285ページ目   雑記

逃避した資金

週明けの本日も連鎖的な世界株安の流れから日経平均は大幅に3日続落となった。一目均衡表やら移動平均線やらと次々とテクニカル指標を持ち出して下値メドを測るコメントが彼方此方で見られるが、下げが下げを呼ぶスパイラルな動きで順次追証回避の処分売りが誘発されるわけでこの辺はあまり事前に測るのも意味がないだろう。

新興国景気の先行き不安からこうして株式市場も調整色が一段と強まったワケだが、一方ではこんな不安を背景に金市場に逃避した資金が流入しているとの観測も出ている。先週末の日経紙にも、金市場に逃避資金と題して当面の先安感は薄らいでおり投資家の多くは米財政・金融政策や地金需要の行方に注目している旨の事が出ていた。

この地金といえば本邦では田中貴金属が先に発表したところによると、昨年の販売量は前年比63%増の37.3トンに増加し、また買い取り量は23%増の35トンと9年ぶりに販売が買い取り量を上回る事となった。円建て事情や消費税率引上げという特殊事情も背景にはあろうが、本格的な資金逃避下では金へシフト等と悠長な動きも絶たれ一緒くたに外す動きになるのが普通でそう考えると今は未だ余裕がある段階ともいえるのか。


納税利回り?

本日の日経紙エコノフォーカスには「ふるさと納税 特産品目当て?」として、生まれ故郷や応援したい地方自治体に寄付することで寄付した自治体からお礼に特産品がもらえ、住民税と所得税も応分差し引かれる「ふるさと納税」が人気になっている旨が載っていた。

この「ふるさと納税」、スタートしてから5年以上が経過するが本来の目的は都市に集まる税収の地方再配分。ところがあの東日本大震災の時に義捐金扱いの寄付が殺到、大口寄付者が在住する自治体の一部では多額の還付金が持ち出しが話題になったという想定外の事例もあった。

しかし昨今は殆どが題字の通り特産品目当てなのは明らかだろう。なにせ50%を越える利回り?がゴロゴロしているワケだからこれに群がらない理由がない。同紙には受け取る金額が多い5県が出ていたが、1位の鳥取県などその下の特産品例に出ていた干物詰め合わせ以外にも松葉ガニ等の高級品までラインナップし多数の集客?を誇っている。

こんな特産品のハードルが緩いことによる小口の多さから果たしてというか税収格差効果はいまひとつというが、企業で株主優待と併せ魅力的な利回りで台頭するものの中には一方で財務に疑問符が付き値下がりリスクと常に隣り合わせなのが普通なのに対し、こちらはリスクの観点でも比べ物にならないくらいなだけにまだまだ「ふるさと熱」は続きそうな気配である。


アノマリーの変化

本日の日経紙マネー&インベストメントでは「景気から金・白金価格占う」として、先物や現物を売買出来る代表的な投資商品の貴金属でも金と白金はまったく異なる顔を持ち、夫々が世界景気の行方を占う指標にもなる旨の解説が載っていた。

冒頭には「金が上回る珍現象」として2011年以降、これまでにない長期にわたって本来であれば金より高いはずの白金が金を下回る価格の逆転現象という珍事?が続いていた事が書いてあったが、リーマンショック時の憶えで初期の段階からストラドルなどエントリーした向きは鞘滑りでオプションのタイムディケィの如く思惑外れになった向きも多かったのではないか。

そういえばこの時は投資に限らずこれまでになくあまりに逆鞘現象が長期にわたった為に、宝飾品では金嗜好が強くなり果てはクレジットカードまで本来であればゴールドよりもクラスが上であるプラチナの影が薄いなどの冗談も所々で言われていたなと思い出す。

いずれにせよQE3スタートがこれを解き米はいよいよ出口戦略に着手、近年一段と金融商品色が濃くなってきた貴金属の世界経済の潮流変化を感じ取る鞘は今後どのような動きをしてくるのかETF等とも併せ見てゆきたい。


取捨選択

連休明け本日の日経紙特集「米国を読む2014」では、昨年の米シカゴの先物市場で日経平均先物が活況となり、売買高が過去最高を記憶した旨が載っていた。CMEグループによれば日経平均先物の13年の1日当たり平均売買高は前年の約2倍となり04年の上場以来の過去最高を記録した模様で、これを成長機会とみたCMEは4月に日経平均先物を対象とするオプションを上場させることも決めている。

ところで日経平均先物・オプションといえば本家大証、本日も日経平均急落でオプションと共に大活況であったが、一方で外国為替証拠金取引市場の「大証FX」は今秋にも休止の方針と報じられている。当初より店頭に対する優位性を欠き、また「くりっく365」との競争も激しく大証にとって成長分野ではないとの判断という。

この先物関係ではまた経済総合面に、政府が数ヶ月〜数年先の電力を売買できる先物市場を2016年度にも創設する方針とも書かれていた。電力先物といえばTOCOMでは度々触れたLNG先物と共に上場要請があった旨も書いたことがあるが、商品先物取引法の改正案を今月招集予定の通常国会に提出し成立をめざすという。斯様に各所で取捨選択が加速の気配でありこの辺もいろいろと今後は話題を振りまいてくれそうだ。


今年のよそう(うそよ)

本日の日経紙まちかどには「今年のびっくり予想は?」と題し米ストラテジスト、バイロン・ウィーン氏による年初恒例のびっくり10大予想が出ていたが、予想といえば週明けも書いたように年明けの日経紙「経営者が占う」では昨年とは一転して各項目の予想に強気な見方が並ぶこととなった。

ところで昨年同時期のこの欄を見返してみると、一昨年の株式は大納会を年初来高値で終えたことで、揃って判で押したような年末高という大半の予想が当たってしまった珍事?となったという旨などが書いてある。

これに続き、昨年の大納会も2009年7月以来の9日続伸から年初来高値更新で終えたことで年末高を予想した約半分の経営者はこのシナリオが当たったということになる。とはいえ12月高値を予想した向きでもその時の日経平均を11,000円から12,000円の範囲で挙げており、魑魅魍魎のアナリスト同様その乖離が5,000円前後にもなるからこの辺は全く予想不能だったといったところだろうか。

まあこの辺は例えば経済成長率や円相場も同様で、メガバンクの経営者でさえ対ドル円相場の安値を81円から86円の範囲で挙げていたワケで事程左様にアベノミクス第一幕の効果は凄かったという事だ。これら鑑み今年の予想は、日経平均では下は13,000円から上は20,000円の大台まで並び証券会社トップも定番である1月安値12月高値が復活した。メガバンクトップの対ドル円相場予想は上が102円から下は106円まで並んでいる。

これらとは対照的に冒頭のバイロン・ウィーン氏は「対ドル円相場は120円まで円安進行、日経平均は早い時期に18,000円まで上昇するが年後半は20%ほど急落する」と、まさに「午尻下がり」のような予想を出している。他にも同様な予想を出しているアナリストも居るがアベノミクスの真価が問われる第二幕、これら予想と共に興味深く見てゆこう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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