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新規上場彼是

本日は東証プライム市場にソニーFGが再上場を果たした。ソニーの完全子会社化で20年に上昇を廃止した同社だったが、今回「パーシャルスピンオフ」により分離・独立し公募や売り出しを伴わないダイレクトリスティング方式による再上場となる。注目の初値は流通参考価格150円に対し36.7%高となる205円で寄り、引けは173.8円で初日を終えることとなった。

さて新規上場といえばもう一つ、先週には同じくプライム市場に沖縄の「オリオンビール」が上場している。製造業としては沖縄県内初の上場となるが、その知名度もあり応募倍率は個人が約90倍、機関投資家も40倍と前人気も高かったこともありこちらの初値は公開価格の850円に対し約2.2倍の1863円となり、あと2262円まで上昇する場面も見られた。

先に開業したジャングリア沖縄へも出資している事などで同施設での商品提供、オフィシャルホテルも獲得しているが、オリオンといえば2019年に野村HDと米の投資ファンド、カーライル・グループが約570億円で創業家から買収したのが記憶に新しいところ。約6年を経てのイグジットとなったわけだが、これで10%超の株式を保有するアサヒビールが筆頭株主となる。

これまでは県内で製造・販売するビールを対象とする酒税軽減措置等があり、年平均成長率など見ても筆頭株主のアサヒの約5倍を叩き出していたがあと1年ほどでこれが終了することで今後はこの辺が課題になって来る。同社は株主優待品でオリオンTシャツも用意しているが、こうしたグッズ類のライセンスビジネスの伸びしろも今後のキーワードになってくるか。


アメリカン・ジゴロ

先の日曜日の日経紙・TheSTYLEでは「アルマーニ氏を悼む」と題し、今月に逝去したイタリアのファッションデザイナー、ジョルジオ・アルマーニ氏の特集記事が載っていた。伊のファッション界ではジョルジオ・アルマーニとジャンニ・ヴェルサーチ、それにジャンフランコ・フェレの3名が「ミラノの3G」として君臨していたが、ヴェルサーチ氏は97年にショッキングな事件で逝去し、フェレ氏は2007年に病死、最後に残っていたのがアルマーニ氏であったがこれで“3G”は全てこの世を去ってしまった。

思えばアルマーニを知ったのはバブルが盛り上がって来た頃に見た映画「アメリカン・ジゴロ」から。あの頃は主演のリチャード・ギアが自室でアルマーニの服を鼻歌交じりにスタイリングするシーンを見て“私もいつかはアルマーニ”と皆が憧れを抱いたものだったが、男性のみならずこの頃には男女雇用機会均等法が施行され、女性も男性同様の地位を得られるとキャリア志向が強くなるのと並行してこのアルマーニを好むご婦人方が増殖したものだった。

アルマーニ氏が影響を受けたのはシャネルと聞いたことがあるが、なるほどシャネルは女性をコルセットから解放した事で有名で、アルマーニは従来のスーツには無かったやわらかい生地を用い芯地や肩パッドを外し身体に自由を与えたファッションはこの辺をオマージュしたともいえるか。同氏は衣服のみならず家具や化粧品、レストランに至るまで日本でも展開し故郷イタリア等ではホテルも展開するなどその名はライフスタイル全般に広がっている。

斯様に一代で築き上げたアルマーニ帝国だったが合従連衡が激しい業界にあっても巨大資本に入る事を拒み独立経営を貫いてきた同社も、報じられているところでは今後会社の株式を譲渡する候補としてあのLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンはじめ他数社が挙がっておりIPOの可能性も排除しないという。同氏の旅立ちは単なる3Gの終焉でない規模だけに今後受け皿企業がどう動くのか、この辺からも目が離せない。


崩れる黄金律

日銀が先週に発表した2025年4~6月期の資金循環統計(速報)だが、2025年6月末時点で家計の金融資産残高は前年同期比1%増の2239兆円と過去最高になった模様だ。引き続き新NISAを背景に投資信託や株式への資金流入が続き前回より国内株式が上昇し残高を押し上げた一方で、こうした投信などへの資金シフトを背景に現金・預金は前年同期比で0.1%減の1126兆円であった。

一昨年だったか、この家計の金融資産について触れた時にはその末尾で「~貯蓄から投資と言われて久しいものの日本人は長らくデフレに慣れきってしまい金利も貰えていなかったが、インフレが続けば当然ながら現金の価値は目減りしてくる。」と書いていたが、今回この現金・預金の伸び率が2006年12月末以来、実に18年半ぶりにマイナスに転じたのは注目に値するか。

