67ページ目   雑記

現代版マルチ

昨日の日経紙社会面では「給付金詐欺横行SNSで組織化」と題し、新型コロナウイルス対策で国から支給された持続化給付金を巡り、投資サークル等を絡め組織化されたグループによってかつてのネットワークビジネスの如く連鎖的に若年層を狙い巨額な被害がここ最近芋づる式に発覚している旨が出ていた。

まさに給付スピードを優先し性善説に基づいた簡易な仕組みが見事に裏切られた格好となった事件で、逮捕された輩も親子やら東京国税局職員やらとマスコミが騒ぎ易い面々だった事でTVなどでも頻繁に取り上げられていたが、まあ確かに税の番人という立場の国税職員がこの手の犯罪に手を染めているようでは税金を払う側もバカらしくなってくるというもの。

しかし何れも目立つのは申請した名義の7割近くの面子が高校生や大学生などの20代以下が占めていたという点か。摘発されたこの手の投資サークル自体も個人での投資一任勘定にあたり金商法で禁止されている行為なワケだが、そもそも給付金を元手に暗号資産に投資して2倍になる等の謳い文句自体を一笑に付すことなく信じてしまうあたり改めて驚きを禁じ得ない。

当欄では4月末に「カモ?成人」と題し、新たに18~19歳が成人となるなか若者を狙った投資関係などの悪質商法の被害増加が懸念される旨を書いていたが、高校生の金融教育の授業でもハウツー論と並行しこうした詐欺に巻き込まれない為の啓蒙等も今後は更に重要度が増してくるか。


名店がまたひとつ

さて、このコロナ禍の煽りを受けて当欄でもこれまで取り上げてきた柴又の料亭・川甚や銀座の老舗中華・桜蘭などの歴史ある名店が閉店の憂き目に遭って来たが、直近では先月中旬に移転の為という理由で閉店したばかりの中華街最古の名店・横浜聘珍樓が先週に結局パンクしてしまい約140年の歴史に幕を下ろすという事態に。これでまたひとつ中華街の風景が変わる。

運営組織が途中で別法人への事業譲渡等を経ており一寸ややこしいが何れにせよ中華街のアイコン的存在で、一時期ココの料理長など彼方此方のメディア露出で一躍有名人になったものだった。中華街といえばこのコロナ禍でこれまで低価格のテイクアウトや冷凍食品などやらないような一寸格上のところが挙ってこれを始め、また近年では飲茶バイキングに主軸を移す向きも多くこれが中華街における食事の姿になりつつあった。

そうした中でいま思えばこの手の老舗の立ち位置も微妙になっていた感は確かにあったが、中華料理と言えば余談ながら最近では” ガチ中華”なるメニューまで全て中国語表記の日本人向けに味付け等が忖度されていない、在日中国人向けの店が彼らはもとより日本人にもジワジワ流行つつある旨も各所で報じられている。斯様な新陳代謝の中で今回の件はこのカテゴリーの飲食店の現状のある種象徴を感じさせるものであった。


既視感

本日の日経紙一面には政府の骨太の方針が出ていたが併せて首相が掲げる「新しい資本主義」の実行計画も閣議決定されている。人への投資の強化や、有力新興企業を今後5年で10倍に、また2000兆円にのぼる個人の金融資産を投資に向けるためNISA(少額投資非課税制度)の改革を含む「資産所得倍増プラン」を年末までに作成する方針。

なんとも投資家好みの威勢の良いフレーズが並ぶが、例えば英のISAをモデルに創設されたNISAの改革など現行の非課税枠から一体如何ほどの拡充になるのだろうか?先の東証の市場再編でも上位ポストの時価総額基準額等が期待されていたものからは程遠いものとなり、機関投資家等の失望を買ったものだったがこれの二の舞にならぬか一抹の不安がある。

この新しい資本主義といえば岸田首相が先に訪問した英国の金融街シティーの講演で、平成25年に当時の安倍首相がNY証取で「バイ・マイ・アベノミクス」と訴えたのに倣ってなのか「インベスト・イン・キシダ」と述べこれを説明していたのを思い出す。本邦の特徴として上記の制度含め海外事例に範を仰ぎアレンジする傾向があるものの、得てして見劣り感著しい傾向にあるだけに世界標準との差を埋めるには更に思い切った設計が求められようか。


水無月の値上げ

さて梅雨入りの水無月だが、値上げの波は今月も更に広がる。馴染の深いところで日清食品のカップヌードルが3年ぶりに値上げ、同じく3年ぶりに値上げするこの類ではサンヨー食品のさっぽろ一番も約10~12%の値上げ、スナック菓子の類ではカルビーがかっぱえびせん等を約10%、森永はチョコモナカジャンボ等アイス11品目を値上げする。

手軽な外食もカレーハウスCoCo壱番屋がカレーとトッピングの価格を改定、蕎麦のゆで太郎も単品蕎麦屋セット価格を値上げする。食品の類はこのあたりにして、他に金額的に比較的大きくなるものとしては国際線のサーチャージ等が挙げられる。JALは日本―欧州・オセアニア等で約3万3千円、ANAも同路線では3万5千円値上げと今月から一気にアップする。

先月は値上げが通り易いBtoBの業種は好調だが今後は何所まで川下系の価格転嫁が進むのかこの辺を注視としたが、帝国データバンクの調査では主な食品メーカー105社が今年に入り値上げした商品は既に8385品目にも及ぶとのこと。直近の調査データが公表される度にその品目は急増しているが、来月は1ヵ月としては今年最も多くなる試算が出ており身構える動きが続きそうだ。


再開の期待と憂鬱

さて、昨日から政府は入国者の上限を1万人から2万人へと制限緩和している。那覇空港や新千歳空港は国際線発着を再開できるよう準備し他の地方空港についても地元と調整したうえで順次再開を進めてゆく方針だが、これに併せ検疫措置も緩和され10日からは外国人観光客の受け入れも2年2ヵ月ぶりに再開する。

いよいよ待望のインバウンドが再開だが、おりしも世界経済フォーラムでは観光競争力ランキングで日本は公共交通機関の本数やその鉄道サービスの正確さが高く評価され3位のスペインや2位のアメリカをおさえ初めて1位となった。円安のメリットを受けられ地方への恩恵も大きかったインバウンドだけに復活への期待が高まる。

とはいえ今年春から数千人規模の解禁を経て以降も小出しに入国者を増加させているが、コロナ前の平均が14万人だった事を考えると冒頭の2万人では引き続きの小出し感が拭えない。G7並に水際措置を緩和すると表明したわりになんとも心許ない数字であり、インバウンドの取り逃がしが懸念されなくもない。

もう一つ、コロナ前の2019年訪日客の内訳は中国の30.1%はじめ広域中華圏で約半数を占めていたという点。ウクライナ侵攻を巡る新冷戦や当局による新型コロナ政策等に絡み個人消費が国家の方針に左右される中国依存のリスクもまた懸念され、上記と併せインバウンドが直ぐに戻って来るかどうかは不透明なだけに手放しに喜べるという状況には無さそうだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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