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IPO揺り戻し

さて、先週末の日経紙マーケット面には「IPO懐疑 国内でも」と題し、国内で期待された大型案件の上場が延期になったり公開価格が当初想定よりも下がったりする例が相次ぐなどIPO(新規株式公開)が相場の牽引役から不安材料になりつつあるなど転換点を迎えている旨が載っていた。

公開価格が当初想定よりも下がったといえば、先月マザーズに上場した大阪大学発のバイオベンチャー、ステムリムが記憶に新しいところ。今年最大級のIPOと鳴り物入りでの登場であったが、その公募・売り出し価格は当初想定の2,370〜3,730円から仮条件引き下げを経て最終的には仮条件下限の1,000円まで下がる結果となった。

果たしてというか同社の初値はこの公開価格をも下回り先週にはザラバで700円台を付け年初来安値を更新している。会社側も調達額予定が大きく変わっただろうが、一連の経緯で一部投資家からの同セクターへの実態にそぐわない公募価格決定のやり方へ疑問府が付く。IPO後半戦も酣だがこれまでの揺り戻しの中で企業価値評価尺度に向けられる目も厳しくなってくるのは想像に難くないか。


The Okura Tokyo開業

さて、ちょうど1週間前の日経紙には「新たなオークラの歴史が、始まります。」として約4年をかけて建て替えた「The Okura Tokyo」開業の全面広告があった。ヘリテージとプレステージの2ブランド展開で新設の最高級ブランドとするヘリテージの客室単価は旧本館の3.5倍と強気な値付けが目玉という。

同ホテルといえばオークラ・ランターンはじめ幾つもの日本美術の粋を終結させた建造物だっただけに取り壊しが決まった4年前には国内外から多くの嘆願の動きまで出たのが記憶に新しいが、ヘリテージを謳っているだけにそのロビーには料紙の再利用が為されるなど遺産を活用し伝統と革新のバランスを図った試みが為されている。

しかし高級ホテル業界はオリンピックの年に米マリオットが虎ノ門に最高級ブランドのエディションを開業、更に22年にはブルガリが八重洲にブルガリホテルを開業する予定だが、この界隈にはアマン東京、シャングリ・ラ・ホテル東京、フォーシーズンズホテル丸の内や星のや東京などが犇めいておりこの激戦区でも高級ホテル戦争再燃となりそうだ。

ところでこのホテルオークラといえばあの久兵衛、現在も別館で営業を継続しているが店を構える場所を巡って同ホテルと裁判沙汰になるまで揉めていたあの一件はその後どうなっているのだろう?


SDGs啓蒙

さて、今週の「敬老の日」が(海老の日)でもあるという事もあって、先週末には豊洲市場の隣では海老に特化したイベント(エビフェス)が開催されていた。会場には中央区界隈のラ・ベットラ・ダ・オチアイ、つきぢ田村、たいめいけん等の有名店が挙って出店し、彼ら人気料理人が考案した海老を使った料理を試食販売する屋台が賑わっていた。

これを主催したのは日本海老協会なるところだがこの屋台の試食販売で使われる海老には、賞味期限は残っているが出荷期限が切れたモノを使ってもらうという条件が付けられており、今回のイベントを実施した背景には出荷期限を過ぎても美味しく食べられるという事を伝えたいとの思いがあったという。

こうしたフードロス問題と併せて同フェスでは「プラゴミ0チャレンジ」なるものを実施、上記の屋台で使用する容器は環境に配慮したバイオプラスチック製の容器を使用、屋台の電力も水素自動車からのエネルギー供給で、マイバックやマイ箸、マイボトルを持参と環境問題に向き合う趣旨となっている。

今週アタマの日経紙にも「中高生が学ぶSDGs」と題し、民間企業と組んで体験型のプログラムを用意したり、生徒がSDGsをより身近に感じられるように独自の目標設定を試みたりする高校もある旨の記事があったが、斯様なフェス一つ取っても今後は益々SDGsを意識した内容のモノが増えてゆくものは想像に難くないか。


またも幻か?

さて先週12日付け日経紙一面には「3.9兆円買収提案」と題し、香港取引所がLSE(ロンドン証券取引所)グループへ296億ポンドで全株式を取得し合併するという買収提案をした旨の記事があったが、早速というかすぐさま政治的リスクや買収スキームへの疑念を背景にLSE側は断る意向との報が出ていた。

斯様に今回は初動から雲行きが何とも怪しいが、LSEといえばこれまでザッと振り返ってみても米ナスダックのTOBが不発に終わり、その後の加TMXグループの対等合併も破談となり、後のドイツ証取との経営統合の一件は欧州員会の壁が立ちはだかり破談となった経緯があり難攻不落のイメージしかない。

一方香港取引所といえば2012年にLME(ロンドン金属取引所)を傘下に収めた実績が記憶に新しいが、昨今地盤沈下が進行しつつある同所を取り巻く環境を勘案すればここへきてハードルの高さを押してでも躍起になるのも合点が行く。とはいえアジアから欧州まで射程を広げ世界のマネーを取り込む悲願にはまだ幾多の壁が立ちはだかるだけにこの縁談実現は一筋縄ではいかぬか。


eスポーツ商機

さて、一般公開は週末からだが本日から幕張メッセでは「東京ゲームショウ2019」が開催されている。また、全英から1カ月以上経った今でもなお話題の続く渋野プロが出場している2019・日本女子ゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯もチェリーヒルズゴルフクラブで同じく本日より開幕となった。

ところでこの両者、日本女子ゴルフ選手権の賞金総額は2億円(優勝賞金3600万円)だが、片や7月に開催されたeスポーツ・フォートナイト世界大会で優勝した高校生の優勝賞金は約3億円と今が話題の旬となっている女子ゴルフよりはるかに高額となっているが、この辺に絡んでは昨日の日経紙企業面でも取り上げられていた。

eスポーツといえば家族連れでも楽しめるような競技場施設も近年は出来るなど急拡大が顕著で、そのマーケットは1000億円を超える見通しという。そんな市場拡大期待から物色のテーマ難にあった株式市場ではゲームソフトから関係機器に至るまでその関連銘柄が個人の物色買いの対象となる光景も先月あたりは見られた。

上記の通り多額の賞金が動く背景にあるのはスポンサー企業の急増と同紙でも書かれているが、ゲームとの関連付けでイメージの湧かないメガバンクもスポンサーとして名乗りを上げるなど新たな顧客層の取り込みに熱が入る旨が窺える。従来であればこの手のお堅め?企業は見向きもしなかっただろうが、当分2桁成長が続くとの期待があるだけにこれまで逃して来た商機の挽回に各社がしのぎを削るところか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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