長らく続いたデフレ時代ではモノの値段が上がるどころか何処も彼処も安値合戦が繰り広げられていた事で円の価値が大きく目減りする心配も無く銀行預金はたまたタンス預金などゴールデンスタンダードだったが、賃金が一向に上がらないのに容赦なく物価が上昇するのが定着し家計を圧迫する事象が漸くインフレを実感させることとなり一般の認識も“脱預金”にシフトしてきた証左か。

政府の後押しもあって身近に現金を置いておく文化的価値も右へ倣えで方向転換してきたが、それでも黎明期?だけに株式や投信等の比率はまだまだ欧米の足元にも及ばないのが現状。これからの伸びしろを考えるにまだまだ増加すると思われるが、同時に悩ましいのがこの気運を商機?と捉えた情報弱者を狙った投資詐欺の類か。そういった意味でも金融リテラシーの強化も喫緊の課題だろうか。


ポイントバーゲンセール化

周知のようにポイントを付与する仲介サイトを通じた自治体のふるさと納税の寄付募集が来月から禁止となることで、通常では年末に見られ光景である駆け込みが増加してきた。ポータルサイト各社もこれを最後の商機とみて、先月辺りから相次いでキャンペーンやPRイベントを打ち出すなどしており、残すところわずかとなった今月に入っても競争が激化している。

ザッと挙げても先月は「JRE MALL」が期間限定でJRE POINTを最大12.5%還元キャンペーンを展開、「ふるなび」はPayPay・Amazon・楽天・dポイント等と交換可能な(ふるなびコイン)を最大100%還元、今月は明日から月末まではふるなびWEEKで通常より寄付金額が安い返礼品がある。また「Yahoo!ふるさと納税」は先月に続く第2弾として抽選で付与されるポイントが今月末まで最大80%に拡大され、「さとふる」は今月末まで抽選で最大1000%付与(上限10万P)を展開している。

斯様な各社のキャンペーン効果でふるさと納税の比較サイトが今月アタマに発表した調査では、先月8月の寄付件数は前年同月比で1.35倍、寄付単価も1.37倍に伸びているという。ポイント廃止を控えての駆け込み需要が数字に表れた格好だが、今月も引き続き各社のキャンペーンやPR効果もあってこの先月の数字を更に上回る寄付件数が見込まれる可能性が高いか。

この数字的なものでは総務省が7月に発表した昨年のふるさと納税による寄付総額では、前年に続いて1兆円の大台を超えて5年連続でまたも過去最高を塗り替えている。またふるさと納税を利用した人数も1080万人とこちらも過去最高となっている。今回の駆け込み狂騒曲が終わった後の業界勢力図に変化は出てくるのか、また今後自治体に及ぼす影響は如何ほどになるかこの辺が興味深い。


基準地価2025

この時期恒例で日経紙第二部では今年の基準地価特集が折り込まれている。というわけで国土交通省がまとめた今年7月1日の土地取引の目安となる基準地価は、全国平均がプラス1.5%と昨年に続き上昇しこれで4年連続の上昇となった。用途別では住宅地がプラス1.0%、商業地がプラス2.8%といずれもバブル崩壊で下落した1991年以降で最大の上昇率となっている。

商業地上昇率トップでは昨年は台湾の半導体メーカーTSMCの工場進出で熊本県大津町であったが、今年も半導体絡みで次世代半導体の国産化を目指すラピダスが進出した北海道の千歳市がプラス31.4%でトップに躍り出た。同じく北海道では富良野市が住宅地の上昇率トップとなったが、こちらはインバウンド向けの別荘など住宅需要の増大が要因となっている。ちなみに全国最高地価地点は不動の「明治屋銀座ビル」となり、これで20年連続である。

都内の住宅地も港区赤坂1丁目では昨年比で15.6%上昇したが、インバウンド増加も密な関係で今年上半期の海外投資家による不動産への投資額は05年以降で最大となっている模様だ。円安や金利水準を背景とした“お買い得”感からその勢いは衰える気配を見せていないが、同じ港区の三田ガーデンヒルズなど外国勢力が暗躍し現在の価格は一昨年の分譲価格からはや約2倍に化けるなどしており、過度な投機には規制も検討すべき時に来ているのかもしれない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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