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弥生もまだ

さて本日から3月入り、毎年恒例の光景といえば首都圏以外では高校生が卒業を迎えたところも多かったと思うが、例年と違う光景といえば年明けからの各種値上げの顕著化か、先月も食品からエネルギーまで幅広く続騰模様となったが、この流れは今月も多くの食品群から主要エネルギーまでまだまだ続く。

食品などザッと挙げてもマルハニチロや日本水産がサバ缶などを約3~20%、ニチレイフーズが家庭用冷凍野菜を約8~15%、日清食品チルド・日清食品冷凍がチルド麺や冷凍麺を6~13%、昭和産業が家庭用油を1キロあたり40円以上値上げ、キューピーや味の素がマヨネーズを約2%~10%、ヤマサ醤油が全製品を約4~10%、それぞれ値上げする。

また値上げの波は日用品にも及び大王製紙がティッシュやトイレットペーパーを15%以上値上げ、更に大手9社の電気料金や大手4社のガス料金の値上がりも続く。最近は昨年の関西スーパーマーケット争奪戦ですっかり有名になったオーケーが、値上げ宣言した花王製品の取り扱いを中止する旨が話題なったが、長い間デフレの中で競争してきた経緯があるだけに企業は価格を上げ難い。世界的なインフレ下でデフレ脱却が叶わぬ日本、ロシアの暴挙が予期せぬ形でこの構図を変える事になるか否か引き続き目が離せない。


デジタルゴールド始動

信じ難きロシアの暴挙を背景にマーケットの激震が続くが、NY金先物価格は昨年6月以来の1900ドル台示現後も一段高し、国内でも1グラム7,000円大台を突破から一昨年の8月以来、約1年半ぶりに史上最高値を更新した先物価格が先週の祝日明けにこれを更に塗り替えていた。一方で金の代替としてかつて注目された暗号資産が軒並み値を崩す光景を見るに、依然として金が投資家から安全資産としての不動の位置にある事を感じる。

そんな中、今月は三井物産がブロックチェーン技術を用いて金価格に概ね連動する暗号資産「ジパングコイン」の発行を開始している。同暗号資産は1ジパングコインを金1グラムとしてその量に応じた金を実際に調達、価値を金で裏付け金価格と連動させる事で代表的暗号資産のビットコイン等と比べて価格変動を低減し投資以外にも既存の金融商品に無い決済手段としての機能を有するもの。

金の裏付けのあるものとしてはETFが既に定着しつつあるが、この度の商品は暗号資産等に抵抗の無いZ世代などを意識しているのだろうか?何れにせよ先ずはどの程度普及するかというところだが、それ如何でこれから他のコモディティ連動の暗号資産も商品化されるのかどうかこの辺も今後は注目されるところ。


統制五輪と政治

さて、新型コロナウイルスのオミクロン株が猛威を振るう中、17日間におよぶ北京五輪が閉会式を迎えその幕を閉じた。91ヵ国、地域から2877選手が大会に参加、フィギュアスケート団体では日本が史上初めての銅メダルを獲得、終盤はカーリング女子が初の銀メダルを獲得するなど日本選手団のメダル数は金3、銀6、銅9の計18個と過去最多を更新する快挙であった。

一方で開会式から聖火リレー最終走者にウイグル族選手を起用したのに始まり、本来であれば式典に出席出来ないロシア大統領も堂々と出席、そしてこの背景にもなっているROCのこの期に及んでのドーピング問題発覚から、スキージャンプのスーツ規定違反問題、スノーボードハーフパイプの不可解判定等々、IOCも終始傍観を決め込み最後まで後味の悪い問題が露呈した大会でもあった。

五輪外交を通じた米欧などとの緊張緩和は欧米諸国の外交ボイコットで目算が崩れる事となったが、これを以てスポーツの政治化には反対と批判していた中国こそ今回の五輪を政治的に最大限に利用したといっても過言ではないだろう。ウクライナ情勢緊迫化のなか式典に出席したロシアは閉幕後早々にウクライナに侵攻、増大した国力を背景に国際秩序の変更を目指す中国やロシアと今後どう向き合うか、民主主義陣営の結束と覚悟が試される。


商機とモラルリスク

さて、先週の日経紙・アジアVIEWには新型コロナウイルス保険の保険金支払いが急増しタイでは経営に行き詰まる保険会社が相次いでいる旨の記事があったが、国内でも少額の保険料ながら新型コロナウイルス感染の際に一時金が受け取れる所謂コロナ保険が感染第6波を背景にこれまで保険にあまり興味がなかったような若い世代など中心に賑わいを見せている模様だ。

感染し入院・自宅療養などとなった場合は最高で60万円が支払われるコロナ保険を2年前から販売している太陽生命は年明けから加入者が急増し累計販売数は21万件を超えて来ており、またペイペイのアプリで手軽に契約でき感染確認で5万円が支給される損保ジャパンの「コロナお見舞金」も販売わずか1カ月ほどで加入件数は15万件に達し今月に入ってからは20万件を突破している。

斯様に加入が殺到しているコロナ保険だが、日本生命子会社の大樹生命保険は想定を上回る支払いが見込まれる事で昨年末販売の商品維持が困難な事態に陥りわずか数カ月で販売停止に追い込まれている。そういえば感染第5波のあった昨年9月にも第一生命の子会社が販売していた同保険の販売が一時中止に追い込まれていたのも記憶に新しいところ。

ちなみにこの第一生命の子会社はこの2月に入ってから展開するコロナ保険の保険料を先月の約4倍に引き上げるなどまるでオプション取引のプレミアムを見ているようだが、冒頭のタイでは保険金目当ての意図的感染も横行するなどモラルリスクも表面化している模様。いずれにせよコロナ禍に乗じ商機に賭ける胴元の思惑は如何に、各社共その舵取りが注視される。


既視感

さて最近まで近所のスーパーでは熊本産のラベルが貼られたアサリが連日大量に売れ残っている光景を目にしたが、漁獲量の100倍以上にものぼる量の中国や韓国などから輸入されたアサリが熊本県産と表示されて全国に流通していた問題が世間を騒がせ、この問題のあおりを受け無関係のシバエビやハマグリまで熊本産は売れなくなり入札が止まるなど余波は多方面に及んている。
 
偽装といえばこのアサリ以外にも大手百貨店内に店舗を展開しふるさと納税返戻品にも選ばれた専門店など中国産の鰻を国産と産地偽装して蒲焼などを販売していた件が明らかになっているほか、今週は中国産のワカメを徳島県の鳴門産として出荷販売した食品加工会社社長が食品表示法違反などの疑いで逮捕された報が入って来るなど偽装の波は広がるばかりだ。

ウナギの偽装など10年以上も前にも中国産の横行が問題になり世間を騒がせたのが鮮明に蘇って来るが、この頃はミシュランの二つ星を獲得した今は無きヒルトンの有名レストランまで産地偽装が発覚しヤレヤレという思いであったのも思い出す。日本人の中国産などに対する目が依然として厳しい事などを背景とした悪しき商慣習や、調査の壁になっている縦割り行政等も含め繰り返し発覚する偽装問題の根は深い感がある。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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