279ページ目   雑記

持ち合い解消促進

新年度入りとなった日経平均は日銀短観を受けて続落スタートとなったが、昨日末尾に書いたように2014年度の日経平均上昇率は約3割に上った。本日の日経紙にはこの間株価上昇を牽引した主企業が、値上げ力・訪日外国人増、高ROE・株主還元強化、米景気回復・大型投資の項に分かれて幾つか挙げられていた。

こうした事も寄与して大手銀行5グループと大手生命保険4社が持つ株式の含み益も2015年3月期末で、計18兆1000億円と前期末比で8兆円強増えその増加率は8割に達している。とはいえこうして含み益が膨らむ裏で、近年重視されるROE等の観点からは持ち合い株を保有する合理性が一段と問われるとも日経紙では指摘されている。

先に個別ではH2Oリテイリングが同業の高島屋株の売却を発表しているが、当欄でも先月に15年の変遷と題し「持ち合い合戦の呪縛から解放」と書いている。この辺に関しては再来月から導入されるコーポレートガバナンス・コードで持ち合いに関して中長期的な経済合理性を説明するよう求める件もあり、今後は持ち合い株の最後のあぶり出しが促進される可能性が高くなるか。


この一年

本日はとても暖かく何所も桜が満開となっているが早くも明日からは新年度、4月からはいろいろと変更点があり円安の影響もあって食品類の値上げも各種ある。ちょうど一年前は増税を目前にして彼方此方で駆け込み需要が見られたが、毛色の変わったところで金などもこの類で大手の田中貴金属は3月だけで販売量が前年同期比で5倍以上、石福金属工業も3月は前月比で6割も増えていた。

メタルと言えば本日の日経紙にはパラジウム相場が東京で約4ヶ月ぶりの安値水準になった旨が出ていたが、これも一年前にはウクライナ情勢絡めたロシアの生産への影響や南ア鉱山スト等の影響も重なりCBが発動されるほどの賑わいになっていたのを思い出す。

コモディティーはそれとしてストックの方も大証が大阪取引所として新スタート、またJPX400先物創設を表明したのもこの頃であった。個別ではロボットスーツを手掛けるサイバーダインが上場したのもちょうどこの頃、とこの一年でいろいろな姿を見せてきた株式市場だが2014年度の最終売買日は昨年比で4,379円高、その時価総額は129兆円の増加を見せた。来る新年度はどういった動きを見せるのか引き続き注目される。


ステークホルダーの答え

さて、当欄で「家具屋姫」として今月上旬に書いた大塚家具のプロキシーファイトを巡る騒動だが、先週末に有明で開催された定時株主総会は異例ともいえる注目を集め、周知の通り軍配は娘の社長側にあがり続投が決まることとなった。

この間まさに株価も含めて波乱の約1ヶ月となり、前回も当欄で書いたように父と娘それぞれの世代というかキャラを反映し舌戦を交えたドラマが展開されることになったものの、今回ほどステークホルダーと真摯に向き合う形になったのは創業以来の事ではなかったろうか?

株主総会直前まで大塚家具は新聞に折り込み広告を入れていたが、20日付けのチラシは「快眠ベッドコレクション」と題し、その下のブランド名にはシモンズ等の名門と並びフランスベッドの文字も見られた。同社は直前で会長支持を表明したが苦渋の選択だったのだろうか。ちなみに総会前日の26日付けのチラシのタイトルは「新生活をより素敵に心地よく」であったが、この主要な期である春商戦のエネルギーがこの騒動で消耗された感は否めない。

個人的な感想だが、時として顧客によって態度を変えるような慇懃無礼感漂うその接客姿勢は、一昔前に破綻した某航空会社のCA等にも見られたもので、こういうのが好きな向きにはそこそこ心地の良いものであったかもしれないが、この辺も上記の広告戦略と共に一新されるのか否か、今後の新体制が注目される。


クジラ相場

昨日の日経紙には「日銀、株保有10兆円に」と題して、年3兆円のペースで株式を買い増している日銀の保有株時価が今月に入って東証時価総額の2%弱の10兆円を超え、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に次ぐ大株主となった旨が載っていた。

その買付方法を巡っては具体的な方法が明かされておらずベールに包まれているが、市場ではこれまで前日比1%下落したら買いが入る云々の所謂日銀ルールが度々話題になってきたものだ。今年に入ってからその買い入れ回数は20回になったと同紙には書いてあったがこの執拗な買いが時折踏みを誘いこれまで下げるほどその後の相場の伸びを演出してきた。

ところで大発会はその年の相場の特徴が表れるとよく言われており、今年の場合大発会で前日比200円以上急落していた場面から300円以上も切り返すなどボラタイルな展開となったがその背景はいわずもがな日銀のETF買いであった。これら含めいつの間にかクジラと呼ばれる公的マネーの影響で直近では円相場から米株式W離れまで喧伝されるほど妙な安心感が蔓延している。

しかしその裏で当然ながら並行してこうした官製相場の弊害も同時に指摘され、1990年代の所謂PKOを想起させている事で今後の低迷を懸念する声も多い。もちろん当時とはPER等の指標も相違しており同一線上では測れないが、健全な調整まで意図的に阻止し続ける事になればやはり特異市場が形成され、クジラが政治的利用との烙印を再度押されてしまうのは想像に難くなく日銀の出口戦略等も今後注目されることになる。


こちらも転換

さて、本日の株式市場では先週ディー・エヌ・エーと共にストップ高まで買われた任天堂がその後の一服から再度切り返していたが、先に共にストップ高の急騰を演じたのは周知の通りスマホ向けゲームを共同で開発・運営すると発表した事が手掛かりになっている。

任天堂といえばマリオで知られるように世界的人気のキャラクターを多く擁していたことで長らくスマホへの参入が期待されていたものの、経営陣側はスマホゲームの類はコンテンツデフレが激しい等の理由からこれまで慎重姿勢が貫かれておりこの辺の転換がポジティブサプライズとなっている。

同じ値嵩株で最近急騰劇を演じたのはファナックであったが、それの起爆剤になったのは先週はじめにに書いたように長年その閉鎖性が有名だった同社の対話路線への転換。同様の値嵩株にしてストップ高比例配分までになったのには上記の対話路線に転換したファナックレベルのインパクトを市場に与えたということになる。

京都の名門企業にして長年低迷する株価をそのコード番号から「泣くなよ」と揶揄される事もしばしばあったが、この株価急回復が持続性のあるものになるのかどうか、これからの戦略で真価が問われることになりそうだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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