279ページ目   雑記

翡翠もまた

昨日は中国中銀の利下げで過熱した中国の株式市場と、それと共に投機が過熱した信用取引における会員のペナルティーがあった旨を書いたが、こうした中国国内の過剰流動性資金はなにもこうした株式市場のみならず美術品や宝飾品(原料)にも流れ込んでいる。

記憶に新しいところでは昨年の11月に当欄でも取り上げたが、集団泥棒の醜態まで世界に晒す事になった赤サンゴがある。入札価格が数倍になり末端相場は数十倍まで跳ね上がったが、日曜日の日経紙では「ヒスイに中国マネー」と題してミャンマー特産のヒスイの売買が中国から訪れた仲買人によって活況を呈している旨が載っており、こちらは更に値上がりが顕著で10年前に比べて単価が100倍以上になったという。

上記の赤サンゴの場合昨年の輸出は中国向けが71%にも上ったが、ミャンマーではこのヒスイの輸出額が前年度比で3倍となり中国向け輸出は実に90%にもなったという。一部ブローカーバブルが発生している一方で中小業者の軋轢も起こっているというが、モラル無き過剰流動性は想像を超えるものであり早くも次のターゲットを模索している。


上海事情

昨日の日経平均は反発し17,000円大台回復となったものの、昼前後には値を消す場面もあった。これは上海総合指数が前週末比で一時8%を超える急落をした事によるところが大きかったのだが、これは中国の証券監督当局が前週末に信用取引にからむ不正行為で一部証券会社の処分を発表した事がきっかけ。

中国証券監督管理委員会が発表した処分は、本日の日経紙によれば大手証券3社の信用取引返済期限の引き伸ばし、また信用取引条件を無視していた9社としているが、おりしも中国中銀の利下げで上昇ピッチが加速するにつれて投機も過熱し会員側もここが掻き入れ時とばかりにマル信利用を煽っていた模様だ。

しかし上記を見るに返済期限の引き伸ばし行為というが所謂一般信用というのはまだ存在しないのであろうか?また同紙では信用取引条件の資産保有が50万元としているが、これもハードルが可也高い感もある。何れもまるで20年以上前の本邦を見ているような気にもなるが、同等になるまでにはまだまだ相応の時間がかかるということか。


安定調達への道

さて今週あたまの日経紙企業面に「漢方主要原料 日本で生産」と題して、現在国内の医薬品メーカーは漢方薬原料を中国からの輸入品を使っているものの、現地の需要増で価格が高騰し安定調達に不安がある事で武田薬品工業などは主要原料であるカンゾウを日本で初めて量産する旨が出ていた。

しかし漢方といえばやはりツムラやコタローが先ずイメージされるが、武田もこうした分野での水面下の動きがあったのかと今更ながらわかった。そういえば昨年夏にも当欄でゼリア新薬が西洋ハーブを取り入れた一般用医薬品をシリーズで打ち出す旨を取り上げた事があったが、ビタミンやコンドロイチン企業のイメージも変わるものである。

ところで漢方といえば約6年ほど前に保険適用外論議が騒がれた事があったが今やほぼ半数の医師が処方に使う世の中で、ちょうど今週も某総合病院で付き合いのある医師と話す機会があったのだが、近年は従来使われなかった症例に可也効果が証明されてきている物もあるようだ。この辺は如何に現場を知らない机上の空論者で進められていた議論だったなとも思うが、今後も現在のエキス剤だけでなく生薬もその幅を広げてもらいたいと願う。


24年ぶりゼロ

さて、本日の日経紙経済面で目に留まったのは「上場企業の倒産ゼロ」という見出し。東京商工リサーチが昨日発表した件で、昨年に倒産した企業の負債総額は前年比で32%減少、1990年以来24年ぶりに2兆円を割り込んだといい、上場企業の倒産も実に24年ぶりに発生しなかったという。

確かに言われてみれば今でも市場にはほとんどパンク同然価格の企業が存在してはいるものの、帝国データの大型倒産速報などで上場企業の名は目にしなかったなと今更ながらに思う次第。

ただ上場企業はそれとしても倒産件数は10%減とはいえ9,731件あり、上場企業の倒産が24年ぶりにゼロの一方で従業員数が5人未満のような小規模企業倒産は減るどころかこの20年で最高となっているという。大手紙の紙面ではベアはじめとし大手企業を巡る環境改善が謳われているが、実態は利益の部分が下に回らず内部留保やその消却に回っている構図が浮き彫りになっているとも取れるだろう。


あれから9年

さて、連休中の日経紙(日曜に考える)では、2006年のライブドア事件が取り上げられていたが、考えてみればあれからはやちょうど9年が経過したワケだが今でも当時の様子が鮮明に思い出される。同紙の冒頭にはプロ野球への参入構想やニッポン放送株の大量取得など書かれていたが兎に角奔放な企業だった。

上記の通りその辺は特に株式政策において顕著で、問題となった関連のバリュークリックジャパンの100分割に見られるようにのべ3年で数万分割という異例の分割劇を繰り返しその度に株価が乱舞したものだ。こうした過程で様々な輩が入り込み兜町でも当時いろいろと噂が絶えなかった光景が懐かしくもある。

ただ、東京地検の捜索によって連日同社株はストップ安でも注文が入らない比例配分の憂き目に遭った際に、宴の後のナントカよろしく度重なる分割で単元既に最小の1株にまでなっていた事から比例で引っ掛かったのが1株とかだったりした場合、株式売却代金から手数料を引くとマイナスになったりする笑えない事例が出たりしたものだった。

しかしファイナンスにしてもこの分割はじめ株式交換からTOBまで、とことん隙間を見つけてグレーゾーンのギリギリを這っていったところは当時の盲点を炙り出したといってもよくそうした点での貢献?度合いは計り知れなかったと個人的には思う。簡単に纏めてしまえば倫理観云々という問題であったのであるが、逆に昨今ではそうしたエッセンスを持ったベンチャーがめっきり見当たらなくなったのが寂しいところでもある。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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