及、これまでと違って健全経営とされた二行の統合で攻めの時代に入った感もあり市場では早くも次の候補探しが始まっている。


またもハロウィーンサプライズ

本日の日経平均は週末に続いて大幅続伸し前場には約7年ぶりに17,000円大台をも回復となったが、それにしても週末の追加金融緩和はサプライズであった。ちょうど前回の当欄では3年前のハロウィーン当日に円相場が急騰し戦後最高値を更新した旨を書いたばかりだったが、またもハロウィーン当日にこんなお化けが出るとは意外であった。

上記の通り株式市場も買い方にとっては思ってもみない【お菓子】が降ってきた格好だが、こうなると個別の値上がりなどかすんでしまう。オプション市場に目を向けてみると、例えば当限コールで先週水曜日にたった1円だった行使価格16,875円コールが、本日は寄付きが545円とたった4営業日で545倍!に大化けである。そのすぐ下の17,000円コールでも週末金曜日の寄付2円がその日のうちに高値165円を付け実に82倍超え、またこの日には2円で寄ったあとに1円の安値を付けており本日の寄付では450円と2営業日で450倍!になっている。

まあ普通の精神で今朝まで引っ張れる向きはなかなか居ないと思うが、ちょうど東日本大震災の時の阿鼻叫喚なプットの大化け再現を今回のコールが演じたような格好になったか。そんな大盤振る舞いも先週末の日経紙社説や春秋には副作用の懸念に言及していたがこの辺は当然だろう。ステロイドも使い方を誤ればその副作用は計り知れない。


漸く市民権

さて明日は毎年恒例のハロウィーンである。ヨーロッパのハロウィーン発祥のケルト人ゆかりの地域に住んでいる身内は学校もこれの休みに入り、「ジャック・オー・ランタン」の力作や地元での盛り上がりの様子を写したメールが今年も送られてきたが、やはり発祥の地だけあって町をあげてという感じの賑わいだ。

日本もそんなワケで先週末などは何処もこれに絡む地域のイベントやらがピークだったのではないだろうか?このイベントも漸く市民権を得たのか数年前から一段とその規模が広がりを見せており、今年の市場規模はバレンタインの約1,080億円を初めて上回る1,100億円規模になりそうだとの報道も先になされていた。

ところでハロウィーンで思い出すのが3年前のこの日の円相場か。早朝のオセアニア市場で対ドルで75円台前半まで急騰し戦後最高値を更新、政府・日銀が約3ヶ月ぶりに単独介入に踏み切ったのが記憶に新しいが、そんな当時や今度どんな進化を遂げるのかに想いを馳せつつ今年も招待されたハロウィーンパーティーに臨むとしよう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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