アメリカン・ジゴロ

先の日曜日の日経紙・TheSTYLEでは「アルマーニ氏を悼む」と題し、今月に逝去したイタリアのファッションデザイナー、ジョルジオ・アルマーニ氏の特集記事が載っていた。伊のファッション界ではジョルジオ・アルマーニとジャンニ・ヴェルサーチ、それにジャンフランコ・フェレの3名が「ミラノの3G」として君臨していたが、ヴェルサーチ氏は97年にショッキングな事件で逝去し、フェレ氏は2007年に病死、最後に残っていたのがアルマーニ氏であったがこれで“3G”は全てこの世を去ってしまった。

思えばアルマーニを知ったのはバブルが盛り上がって来た頃に見た映画「アメリカン・ジゴロ」から。あの頃は主演のリチャード・ギアが自室でアルマーニの服を鼻歌交じりにスタイリングするシーンを見て“私もいつかはアルマーニ”と皆が憧れを抱いたものだったが、男性のみならずこの頃には男女雇用機会均等法が施行され、女性も男性同様の地位を得られるとキャリア志向が強くなるのと並行してこのアルマーニを好むご婦人方が増殖したものだった。

アルマーニ氏が影響を受けたのはシャネルと聞いたことがあるが、なるほどシャネルは女性をコルセットから解放した事で有名で、アルマーニは従来のスーツには無かったやわらかい生地を用い芯地や肩パッドを外し身体に自由を与えたファッションはこの辺をオマージュしたともいえるか。同氏は衣服のみならず家具や化粧品、レストランに至るまで日本でも展開し故郷イタリア等ではホテルも展開するなどその名はライフスタイル全般に広がっている。

斯様に一代で築き上げたアルマーニ帝国だったが合従連衡が激しい業界にあっても巨大資本に入る事を拒み独立経営を貫いてきた同社も、報じられているところでは今後会社の株式を譲渡する候補としてあのLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンはじめ他数社が挙がっておりIPOの可能性も排除しないという。同氏の旅立ちは単なる3Gの終焉でない規模だけに今後受け皿企業がどう動くのか、この辺からも目が離せない。


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