132ページ目

各々のメダル

さて、誰の為の何のための大会なのか?と言われ開催だけを目的にしたと揶揄された東京五輪がいよいよ始まった。世界で最も厳しいと強調した感染予防策も選手村は危ないとホテルに逃避する国あり、開会式では天皇陛下が開会を宣言している傍で首相と都知事が着席したままそれを聞く姿が放映され、入場行進ではマスク無しの国ありなど突っ込みどころ満載の祭典が行われた。

とは言えいざ始まってしまうと政治とは別で一斉に応援モードになりメダルの数も気になりはじめる。先に各国が獲得するメダル数を日経紙とフィナンシャルタイムズが予測していたが、その上位予想ベスト5では米の121個から中国、英に続き日本が56個の予想だが、前回のリオ大会で41個のメダルを獲得し参加国では7位がこの予想通りなら過去最多という事になる。

とりわけ気になる金色だが、この土日では柔道女子52キロ級の阿部詩選手、そして兄の一二三選手が日本オリンピック史上初の男女兄妹同日金メダルの快挙で沸いていたが、他にも柔道では男子60キロ級の高藤選手、競泳女子400個人メドレーの大橋選手、そして新競技スケートボード男子ストリートからは堀米選手等が金メダルを獲得している。

ところで五輪中継でメダル授与式に映り込んだ東証一部の「ホウスイ」の文字が思わぬ広告効果を齎したと囃され、本日の同社は前日の約200倍の出来高急増を伴い株価も年初来高値を更新していたが、市場のアノマリーでは10個以上の金メダルで平均株価が上昇するというのもあり、金に王手組がまだ続々と控えているだけに明日以降もこれらと併せ注目してゆきたい。


嗜好から投機へ

さて、エンゼルスの大谷選手の活躍が報じられない日は無いが、この人気熱で昨年夏に約4万円だったトレーディングカードが直近では100万円以上に暴騰しているらしい。ところでトレーディングカードといえば、2017年に約10万円だったポケモンのカードも今年5月のオークションでは310万円と4年で約30倍にも大化けした旨も先の日経紙の記事で見掛けた。

オークションで大化けした事例として今月はゲームソフトも話題になった。任天堂が1996年に発売した家庭用ゲームソフト「スーパーマリオ64」が、11日に米で競売にかけられた156万ドル(約1億7200万円)で落札されたのがそれだ。ちなみにその数日前の9日には「ゼルダの伝説」が87万ドル(約9600万円)で落札され、ゲームソフトの落札額としては史上最高額を記録したばかりであったがこれが数日で塗り替えられたという事になる。

また近年すっかり投機対象と化した定番?のウイスキーも騰勢衰えない。約1年前に香港で開催されたオークションでは当時300万円で発売されたサントリー山崎55年が約8500万円で落札と実に約28倍に大化けしている。最近ではこうしたモノからメーカーにまでその投機熱が広がっており、MSCIワールド指数を米英仏の主要ワイン・ウイスキーメーカー5社の平均株価は既に大きく上方乖離している。

金融緩和でジャブジャブに溢れた世界のマネーがオルタナティブでこうした希少な嗜好品へ向かっているワケだが、先に挙げたNFT(非代替性トークン)などに見られるように日進月歩のIT技術も消費財の金融商品化に大きく貢献しこれがまた個人投資家を投機の世界に誘う循環が効いており、次の大化け候補の争奪戦も既に水面下で粛々と進行している。


東京2020

さて、いよいよ今週は東京五輪の開幕である。この東京オリンピック・パラリンピックは「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として世界に発信する機会としたい」と菅首相は常々発言してきたが、打ち勝つどころか対策分科会が警鐘を鳴らしてきた通り感染者数増加ペースが急上昇するなど一向に収束しないまま4度目の緊急事態宣言下で行われる。1年の延期が決定して以降の徹底的な検証・対策を怠り、場当たり的に希望的観測を抱き続けたツケが回って来た結果だろう。

しかしこの東京五輪、「お・も・て・な・し」のプレゼンで誘致が決定し日本中が沸いたのも束の間、新国立競技場に選ばれた当初のデザイン案が途中で断念撤回され、当初の五輪エンブレムもベルギーの劇場ロゴのパクリと問題になりこれまた白紙撤回、大会組織員会会長は女性蔑視発言で辞任に追い込まれ、開幕を週末に控えた直近では開会式作曲担当者が過去を掘り返され突如の辞任と何かとケチがついているが、ここまで祟られる?ともはやカオスである。

