277ページ目   雑記

ポスト初

祭日明けの日経平均は連休控えのなか、米景気の先行き不安や欧州株安を嫌気し前場は急反落となっていたが、後場は加えて日銀金融政策決定会合結果も現状維持となった事から更に一段安で500円を超える下げとなった。こんな時は万遍なく売りが広がるが、中でも比例配分のストップ安で目を引いたのは京王ズであった。

これは周知の通り一昨日に東京証券取引所が5月29日付けで上場廃止にすると発表した事に因るものだが、とうとう特設注意銘柄指定から初の上場廃止が出る事になった。当初内部管理体制等の点で長期にわたって著しい不備が認められた為の同ポスト入りだったが、直近でも元代表への不正な資金流出が発覚し執行猶予もこれ以上はというところだったか。

現在の特設注意銘柄には今月中旬に「上場ゴール終焉?」の題で先に挙げたマザーズのエナリス、また新興市場だけでなく東証一部からはあのリソー教育も入っているが、誰が見ても債務超過等で決定的パンクというより未だ生きている状態での上場廃止はほんとうに匙加減という印象は未だある。

かつて内部管理体制に問題ありとしてあのオリンパスもこの特設注意市場に入れられていたが廃止措置は免れ今や優良株、また日興コーディアルGも免れたが同じ犯歴?のライブドアは有無を言わさずの上場廃止であった。上記の京王ズは上場以来まともな決算が無かったとの噂だったが、確かに昨今のIPOゴールとされる現象を見るにこうした懸念は消えず、セカンダリー以前の精査徹底は投資家保護の観点から今後の課題ともいえる。


読めぬ予測

さて過日久し振りに大手スーパーに足を運ぶ機会があったのだが、食品の試食コーナーの並びにまた別な列が出来ていて、それは直近で販売休止を打ち出したサントリー製品の試飲コーナーであり、傍から手を伸ばし箱買いする向きが何人も居たのがけっこう印象的だった。

いわずもがなその飲料は今話題になっているサントリーの「南アルプスの天然水&ヨーグリーナ」だったのだが、しかしサントリーといえば先に鳴り物入りで炭酸飲料の「レモンジーナ」を発売するもわずか2日足らずで販売休止にしてしまった経緯があり立て続けの事態となる。

斯様にこんな事の連続から所謂「あおり商法」や「品薄商法」疑惑まで出る始末だったが、同様にこの手ではハーゲンダッツが和風アイス2種類を発売するも2日後に販売休止を発表した経緯があり、同じアイスものでは更にその前の赤城乳業の「ガリガリ君コーポタージュ」も発売3日後に販売休止が発表された経緯がある。

一様に需要予測が甘かったとの謝罪発表が為されているが、昨今ではネットでの情報も拡散氾濫がますます顕著になってきているだけにこれまでの経験則が通用しない部分もあり、その分需要予測自体が困難になってきているのかもしれない。メーカー、小売店共に要らぬ勘繰りも降りかかりやれやれだがマーケティングの奏功も悲哀交々である。


再編思惑

本日の日経平均は2000年4月14日以来、実に15年ぶりに大引での20,000大台乗せとなった。相場を此処まで牽引した原動力になっていたのはコア系のTOPIXが堅調持続したところが大きいが、その中心となっていたのが銀行セクターだろうか。

この中でメガバンクはいわずもがなだが地銀株も突飛高したりジワジワと年初来高値更新したりというものも少なくない。この地銀、メガバンク勢はそれぞれ親密な地銀株を保有しているがその地銀は地銀でまた持ち合いの商習慣?から今なお相互に株式を保有しているのが現状でこれまで経営統合の発表が出る度に思惑で株価上昇していたものも多い。

今月初めに当欄で書いたように、今年6月からの企業統治指針を睨んでこれらもまた持ち合い理由の説明義務が生じてくる事から当然この解消促進思惑と絡めて再編思惑も常についてまわる。こんな事から次の突飛高を睨んで水面下で玉を手当てする動きも一部見られ、またスマートベータなどの組み入れも需給に大きな変化をもたす事で今後もまだまだ宝探しが続きそうだ。


新興貸借指定

さて、週明け昨日の日経平均は先週末の米株式大幅続落やそれの主因となった中国の貸株規制緩和などに戦々恐々であったものの、いざ蓋を開けてみれば後場にはほぼプラス圏で推移するなど肩透かしというか意外にも堅調展開で、本日の日経平均も欧米株高に加え主力株堅調から引続き上げ幅を拡大し高値引けとなった。

ところでこの上海株だが、先週末の日経紙では時価総額が初めて日本株を上回った旨の記事が出ていた。これまで中国市場といえば一括りにこの上海と深圳の合計で日本株を上回っていたとされていたものだったが、上海はこの1年に2倍にまで上昇していた事から単体でも上回ることになる。

そんな過熱感から中国の証券業協会、証券投資基金業協会、取引所は連名で上記の通りの貸株規制緩和発表に至った訳だが、果たして初日は小確りのスタートとなっている。元々外国人の売買も長く規制され、年金制度の未整備で機関投資家も育っていない市場だけに全体のリクイディティが個人で形成されているようなところで、差し詰め小型新興銘柄を新規に貸借指定したといったところか。

新興並みの板だけにかつての2007年の彷彿もありこの新規制には戦々恐々だった訳だが、貸借もカラを呑み込んで好取組を形成してくるようであればそれはそれでまた上昇の原動力となるワケで今後どういった展開になってくるのか見ものでもある。


池の中の鯨?

週末の日経紙で一寸目に付いたものに経済面の「投信、3週間で販売停止」と題した記事があった。これは野村證券グループの野村アセットマネジメントが先月25日から募集していた投信「日本企業価値向上ファンド」の事だが、月初の当初設定額1,057億円に対して直近の資産は実に1,800億円超の積み上がりを見せていた。

同ファンドは読んで字の如くROE改善が見込める企業等を選び投資するモノだが、これと似たようなキャラのものは昨年から大和や岡三、ニッセイアセットなど各社が設定しており、ニッセイなど設定以来の運用成績はROEを重視した新指数であるJPX400を上回っているという。

他にこれまで販売停止になったものとして思い出すのがちょうど2年前の今頃話題になったJPモルガンアセットの「ザ・ジャパン」があったが、再募集再開でもわずか1週間で再度の募集停止になった経緯があったなと。上記の価値向上ファンドは個別銘柄非公開だが、このザ・ジャパンなど組み入れ銘柄が更にチョウチンを誘いそちらでも話題になったものだ。

一方でこんな動きの裏で急速に人気離散しているのが、かつて国内投信で資産額がトップだった「グロソブ」である。一定額の分配金を支払う毎月分配型の先駆け的な存在であったが、上記のような運用商品の多様化や国債利回り低下から資金流出が長引き今月中旬段階で約12年半ぶりにとうとう1兆円の大台を割り込んでいる。斯様に「旬」なものは移ろい易いが何所までこの傾向が続くのか見守りたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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