67ページ目   雑記

長月の値上げ

猛暑も漸く治まりつつある長月入りだが、原材料や包装資材の価格高騰に加え物流コストが上昇している事を背景に生活に身近な商品値上げのラッシュは止まらない。今月も食品では日清製粉ウェルナとニップンが冷凍食品の価格を値上げ、雪印メグミルクとJオイルミルズはマーガリン類を、飲料ではサントリーが輸入ワインを、霧島酒造は焼酎、ネスレ日本とUCC上島珈琲はコーヒー製品等を値上げする。

また食品以外では電気料金も2社でまた値上がりとなり、東電ではかれこれ13ヵ月連続で値上げが続くことになる。またガス代も3社が値上げし、予てより言われていた自動車のタイヤも主要メーカーで値上げが始まり、ブリジストンが4月に続き今月出荷分から今年2度目の値上げを発表し、住友ゴム工業もダンロップ製品を値上げする。

こうした中、1日付の新聞折り込みには低価格で人気の業務スーパーが冷凍食品類など200品目以上を値下げする「総力祭」のチラシが入っていたが、他のPBとも併せ個別の企業努力も窺える。帝国データバンクによれば今月だけで2000品目以上が値上げ見通しで1品あたりの平均値上げ率も15%を上回っているというが、ピークを迎えると言われる来月で一旦の一服を見せるか否かが注目される。


恒久化への道

金融庁が昨日2022事務年度の金融行政方針を発表しているが、これまで報じられているようにNISA(少額投資非課税制度)の設計改革など投資から貯蓄への道筋作りがポイントとなる。周知の通り現行では一般NISAが2028年末までの期限付きで年間120万円までの投資が最長で5年間非課税となり、つみたてNISAは2042年末までの期限付きで年間40万円までの投資が最長で20年間非課税になる。

斯様にNISAは株式や投資信託等の配当や売却益にかかる税金を一定期間免除される制度だが、余談ながらかつて立憲民主党の某議員がNISAに対してまで課税を匂わすトンチンカンな失言があったのを思い出した。ともあれこのNISA、そもそも創設の際にモデルとなったのは英で国民に定着したISAだが、既に英国ISAの非課税期間は無期限に恒久化されている。

また先に当欄で単元株を取り上げた際に「~NISAの啓蒙こそ喧しいものの積み立てより上限が高い一般モノでも120万円の枠と、最低単元買うのに約870万近くが必要になるファーストリテイリング級の銘柄は足元にも及ばない計算になる~」と書いたが、こうした極端な値嵩モノは兎も角も現行枠では如何にも心許ない上限額なのは否定出来ないところだろう。

上記に鑑みNISAの期限撤廃と上限引き上げを来年度の税制改正要望に盛り込む方針で年末にかけて具体的な額を詰める。何れにせよこれで1000兆円規模の個人貯蓄を投資へと後押ししたい考えだが、今週アタマの日経紙に金融庁が全世代を対象とした金融教育の必要性を提言する旨の記事があった通り広くリテラシーを身に付けるための金融教育も併せて必要なのは言うまでもないか。


それぞれの思い出

さて、本日をもってお台場のランドマークとして長く人気を集めたパレットタウン大観覧車が営業を終了した。この大観覧車がオープンしたのは1999年、当時は此処が世界一の高さを誇りそのロマンチックなロケーションから1周約16分のなかで時にカップルたちのプロポーズも見守り続けてきたであろう大観覧車、開業当時は5時間待ちの日もあったが終了間近のここ数日も待ち時間が1時間超えの行列が出来ていた。

行列といえば閉店人気から連日の行列で順番待ちシステムまで導入して営業をしていた国内最後のアンナミラーズ高輪店もこの日、とうとう約40年の歴史に幕を下ろすこととなった。また銀座では日本で初めて高級ブランドを集積させた店舗の名鉄グループのメルサ銀座二丁目店もこの日閉店し、その51年の歴史に幕を下ろしている。

何れも再開発計画に伴うもの、国交省による整備事業に伴う移転要請、新型コロナウイルスの影響の長期化や施設の賃貸借契約終了に伴うものなどその理由はさまざまだが、あの良き日を過ごして来たそれぞれの名所が無くなってしまうと思うと寂しい限り。今は昭和レトロがZ世代などに新鮮に映るというが、共に時代を過ごして来た世代には感慨も一入だ。


タカ派姿勢維持

さて、3年ぶりの対面開催で注目された米ワイオミング州で行われた経済シンポジウム、所謂ジャクソンホール会議でのFRB議長講演は成長鈍化などの痛みを伴ったとしてもインフレが抑制されるまで当面金融引き締めが必要という見解が示された。これを受けてNY株は1000ドル超の急落となり、主要3指数はこの日の急落で8月上昇分を全て吐き出した格好となった。

市場ではこのところインフレがピークを越えればFRBの利上げペースが鈍化するとの楽観的な見方から、VIXも20ポイントに絡んだ動きが継続されていたが週末は3.78ポイント高の25.56と急伸、終値としては6週間ぶりの高水準を記録する事となった。これらを受け国内株式市場も本日は東証プライム銘柄の約9割が下落し、日経平均は約3週間ぶりに28,000円の大台を割り込んでいる。

マーケットは株価など往々にして先回りした動きをとるものだが、利上げ途上での将来の利下げ織り込みの動きは政策効果の面からあまりよろしいモノではなかったというところか。斯様に市場と対話しながらの金融政策の舵取りもその匙加減が難しく映るが、次に注目される8月の米雇用統計から次回のFOMCまでまだ折に触れ振らされる場面も出て来ようか。


消えぬデフレ圧力

さて、昨日はあの一口サイズで知られる「チロルチョコ」が原材料価格の高騰や物流コストの上昇を理由に1993年以来、29年ぶりの値上げに踏み切る旨の発表があったが、本日も大塚製薬が「オロナミンC」ドリンク等の小瓶ドリンクを原材料価格やエネルギーコストの高騰を理由に11月1日出荷分から25年ぶりに値上げすると発表している。

食品の値上げといえば昨日の日経紙総合・経済面では「食品値上げ「未達」3割」と題し、1月~5月に値上げのあった食料品16品目の動向調査ではメーカーが公表した値上げ幅と7月の店頭価格の前年同月からの上昇率比較では3割にあたる5品目が表明幅の下限にも届いていないなど値上げがメーカーの思うように進んでいない旨が出ていた。

成る程同紙に掲載されていた5品目もさることながら、冒頭のオロナミンCも近所のスーパーで10本入りが500円台で売られているのをつい最近見た。改定では税抜きで120円になるというが、上記の安売りでは一本約60円弱でありメーカー公表の約半値という計算になる。エネルギー価格が否応なしの値上げ断行が為されている一方で、デフレ圧力がいまだ色濃く残るこの業界の構造を垣間見た気がする。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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