317ページ目   雑記

絶てるかセール依存

街を見ると先月から続いていたある種の風物詩であるセールも秋物の登場で漸く終盤といった感じであるが、今年のそれは例年とは一寸違った風景であった。周知の通り三越伊勢丹がセールの開始時期を例年より約2週間遅らせ、東急百貨店からルミネまでこれに倣い、高島屋なんぞはセールを2段階に分ける変則形で対応した。

果たしてこの先陣を切った上記の三越伊勢丹は2.6%の減収、高島屋は2.9%の減収となるなど、大手4社が月初に発表した7月の売上高は軒並み前年割れに終る結果となり分散効果は共倒れという格好になっている。消費者行動を読み切れなかったとの指摘が相次ぎ、追随して折衷案を取ったところなどはこれに懲りて来年は先送りを止めるとしたところも出ている。

しかしセール時だけ消費が活発になる客層を考えるに、デフレが長期化したなかで近年セールの早期化や多発化の様式はこうした層の脳裏に刻み込まれ、そもそも通常価格に対する信頼などこれらの客層は既に持ち合わせていない。ホテルであれば稼働率の悪い時期に半値以下で客室を開放した時期があっても、回復期では全く同じ空間提供でもその倍の値でも予約は埋まるもので、この辺がアパレルとの違いである。

アパレル業界低迷の中でセールはまさに集客や売り上げの起爆剤になっているのは明白だが、それらを更新し続ける為に上記の早期化や多発化という後戻り出来ない環境は或る面麻薬のようなものである。そういった意味では今年はセールを抜本的に考え直すのに一石を投じたとも言われているが、麻薬を絶つ苦しみに双方耐えられるのかどうか?この辺は今後を見てみないとわからないが、家電よろしく業界の株価とも併せこの辺を見守りたいところ。


相次ぐ金融スキャンダル

本日はVN指数が一時5%近く急落するなどベトナム株式市場が急落となっていたが、これは同国の大手銀行アジア商業銀行の創設者である大富豪が昨日に不正な経済活動を理由に逮捕され銀行株などが大幅下落したことによるもの。

金融界で著名だった氏の逮捕で動揺が広がった格好だが、これに限らず直近では金融界の暗部が明るみに出る報が多い。周知の通りもっと大きなところで今月は英スタンチャート銀行が対イランの不正取引を過去10年近く行い、数億ドルに上る手数料を得てきた件がマネーロンダリング防止法違反との報があり、同じマネーロンダリングでは英HSBCもメキシコを舞台に関与していたとの報もあった。

斯様に立て続けにシティがクーズアップされたが、そういえばLIBOR問題のバークレイズもまたシティであった。それは兎も角も挙がったところは新興国絡みが抜きん出ており、果たしてというかリスクの代償としての旨みは大きいというのはこちらの世界でも明白で、日本でも大手証券がファイナンス情報と引き換えにいろいろ商機を見出していたのが咎められている。儲け至上主義の露呈はある別な意図があるともいわれているが、ここまで伏せられてきた物が立て続けに表面化する動きは確かに陰謀説の類が組み立て易いか。


復活と経済効果

さて、先週末の「東京湾大華火祭」が終ると一気にお盆モードに突入し、週明けから都内はさながらゴーストタウンのようになるが毎度束の間の喧騒の無い空間が平和でとても心地よい。ところで冒頭の花火大会だが昨年の中止から今年は都内各所で2年ぶりに復活するところが多く、おのおの夏の夜空を色鮮やかに染めた。

東京湾大華火祭ではやはり他とは玉のサイズの違いが鮮明、ちょうど時期的に酣だったこともあってオリンピックの五輪を鮮明な色で立て続けに打ち上げたのは圧巻であった。しかし近年この色彩やデザインも進化激しい感があり、先月末の「隅田川花火大会」では従来無かったようなパステル調の色彩がコンクールで多用されたり、話題だったパンダや天の川まで縦横無尽であった。

この隅田川花火大会だが昨年は追悼や復興をテーマにしたものが多かった訳だが、今年の復活組も被災地からの招待や被災地産品販売等復興を後押しするものがやはり目立つ。またこれら含め消費を盛り上げる花火大会の復活は経済への波及効果も大きく、東京湾大華火祭のそれは70億円規模と推計されている。これだけでも束の間のイベントとしては、あの金環日食の半分近くになる計算だからその経済効果はやはり大きいといえよう。


アルゴの暴走

昨日のNY外国為替市場ではユーロが対ドルで4日ぶりに上昇となったが、このユーロといえば先週はスイスフランに対して一時5ヶ月ぶりの高値近辺まで急上昇する一件があった。これはRBS(ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド)証券のトレーダーが引き起こした取引ミスによるものという。

この辺はロイターによれば電子取引プラットフォーム「EBS」でミスが発生し、他の銀行のコンピューターによるアルゴリズム取引が誘発されたことでこの急上昇がもたらされた模様。顧客資産に影響は全く出ていないとしながらも同証券の損益等について公表は無いが、金融市場ではつい最近米マーケットメーカーであるナイト・キャピタルの取引ミスで150銘柄の株価が乱高下する事態が発生したばかり。

RBS証券の財務基盤は兎も角として、このナイトに至ってはたった数十分でその屋台骨を揺るがす規模を飛ばした模様であるからやはりこの手の金融事件は異様と言われても仕方なしだろう。SECやCFTCは高速取引の実態把握に乗り出している模様だが、先にも書いたように初期段階より念には念を入れたシステムや取引でもこの膨張したマネーやアルゴリズムの前に完璧という言葉は存在しなく何れまたこの手は出て来ようか。


ロンドンオリンピック閉幕

第30回夏季オリンピック・ロンドン大会が閉幕した。閉会式も開会式同様にそこそこ素晴らしかったが、今大会の日本勢の結果は金メダルが7個、前述したようにJOCが獲得目標としていた15〜18個の半分以下に終ったものの、獲得総数は37個を取ったアテネ大会を上回る38個と史上最多となった。

しかし毎回感じるが技の進化は末恐ろしいほどで、内村選手に沸いた体操競技ではオランダのゾンダーランド選手の鉄棒など個人的に圧巻であった。彼の一つの技でも少し前などかつては成功するのが五分五分で演技に組むかどうか躊躇していた技を、開始直後から立て続けに3回連続させるという超離れ業を見せてくれた。かつての塚原選手がムーンサルトを発表してから40年、技も既に未曾有の領域に入ってきた感がある。

一方で組織委員会が絡む政策には、広くスポンサー企業も含めおよそ健全なスポーツの精神というかイメージには遠いグレーな部分も一部露呈されているが、巨額なカネが動くだけになかなかクリーンとはいかないか。

さて金メダルに話は戻るが、今大会の金メダル重量は夏季五輪史上最も重く先の北京大会の約2倍、また近年の相場高騰を映して価格も先の北京大会の約2.6倍に跳ね上がった模様だ。しかし、JOCも獲得目標を挙げるのもいいが、他国に比べるに日本の控え含めた選手への対応の特異性を見るに、日本の金メダルが獲得目標以下という原因がこの辺に無いともいえないのではないか?


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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