45ページ目   雑記

AI覇権争い

昨日の日経紙一面を飾っていたのは「生成AIマネー流入加速」と題し、文章や画像を自動生成するAI(人工知能)への投資が活発化し、世界の生成AI企業の価値が2年で6倍に拡大した旨の記事であった。この辺に絡んではマイクロソフトによるChatGPTを手掛けるベンチャー企業OpenAIへの1兆円規模の投資が話題になったが、これを機に各社共に優先度を高める舵取りに変化してきている。

今まで単語を入れ検索結果から必要な情報を探していたものが大規模言語モデルで人間の質問を瞬時に整理、自然な文章で多角的にアドバイスも含めた文章で回答が出来る存在の誕生とはその技術革新の速さには只々驚く。このAIプラットフォームを軸にして今後も継続的な高成長を牽引することが期待されているだけに、これまで逡巡していた向きの投資の矛先も自ずとこの方向に向かうことになるか。

AIは既に様々なサービスに組み込まれ活用され始めており斯様な多額の投資で今後もこの分野は日進月歩の発展を遂げてゆくだろうが、このままどこまで進化するのだろうか?確かにマンパワーの問題で限界だった部分の限界を超えさせてくれたのがこのAIだが、急速な近代化で人とモノの関係というものが今後の世界情勢にとって時に大きなリスクとなる可能性を指摘する向きもいる。

当欄でも1月に取り上げた米ユーラシア・グループの「世界10大リスク」では1位のならず者国家ロシア、2位の最大化する習権力集中に続き3位にテクノロジーによる社会混乱を挙げている。フェイクニュース等による情報錯乱や倫理的問題等々今後の懸念材料を挙げればキリがないが、いずれにしてもこの動きからハイテク業界は新たな転換点を迎えた可能性もあり、開発競争が激化するなか何処が次の覇権を握ることになるのか今後も目が離せない。


優等生も限界

さて、近所のスーパーの一角でやっていたタマゴのタイムセールに多くの客が群がっている光景を目にしたが、長年にわたって「物価の優等生」といわれたタマゴの高騰がここ話題になっている。昨年末に9年ぶり高値水準になった時に農水大臣が「例年の傾向から年明けは一旦相場が落ち着く」云々と呑気な私見を述べていたのを思い出すが、それを嘲笑うかのように騰勢が加速している。

鳥インフルエンザや飼料の高騰などが背景になっているワケだが、JA全農たまごによれば昨年の節分に東京のMサイズのタマゴ相場は1キロあたり165円だったが、今月の節分には315円と1年で約9割高に。直近の相場は335円と更に上昇しておりこれで2倍以上に大化け、統計が公表されている1993年以降の最高値を記録している。

こうした事態を受け川下への影響も出てきており、セブンイレブンはタマゴ商品の一部販売を休止し、外食ではバーミヤンやガスト等でタマゴメニューの販売を休止、また菓子類もシャトレーゼがプリンなど約20品目の製造を休止、(白い恋人)で有名な石屋製菓も卵不足から同商品含めた一部商品の自社オンラインストアでの販売を休止、ステラおばさんのクッキー詰め放題イベントまで来月から中止される予定とか。

しかし思えば「物価の優等生」なるモノはタマゴ以外にザッと思い浮かべてもモヤシや豆腐、それにバナナなど幾つもあるが、これらも原材料含めた輸入価格は大きく上昇しているものの販売価格への転嫁にはほど遠い状況となっており、生産者や卸業者等が身を削っての価格維持も限界を迎え始めている。安定した安価でありがたい存在だけに優等生と聞こえは良いが、悪く言えば物価上昇に追随出来ず価格転嫁のままならない不良?とも言えるだけに「物価の優等生」もパラダイムシフトの時を迎えているか。


低金利前提の崩壊

さて、先週アタマに取り上げた通り政府は次期日銀総裁に経済学者の植田氏を起用する人事案を国会に提出している。10年にわたり異次元緩和を頑なに続けてきただけに各所のランディングも容易で無いのは想像に難くないが、いまや経済活動自体も低金利を前提としたものが定着してしまっているだけに今後予測される金利上昇局面で各所ではいろいろと影響も出てこようか。