カオスといえば最近の「御触れ」もコロナ禍でも資金繰りを支えるように金融機関に求めておきながら、その一方で要請に従わない向きには立場を利用した融資制限を仄めかす民主主義の原則を無視した強圧的な態度で担当大臣が炎上したり、切り札とされるワクチンにしても需給を見誤りボトルネックの問題が起きているなど彼方此方の綻びが目立つ。

この令和の時代に昔の軍隊を彷彿させるような光景を見るとは想像もしなかったが、今更ながら政府はリスクコミュニケーションを再考し情報発信の仕方に全力をあげるべきか。今回のオリンピックも別な意義で開催ありきの話が進められていたならその旨明言したうえで対策を考えた方がよかったと思うが、何れにしろもう後戻りが出来ない現況下大過なく五輪を終えられるのを祈る。


サステナブル社会へ

過日所用で高島屋へ行ったのだが、エントランスを抜けた先で目を引いたのは新たに取り組みを始める「Depart de Loop」の大きなデコレーションであった。これは販売した服を回収し新たしい服に再生して販売するという完全循環型社会の実現を目指した同社のプロジェクトで今が旬?なサステナブル社会を意識した感が全面に出ていた。

この手の試みはアパレル業界では既にユニクロがこれと同様のダウン商品のリサイクルを昨年に始めているが、ファッション産業は世界で年間約9200万トンもの大量の服が廃棄されている事で非常に環境問題に対して負荷が高いと指摘されており、石油業界に次ぐ世界2位の環境汚染産業とまで言われているのが現状である。

洋服の6割を占めるポリエステルのリサイクルは廃棄量の大幅な減少に繋がり、先月の日経紙の広告でもクラボウが再生ポリエステルを原料とする次世代羽毛を開発した旨が出ていたが、上記のユニクロと並ぶファストファッションの雄H&Mも2017年にはサステナブル戦略を発表、ZARAもペットボトルからの再生を既に導入している。

但し現状リサイクルの手法によっては石油で一から創るよりコスト的に高くなり、冒頭の高島屋の製品に見られるように自ずと末端価格に反映されてしまうのは以前当欄で書いた廃材から創ったチョコと同様か。とはいえ斯様に百貨店はじめイオン等も再生ポリエステルを一部使用した衣料品を先月から本格販売するなど大手流通でも続々とこの手の動きが顕著になってきており、漸く各社サステナブルに本腰を入れ始めたのが肌で感じられるようになってきた今日この頃である。


遜色のないバカ

さて、本日の日経平均は手掛かり材料難のなか米市場の軟調を受け3日ぶりに反落となったが、そんな中で一際立っていたのが肥料大手の多木化学か。この株、つい4営業日前の先週末には5,000円の年初来安値を示現していたのだが、本日は寄り付きからストップ高まで買われ一気に年初来高値を更新と破竹の勢いとなっていた。

この背景としては、同社が香り・食感共に「松茸」に酷似する「バカマツタケ」の大量生産試験が可能な研究栽培施設の増設を発表した事で事業化の前進が囃されたものだったが、昨日今日の急騰劇を見るにちょうど3年前に同社が世界で初めてこのバカマツタケの完全人工栽培に成功した時の事が思い出される。

当時もその発表翌日から3日連続でストップ高を演じた後も日経平均が4ケタの急落となるなかを続伸するなどわずか3営業日で株価は約7割の急騰を演じたのが鮮明に思い出されるが、絶対に不可能といわれた舞茸の人工栽培を雪国まいたけが成功させたのを皮切りに斯様な日進月歩の技術を以て従来は絵空事だった領域の克服が加速している。

かつて高根の花だった舞茸や山伏茸など今ではどこのスーパーでも安価で何時でも手に入るが、こうなると今後この分野では料理界のダイアモンドと称されるトリュフなども人工栽培を成功させる向きが出て来るのだろうか?と夢は膨らむ。何れにせよ斯様な進化で数年後の食文化が今とは違った光景になっている可能性も十分に考えられるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

1

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31