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低相関性

本日の日経紙マーケット面には「短期筋の物色手詰まり」と題して、株式相場が米中貿易摩擦を巡ってトランプ米大統領の一言で大きく振られる展開となるなど、方向感を見出し辛い株式相場が続きそうだとの観測から短期筋の投資家がビットコインなど仮想通貨に物色の矛先を向けている旨が出ていた。

このビットコインといえば当欄でも先月に突如として急騰し昨年11月以来の高値を示現した際に取り上げたが、出所不明で三日天下と思われていた相場も懐疑のなかでなかなか持ちがよくその背景には個人はもとより機関投資家などからの新規マネー流入が期待もいわれている模様だ。

その評価のポイントとしては約半数の投資家が、その他の資産との相関性が最も低い点を挙げている旨が米運用大手フィディリティ・インベストメンツ実施の調査で明らかになっているが、身構える投資家と並行しオルタナティブ資産としての投資先という関心が高まる裏にはカネ余りとしての側面も見え隠れする。


副産物の弊害

昨日の日経紙・HOTSTORYには「チケット、ネット高額転売に網 6月に新法」と題し、五輪を筆頭にした大型スポートイベントや人気アーティストのコンサートチケットを買い占める所謂ネットダフ屋等の行為を禁じるチケット不正転売禁止法が来月14日施行される旨が載っていた。

当欄ではこの辺に絡んで昨年4月に衆議院第一議員会館で開催された「高額チケット転売に反対するアーティスト・アスリートの要望を聞く会」について触れた事があったが、ネットの普及・進化で一昔前からは想像もつかぬほど便利になった反面、ボットを駆使した買い占めからネットを介しアナログな路上よりはるかに効率的なマッチングも可能となり闇の一元化が整備されている。

証券市場でもHFTが市場を席巻しこれに一般個人などは到底太刀打ち出来ないレベルになっており、差し詰め上記のボットなどと併せその是非論も難しいところだが、初日にアクセスが殺到しパンクした2020年東京五輪チケットも申し込みサイトなど公式以外のサイトから絶対に購入しないようにと不正転売に最も神経をとがらせている。

コンサートにおけるプラチナチケットなどのレアシートの空席ほど違和感を覚えるモノは無いが、こんな光景が東京五輪でTV放映されたらはたしてどう映るか?前にも書いたように確かに五輪チケットで高額転売が横行するような事態になれば国際問題化しかねないだけに関係者がピリつくのは無理もないが、新法の抑止力が如何ほどのものか今後注目しておきたい。


新たなコスメ市場

昨日の日経M・J紙では「メーク男子週5日で口紅」と題し、リクルート系調査がまとめた15〜39歳の男性メークの意識調査によれば、20〜24歳のメーク経験者が平均週5.1日で口紅やグロスを使用、マスカラも週4.7日の使用頻度となるなど身だしなみや職場のマナーとして男性の美容関連に対する意欲が高まっている旨が書かれていた。

自身を良く見せたいとのニーズは男女共通の思いとはいえ、私などこの手の身だしなみでは一昔前に意識高い系の営業の間でピカピカに磨いたネイルなど流行った時代を思い出す程度だが、上記の口紅やマスカラなどそれこそ女性のマストアイテムでメーク男子が増殖しつつある背景には最近では人気ユーチューバーなどがこれらを駆使し日常使い出来るメーク法などを頻繁にアップしているなどの影響も大きい。

また昨今の男性用の美容関係のCM一つ取っても肌ケアものなど含め一昔前とはその変遷を感じている向きも多いと思うが、昨年はハイブランドのシャネルまで男性用のファンデーションやアイブロウペンシルなどの販売を始めている。最初にファッション誌でこれを見た時は衝撃だったが、これは94年の歴史で初めての事だそうで改めて隔世の感を覚える。


ガバナンスの虚しさ

さて本日は渦中のスルガ銀行が投資用不動産向け融資で総額1.8兆円の全件を対象にした不正行為の調査結果を発表、借入希望者の預金通帳や売買契約書の改ざんや偽造などの不正行為が約5500億円、そのほかの疑わしい融資等を含めると不適切融資は1兆円を超え全体の6割強を占める事が判明した模様。

このスルガ銀行といえば昨日も所謂デ−ト商品に加担したとして20代の女性が同行に対して損害賠償を求める訴訟を起こしている旨のニュースがあったが、TVドラマなどの設定でこういったシーンが使われるのは兎も角、リアルに一部上場企業が加担していたとはガバナンス強化が謳われている現在でなかなか残念な事態だ。

しかしこのスルガ以外でもレオパレスや、もうかれこれ数年続いている製品検査の不正問題に絡む企業続出などガバナンス強化の掛け声も空しく聞こえる。ただでさえ経営環境が厳しい中での不祥事発覚で今後どういったところに活路を見出してゆくかだが、東証が市場改革を検討する中でもこの手のニュースが無くなるのは考え難くまた次の事例が出てきそうだ。


現代版アクティビスト

本日の日経紙企業面には「東芝 外国人役員3分の1」と題し、昨日に経営再建中の東芝が12人の取締役のうち社外が10人で全体の3分の1にあたる4人が投資会社トップなどの所謂物言う株主とされる外国人役員になるなど、取締役会の体制を大幅に見直すと発表した旨が出ていた。

文中には東芝株を5%超保有する米ファンドのキング・ストリート・キャピタル・マネージメントの話が出ていたが、同ファンドといえば東芝が17年に増資する以前からの株主で先に取締役の過半数の後退を要求した経緯があり、当時の株価は短期的株主還元拡大思惑から上昇したものだ。

これまで何度も書いてきた米スティール・パートナーズなどかつてブルドックソースやアデランス、ユシロ化学などに揺さぶりをかけ続けてきたがその関与が成功したとは言い難かったものだが斯様な北風政策も今は昔、ズラリと並ぶアクティビスト達の東芝への経営関与はいろいろな意味で試金石となる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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