地銀など長引く低金利環境から本業の預金利ざやで稼ぐ銀行のビジネスモデルが通用しにくくなるなか、債券など市場運用に注力し営業部隊は手数料の高い「仕組み債」の販売に傾斜してきた。日銀が年末に長期金利変動許容幅を拡大した事で個人は住宅ローンの固定金利で負担増になるとか懸念されているが、他にもネット銀行などが提供する定期より高金利が売りの「仕組み預金」などは不利になり易いなど様々な金融商品にも影響が及ぶ可能性もある。

またこの長期金利上昇で地銀が保有する国債等の含み損は昨年9月末から年末までで倍増し、仕組み債の方はもう言わずもがな政府や金融業界一丸となって投資家保護へ舵を切る動きが顕著になってきた。保有債の含み損は拡大するわ営業収益の主力だった仕組み債も今後はこれまでのような販売は出来なくなるわとまさに泣きっ面に蜂といった感じだが、メガバンク勢の株価が軒並み復活している姿と併せ悲哀こもごもの光景である。


冷食の商機

さて、現在幕張メッセでは食品流通業界の最新トレンドが集結した展示会「スーパーマーケット・トレードショー2023」が開催されている。食品ロスを減らせるという世界初のバイキング方式の総菜量り売り装置など関心を集めていたが、この食品ロスという観点では保存性含め今後も不可欠な存在になるとの可能性も秘めている事から冷凍食品勢に注目する向きも多かった。

このトレードショーでも出来立てのフワフワ食感を実現したパンケーキやカレーパンなど従来冷食加工が難しかったモノの冷凍食品が注目を浴びていたが、コロナ禍での外食機会減から中食需要で冷凍食品の開発が進み、並行して冷凍技術の飛躍的向上もあって従来では冷食加工が難しかった鮨に至るまで店で食べるのと遜色ないほどにまでその完成度が高くなってきている。

そういった事もあって昨年末に発表されたその年の世相を反映した食を指す「今年の一皿」には(冷食グルメ)が選定されていたのも記憶に新しいところだ。数字上でも冷凍食品出荷額は過去最高を更新し今年も市場の堅調な伸びが予想されている事もあって、昨年は大手スーパーや大手百貨店なども冷凍食品専門店や大規模な冷食コーナーを設ける動きが目立った。

保存性・フードロス削減などSDGsの観点に加え近年流行りのタイパの項目まで満たしている冷凍食品は社会変化に対応する柔軟性も高く、ある意味コロナ禍の副産物で拡大したこのマーケットもコロナ禍前の日常が戻るであろう今後も定着してゆく可能性が非常に高いだけに伸びしろ大きく外せない商機となる可能性が高いか。


高止まりの企業物価指数

週明けは日銀人事に触れたが、日銀といえば先週に1月の企業間で取引されるモノの価格動向を示す企業物価指数を発表している。原油価格の値下がりや円安が一服した事などで12月の10.5%からは低下したものの、前年同月比で9.5%上昇と1年11か月連続で前の年を上回り高水準の伸びが続いている。

今回対象となった515品目のうち、88%にあたる456品目で値上がりしており企業の間で
原材料費の上昇分を販売価格に転嫁する動きが続いている。企業間の価格転嫁は中小企業などの今後の賃上げにつながりそうだとの期待も大きいが、昨年秋の発注企業側との価格交渉の実施状況結果では全く交渉が出来ていないが13.9%、全く価格転嫁が出来ていないが20.2%となっており未だに価格交渉さえ出来ていない実態が明らかになっている。

足元では春闘が本格化しているが、昨年末の商工中金調査では23年の中小の賃上げ率は21年実績よりは増加しているものの22年実績比でほぼ横ばいの旨が日曜日の日経紙にあった。価格転嫁の進捗など業績への懸念が賃上げ率の伸び悩みの背景となっている実態だがこれが進まない事には賃上げも遅々として進まないワケで、今後価格転嫁と併せどれだけの賃上げが為されるかこの辺が焦点となってくる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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