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ゼロサム

さて、先週木曜の日経紙夕刊には「ふるさと納税返戻品「地場縛り」に動揺」と題して、6月からのふるさと納税の新制度で返戻品が地場産品で限定される事を受け友好都市の特産品の取り扱いを止めたり、市外で生産している為にゆかりの品でも継続出来なくなったりと各地の自治体が対応に追われている旨が出ていた。

6月からの新制度に絡んでは今年の3月に当欄でも通知法律化を経てどういった処遇になるのか注目されるところと書いたが、はたしてというか総務省は今月中旬には捨て身?の掻き集めに出て何かと話題を振り撒いた4市町の参加を認めない旨の発表をし、寄付しても制度上の税優遇は受けられないという事になる。

これに伴って応分の駆け込み需要も予想通りの発生となったが、日経紙調査によれば全国810市区の18年度ふるさと納税の寄付受け入れ合計額は17年度比で29%増の2704億円となり、これをベースとして流出する住民税の金額は前年度比で2割以上増えることが明らかになっている。

総務省が苦言を呈し始めてから約4年でこのゼロサム?ゲームにも一応の釘が刺されるかっこうとなったが、上記の通り都市部自治体の財政への打撃は小さくない。性善説ベースとはいえ自治体と営利企業が絡む構図上競争が生まれないワケが無く、適正規模がこの新制度で図れるのか否か今後も注目である。


ガレ・ドーム展2019

さて、過日「芸術と自然とのふれあい ガレ・ドーム展」と題した立派なカタログがプライスリストと共に日本橋三越から送られてきたので、所用で近所に行った際に折角なのでこれを観てきた。

カタログに謳ってあったようにガレ・ドームそれぞれの初期から晩年までの作品が並べられていたが、毎回趣の異なる作品が前回と被ることなく小物からそれ以外のものまでそこそこの数が鎮座しており、美術館のようにガラスケースに入れられていない事で360度眺められる点が毎回気に入っている。

名鑑に載っているような定番のシリーズものなどここ数年ではあまり並ばなくなった時期もあったものの、今年は私の好きな「風雨樹林文」や「冬景色」シリーズが何点か出されておりじっくりと観ることが出来たのが収穫であったが、価格推移など作品ごとに以前の覚えから比較するに景気の片鱗も伺える点がなかなか面白い。


買収防衛策廃止加速

本日の日経紙投資情報面には「買収防衛策 廃止相次ぐ」と題して、買収防衛策は経営者の保身につながるとの批判が強く株主総会での反対票の増加も廃止を後押ししてこの防衛策を廃止する上場企業が相次いでいる旨が出ていた。

買収防衛策に関して当欄では約1年前くらいに日経平均が大幅安となるなか買収防衛策を廃止した企業群は逆行高を演じていた旨を書いた事があり、この当時の実施企業は前年より21社減少し12年ぶりに400社を割り込む見通しと書いていたが、昨日段階では342社とはたしてというかこれを割り込んでいる。

そんな背景には同紙にも書いてあったように14年に金融庁が策定したスチュワードシップ・コードによって機関投資家に投資先の企業経営をチェックするよう求める動きがあり、冒頭の通り株主総会での反対票の増加割合が高まる旨も既に当欄では書いてあったが、持ち合い慣習とも併せダブルコード導入で今後もまだ実施企業の減少傾向は続きそうだ。


低相関性

本日の日経紙マーケット面には「短期筋の物色手詰まり」と題して、株式相場が米中貿易摩擦を巡ってトランプ米大統領の一言で大きく振られる展開となるなど、方向感を見出し辛い株式相場が続きそうだとの観測から短期筋の投資家がビットコインなど仮想通貨に物色の矛先を向けている旨が出ていた。

このビットコインといえば当欄でも先月に突如として急騰し昨年11月以来の高値を示現した際に取り上げたが、出所不明で三日天下と思われていた相場も懐疑のなかでなかなか持ちがよくその背景には個人はもとより機関投資家などからの新規マネー流入が期待もいわれている模様だ。

その評価のポイントとしては約半数の投資家が、その他の資産との相関性が最も低い点を挙げている旨が米運用大手フィディリティ・インベストメンツ実施の調査で明らかになっているが、身構える投資家と並行しオルタナティブ資産としての投資先という関心が高まる裏にはカネ余りとしての側面も見え隠れする。


副産物の弊害

昨日の日経紙・HOTSTORYには「チケット、ネット高額転売に網 6月に新法」と題し、五輪を筆頭にした大型スポートイベントや人気アーティストのコンサートチケットを買い占める所謂ネットダフ屋等の行為を禁じるチケット不正転売禁止法が来月14日施行される旨が載っていた。

当欄ではこの辺に絡んで昨年4月に衆議院第一議員会館で開催された「高額チケット転売に反対するアーティスト・アスリートの要望を聞く会」について触れた事があったが、ネットの普及・進化で一昔前からは想像もつかぬほど便利になった反面、ボットを駆使した買い占めからネットを介しアナログな路上よりはるかに効率的なマッチングも可能となり闇の一元化が整備されている。

証券市場でもHFTが市場を席巻しこれに一般個人などは到底太刀打ち出来ないレベルになっており、差し詰め上記のボットなどと併せその是非論も難しいところだが、初日にアクセスが殺到しパンクした2020年東京五輪チケットも申し込みサイトなど公式以外のサイトから絶対に購入しないようにと不正転売に最も神経をとがらせている。

コンサートにおけるプラチナチケットなどのレアシートの空席ほど違和感を覚えるモノは無いが、こんな光景が東京五輪でTV放映されたらはたしてどう映るか?前にも書いたように確かに五輪チケットで高額転売が横行するような事態になれば国際問題化しかねないだけに関係者がピリつくのは無理もないが、新法の抑止力が如何ほどのものか今後注目しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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