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優勝劣敗

さて、先週は米アップルの時価総額が米国企業で初めて2兆ドルを突破したのが話題になっていた。今年に入ってからの同社の上昇率も実に5割以上に達し同社を1兆円保有する巨鯨GPIFもニンマリといったところだろうが、その辺は兎も角もこのアップルに限らずIT大手へマネーが集中する構図がここ顕著だ。

この辺に絡んでは先週の日経紙総合面でも「IT好調 米株二極化」と題して取り上げており、同文中にはS&P500の時価総額のうちこのアップル含めた所謂GAFAMで24%を占めると書いてあったが、その時価総額合計はこの5社だけで約740兆円と実に東証上場の全企業の時価総額合計の約640兆円を5月に逆転してから3ヵ月ほどで既に約100兆円も上回っている計算になる。

また先月にテスラを取り上げた時にこの1社で日本を代表するトヨタ、ホンダ、日産の時価総額合計を上回ると書いたが、これとて今や既にトップスリーどころか自動車9社をも上回っている。上記と併せコロナ禍での成長が期待出来る点が囃されている構図だが、同じコロナ下での成長を囃されている一部上場大手が日本の場合はニトリや西松屋等という現状を見るに、コロナ・ショック暴落から往って来い以上の過程で二極化が鮮明になった米との構図の違いを改めて感じる。


消えた密プール

さて、大人も子どもも短い夏休みが終わり今週からそれぞれヤレヤレの始動という感じであるが、今年は都外への移動自粛が求められる雰囲気のなか都内のホテルではプールやレストランなどで旅行気分を楽しんで自粛疲れを癒してもらおうという都民囲い込みのプラン等が目立っていた。

例年のこの時期は年々派手さを増して来たホテルのナイトプールなど一番の書入れ時なのだろうが、毎年人気のところは今年の場合は新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から殆どが宿泊者限定とする旨の通知が多く届いていた。ホテルメンバーなど会員特典が無くなってしまう分お得感も薄れるというものだが、冒頭の通り全国各地のご当地グルメのビュッフェなど企画は盛り沢山だ。

またこれらの案内と共に今年新しいところでは所謂ワーケーションプランの案内も目立って来た。星のや東京など先駆けてワンフロア全6室貸し切りプランと称し通常より18万円以上お得というプランを販売していたが、ニューオータニも今月末まで高級ホテルの静かな環境をオフィスのように使えるというフレコミで39万円からの30日連泊プランなど注目を集めている。

テレワークから更に進化?しこれを活用しつつ上記のラグジュアリーホテルやリゾート地などで仕事をするという政府も肝煎りのこの新たなスタイル、個々ではいろいろとハードルが高い課題もありそうな気もするが、新型コロナウイルスの感染拡大が依然高水準な中はたして新たな形として浸透するのか否かこちらも今後に注目したい。


デジタルゴールドの位置付け

本日の日経紙国際面では「投資対象、定着なるか」と題しインドで最高裁の判決によって暗号資産取引が再開し、暗号資産の直接取引仲介サービスを手掛ける欧米大手2社が仲介したインドルピー対ビットコインの月間取引高が先月は3月の2倍弱に上るなど暗号資産ビジネスがにわかに活気づいている旨が出ていた。

インドといえば貯蓄資産として銀行預金等より金を選好する傾向が高い国民性で知られるが、コロナ禍で財政赤字が膨らみ自国通貨価値が不安定になるなか再開された暗号資産取引が活況になるなどを見るに、史上最高値を更新している金に代わる貯蓄資産の位置付けで一定の人気がある事が窺える。

このビットコインも昨日は昨年8月以来の130万円台奪回と年初来高値を更新しており、新型コロナウイルスの感染拡大であらゆる資産の総投げに巻き込まれ50万円台にまで売られていた事を考えると話題の金どころではない上昇率だ。これまでその特性から何かと金と比較対象となってきたビットコインだが、このコロナ禍を背景に投機対象から徐々にその位置付けに変化が出て来ている感もある。


実施促進

さて、今年の株主総会では新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から招集書類にもかかわらず当日のご来場はお控えいただきますようお願い申し上げます等の一文が印字されているものが目立ったが、昨日の日経紙夕刊一面には「スマホ投票導入6割増」と題し株主総会でスマートフォンを使って株主総会で議決権を行使できる仕組みを導入する上場企業が337社と今年は19年より61%増加した旨が出ていた。

もう一つ、7月アタマの当欄では総会もバーチャルへと題しインターネットによる議決権行使が推奨されている旨も書いたが、作業が簡素化になるとはいえ普段からデジタルに疎い一部高齢の株主層に浸透するかどうかの課題云々の問題はあるものの今後も総会等のオンライン化は拡大こそすれ総会土産と共に従前へと回帰の方向に向う事は考え辛い。

これまで働き方改革絡めリモートワークやオンライン授業など予てよりこうしたモノを活用しなければならないというコンセンサスは一致していたとはいうものの、なかなか踏み切れなかった事が皮肉にもこの新型コロナウイルスによって否応なしに実施しなければならなくなって来た事例の一つでもあるが各々上手く生かして行ければと思う。


山高ければ谷深し

さて、約一週間前には米ドル信任が問われるなか中東の地政学リスクも加わりあっという間に2000ドル超えまで駆け上がった金を取り上げたが、それからわずか二日後の日経紙マーケット面には「金急落、一時1900ドル割れ」と題し、過去最高値圏で推移していたなか終値ベースで3月中旬に金を含む主要金融商品に換金売りが強まったコロナショック時の下げ幅に並ぶ急落を演じた旨が出ていた。

過剰流動性に乗ったモメンタム系の鬩ぎ合いもあって時間外取引では一時1900ドル割れの場面があるなど山高ければナントカを地で行く相場を呈しているが、直近のこの下げは米財政赤字拡大で国債発行増加による長期金利上昇が直撃したといったところで金利が付かないデメリット面が久し振りに突かれた感か。

ところで外貨準備の一つとしてこれまで積極的に金を積み上げてきたロシアに代わって最近では米との関係悪化を背景にトルコ中銀の購入が目立つ報道があったが、今や金ETFの代表銘柄SPDRゴールドシェアを扱うステート・ストリートのETF保有残高は日本が外貨準備で保有するそれをも上回っている模様。これまでの同資金流入ペースを見るに日銀のETF買い入れの如く、今回のように空中戦で押した要所では確実に買い手も存在する証左といえ趨勢変化と捉えるのは早計か。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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