297ページ目   雑記

解け合い出来ず

さて、かれこれ8年も前のことになるにもかかわらず今でも鮮明に記憶が蘇るジェイコムHDの株式誤発注事件だが、この誤発注で東証のシステムに不備があった為に損失が拡大したとして東証側に損害賠償を求めていた訴訟の控訴審判決で東京高裁は本日に東京地裁判決を支持し、みずほ、東証双方の控訴を棄却している。

この誤発注で発行済株式数をはるかに上回る引き渡しを強いられ、結果数十年ぶりに見られる解け合い処理となったワケだが、それにしても当時は売停せずに続行したのも含め俄かに信じられないような数日間であった。辛うじてこの火事場泥棒的なディールで取った証券会社は後に利益返還の動きを見せたが、個人はなんでもアリの世界だけにアッという間に数億円の利益を手にした向きも居たのは有名な話。

しかしもうかれこれ10年近くになる泥沼裁判だが、個人ベースで見ても双方共に明らかな過失が存在しこれら均衡点を見つけるのは不可能に近くこちらの解け合いは無理と思える。
裁判の過程で争点になったのはシステム上の所謂バグが重過失になるか否かというところだが、バグ自体はどんな最新鋭といっても一定の確率で発生は避けられずこの辺はケースを変え今後も争点の種としての座は譲らないだろう。


値段もうなぎ上り

さて本日はご存知のとおり土用の丑の日、今年は二回あるが先ず本日は一の丑で何処も老舗どころは朝から慌ただしさが感じられた。周知の通り近年稚魚の不良が深刻化し、今漁期のシラス池入れ量は前年の75%にとどまっているという。

ということでシラス・親共に価格はまさにウナギ上り、昨年実績は一昨年の2.5倍だったというがなんだかんだでここ10年では約10倍に跳ね上がっている。こんな原資産のデリバティブが個人向けにでもあったらさぞや面白いなとも思うのだが、兎も角そんな事情で一昨年と同じ価格の重なんぞ頼もうものなら肝心の鰻が可也残念な姿になってしまうのは火を見るより明らか。

とはいえ今年は春先にアベノミクス効果で兜町の鰻屋で特上が品薄になるなど話題を振り撒いたこともあった。うなぎのぼりという証券関係者の験担ぎなのだが、証券といえば実際機関投資家のなかには個人消費にどの程度増大余地があるかこのうなぎの売上をウォッチしている向きも居る。

ただそんな一方でコスト高から経営も限界に達し老舗の中にもこの丑の日を前にして暖簾を下ろす店が今年は多数、この近所でも注文してから鰻を捌いてくれる素晴らしく美味しい老舗があったのだが此処も今月店を閉めることになりこんな明暗を目の当たりにし寂しい限りである。


大黄金展

さて、今週15日まで近所の三越本店で大黄金展が開催されており過日これを一寸見に行って来た。外商と一般に別れ、エントランスの金箔を貼った等身大のオグリキャップが人目を惹いていたが、やはり総額100億円、総重量1トンとやらの品々が一堂に会しているだけあってなかなか圧巻であった。

上記のオグリキャップも売り物であったが、その他装飾モノや仏具など幅広い品が売られているなかで売れ筋をスタッフに聞いたところやはりというか仏具が一番出ているとのことであった。この辺は当然ながら相続絡みというのも後押ししていようが、そんな話をしている間にも成約組が次々と別室へ通されていった。

ところでこの仏具、今回展示されていたものは多くの称号を持つ伝統工芸士の作品が並べられてあり、【おりん】などその作者によって音色がそれぞれ全く違ったものが奏でられるのが新鮮であった。そういえば、その大きさ毎にりん棒を変えながらそれぞれの作者の音色を丁寧に聴かせてくれた「SGC信州ゴールデンキャッスル」のスタッフの丁寧な対応が非常に印象的であった。

黄金の茶器で呑むお茶も金箔入りとまさに金尽しであったが、同じ日にはワールドウォッチフェアを前にして本館1階では「フランクミューラー展」も開催されており、中には億超えの札もありで金も時計も各々高額商品の販売が一層熱気を帯びている感満載であった。


脱経験則

先の日曜日付けの日経朝刊一面には、「脱デフレ 生みの苦しみ」として、15年にわたる日本の長期デフレに転機が来た旨が載っていた。それ以降も「物価考」として一面に連載されているが、確かに文中にもあったようにバブル崩壊後の世代はデフレが常態化していた経緯もあり昨今のスポット的な値上がりには釈然としない感もあろう。

当初は大規模な金融緩和にもかかわらず物価の上昇が顕著でなかったことでやはり我が国のデフレの根深さを憂う気運もあったが、例えば本日のキューピーの23年ぶりのジャム価格値上げに見られるようにアベノミクスの影響からここジワジワと忘れられていた物価高の足音が聞こえてきた感もある。

とはいえ賃金の同時上昇も満遍なくという構図でもなく、この辺は防衛の意味でもデフレからインフレ局面での株式有効性を利用しない手はない。物価目標達成の為に中央銀行が何処までその節度を逸脱?できるかが焦点となろうが、個々の投資においては上記過去15年の経験則にとらわれない行動が肝要だろうか。


コミュニティー・パワー色々

今週はなんといっても連日の猛暑となっているが、この影響で東電始めとした8つの電力会社の管内電力需要は連日の最高更新となっている模様。ところで電力といえば発電ビジネス等に参入する「コミュニティー・パワー」に関する動きがこのところ彼方此方で散見される。

事業資金のうち何割かを、期間5年で目標利回りを1〜2%という市民ファンドで募集したところなどは応募が殺到したというが、そういえば4月には山形のクラゲで有名な水族館が「クラゲドリーム債」なるミニ公募債を募集したところ、募集開始からわずか20分で3億円分が完売となった旨の報道も思い出した。

ところで債券ついでの余談になるが、基金運用の為に為替相場に連動した仕組み債を購入した関西の某市は、その後の相場外れでリスク説明不十分とした訴訟を起こすほど評価損があったものの昨今のアベノミクス効果でこれが解消、訴訟も取り下げたというがこちらは何ともご都合主義な感は否めない。

それはともかく話は戻るが、地元企業や地元市民、自治体のそれぞれの思いが受け皿となるこうしたコミュニティー・パワーの台頭等が、結果として地方経済停滞を打破する切欠になるのならこの手の創造は非常に意義のあるものではないか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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