170ページ目

DAX構成銘柄破綻

さて、本日の日経紙投資情報面には「空売り、粉飾で見えた意義」と題し、先月に粉飾が発覚し破綻したドイツのオンライン決済大手ワイヤーカードを巡り、不正会計疑惑が報じられた後の株価の急落を巡りドイツやEUの金融当局がこれを問題視し空売り規制に出た件が疑問視されている旨の記事が出ていた。

この企業、その時価総額はドイツ銀行をも上回り日々のDAX寄与度ランキング上位に顔を出していた常連だっただけに破綻は衝撃的だったが、破綻したらすぐさまポスト移動措置が取られるワケでもなく未だDAX構成銘柄にとどまり間接的に投資マネーが流入している点がすごい。

それは兎も角、この破綻劇の裏では冒頭の金融当局もさることながら一部監査法人がその決算書に適正との監査意見を出していたり、また近年急増しているESG投資だがこのスコアを提供する複数の評価機関もこの企業を普通ランクや中間に位置付けていたというからガバナンスをどう捉えていたのか理解に苦しむが、早くからショートに動いていた空売り勢こそ斯様な市場の矯正に一役買っていた存在だったのは否めないところだろう。


時価総額逆転進行形

さて、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で3月に約7年2ヵ月ぶりの安値水準まで急落した東証REIT指数だが、個別ではその後の戻り局面で物流施設型の日本プロロジスリート投資法人がオフィス型の日本ビルファンド投資法人を上回る局面が出るなど、時価総額トップが初めて交代する逆転劇があった旨が先週末の日経紙にあった。

昨年末には約5,000億円近くもの開きがあった両者だがテレワークの普及でオフィス不要論が喧しくなる一方でネット通販の急速な伸びを背景に鞘が急速に縮小したという構図だが、コロナ禍を背景にしたこの手の勝ち組現象は先月に取り上げた米テスラも代表格で先のトヨタ超えも束の間、今やその時価総額は日本を代表するトヨタ、ホンダ、日産のトップスリーの合計時価総額をも上回る。

こうなると段階的に設定されたそのストックオプションの方も物凄い事になりそうだが、それは兎も角も米では他に半導体大手インテルが同業のエヌビディアに抜かれたり彼方此方で逆転現象が起きている。こんな光景はリーマンショック後を彷彿させるが、コロナ後を先取りする動きは各種指標が示す過熱感を横目で見ながら次の逆転候補を捉えて止まる事はないだろうか。


遡及適用の是非

さて、先週は大阪の泉佐野市がふるさと納税制度の対象自治体から除外したのは違法だとして除外決定の取り消しを求めていた訴訟の上告審判決があったが、注目された最高裁の答えは国の勝訴とした高裁の判決を破棄して決定を取り消し泉佐野市の逆転勝訴が確定するというものであった。

もともとはこの裁判、総務省の後出しジャンケンではないか?といった遡及適用を巡る点が焦点でもあったが、果たして法律上やはり国の裁量がここまで許されてしまうと何でもアリとう事になってしまうというところで待ったとなった格好か。とはいえ泉佐野市も社会通念上の節度を欠いたとされた通り行儀が悪かったのは否めないところで、今後は地場産業など襟を正した勝負で臨むか否かこの辺が注目されよう。

地場産業の開発も知恵の絞りどころだが、最近では首都圏などでこのコロナ禍で売上げが減少した事業者の商品を返戻品に採用したり、飲食店等支援の為の寄附金による基金創設などの動きもあり都内ではその使い道に新型コロナウイルスの感染防止対策を加える動きも出て来ている。

ともあれこの一件で総務省は今月に入って今後の返礼品提供には審査を受ける必要があるもののこの泉佐野市を含む3市町についてふるさと納税制度への復帰を認めると明らかにしているが、今回のケースは総務省が自治体に権限を及ぼす事で動かして来た地方自治の在り方を問うた事例といえるだろうか。


優待もお土産も

さて、先月にピークを迎えた株主総会については今後その形の在り方など先に取り上げた通りだが、三菱UFJ信託銀行によればこの株主総会で新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐべく来場者へのお土産を取り止める企業が今年は現時点で1394社と前年の2.7倍にのぼる旨も過日の日経紙夕刊一面で取り上げられていた。

ただでさえ新型コロナウイルスによる企業業績への打撃によりこれまで提供してきた株主優待を休止や中止するなど決めた企業が5月末迄に約10社に上る旨も以前に書いたが、総会の招集通知に「当日のご来場はお控えいただきますよう強くお願い申しげます」とか、「お土産のご用意はございません」などそれも赤文字で書かれているのもこれだけを見るとおどろおどろしいものだ。

しかし斯様な株主優待休止からお土産取り止めまでこれら目当ての個人投資家にとってはまさに受難の年となった格好だが、ここ数年持ち合い解消促進の後の受け皿として個人の存在というものもクローズアップされてきた経緯があるだけに各社共に今後はコロナ後を見据えた工夫も求められるところか。


35年連続1位

本日は所用で銀座に行ったが、鳩居堂が視界に入って来た際に今月アタマに国税庁が2020年の路線価を発表していたなと思い出しつつぼんやりそれを眺めた。この鳩居堂は今年も安定の一位で実に35年連続、また全国約32万地点は昨年比で1.6%のプラスとなり5年連続で上昇している。

今年開催される予定であった東京五輪は新型コロナウイルスの影響でオリンピック史上初の延期という憂き目に遭い、インバウンド誘致を睨み争奪戦の様相を見せた銀座界隈のテナントをおさえた向きには肩透かしの一面もあっただろうがそれでもなお再開発や物色の手は水面下で緩むことなく人気と共にこのエリアの新陳代謝は続くか。

ところで斯様なエリアはそれとしてコロナ禍以前に賑わった他の観光地の一部はまた別、今回の路線価上昇の背景には新型コロナウイルス禍の影響が反映されていない1月1日時点という事情があり、そうしたところは営業再開後もなお賑わいがすっかり失せてしまっているところも多いだけにインバウンドを背景に高い上昇率を辿って来たところは先行きの不透明感に戦々恐々だろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

1

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31