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幻のMBO

さて、昨日の日経紙には「マスク氏、誤算の17日間」と題して、先週末に米テスラがこれまでツイッター等で明かして来た1株あたり420ドルで買い付けるという株式非公開化の計画を撤回すると発表した旨が出ていた。SECの調査入り等で暗雲が漂っていたとはいえ、世界的な金利低下の下でのカネ余りの昨今だけにいかにもありそうな話だったが果たしてという感じか。

結局このドタバタ劇ではポジション維持に耐えきれなかったカラ売り筋の一掃が叶った程度であったが、ともあれ実現すれば約8兆円規模と世界のMBOとしては最大規模の案件は幻に終わった格好。資本市場に背を向けようとした今回の一件が市場規律の緩みを助長しないか危惧されるところでもある。

ところで斯様にMBOを目論む向きあればMBOから再上場を目指す向きもある。国内ではアパレルのワールドが東証から再上場の承認を得て13年ぶりに再上場を目指す運びとなっているが、MBO時から業界を取り巻く環境は一変しているのは否めない。一頃は株式投資の世界でもその存在が有名になった同社、今回の再上場でその采配が悪環境の元で如何に振るわれるのか注目される。


ナイトプール後半戦

さて、本日はニューオータニから「まだまだ夏は終わらない!」とのタイトルでガーデンプール等の案内が届いていたが、今年は夏に先駆けてライトアップにDJクラブミュージックも投入したココのプールは早くもゴールデンウィーク明けから週末に先行オープンの案内も来ていたのを思い出した。

この手のノリでは今年で3年目に突入したCanCamがプロデュースするCanCam×Tokyo PrinceHotel NightPoolもピンクディスコのテーマを謳っているが、昨年当欄で「今後はイビサ島のオーシャンビーチで見られるようなパーティー並みの規模まで発展するのかどうか」と書いたところまではまだほど遠いといった感も。

それでもSNS映えを狙い上記の東プリやインターコンチネンタルなどのホテル系では、フロートもレインボーやユニコーンなど今年はキラキラ感がアップするモノを一段と投入し、それ以外の東京サマーランドなども夜は8つのプールに空気・水・光をテーマに世界の絶景イメージを演出と従来と異なる試みをしている。

今年は梅雨が無かったと言ってもいいほどあっけない6月の梅雨明け宣言や、昨年9月に当欄で書いたような近年の海離れ傾向もあって上記のように各施設は各々胸算用があったようだが、異常過ぎる猛暑や立て続けの台風襲来は誤算だったようだ。屋外型観光施設も明暗が分かれているようだが、残り1ヵ月弱どこまでターゲット層を集客出来るのか各所帳尻への思惑が募る。


ステルス・テーパリング

本日の日経平均は米株式の4日続伸や為替が円安に振れた事もあって続伸となったが、市場では先週来、日銀がETF買い入れのひそかな縮小所謂ステルス・テーパリングに踏み切ったとの観測が強まり市場に戸惑いの声が広がっている旨が昨日の日経紙マーケット面に出ていた。

日銀のETF購入に関しては当欄でも今月初めに「日銀トレード終焉」と題してETF購入配分見直し検討後のトレード変化などについて触れたが、NT倍率然りこれまでの購入タイミングも先週の動向を見るに上記のステルス思惑がより募るようになってきたが見えぬ真意を放置すれば出口の大きな障害になると同紙の末尾は締めている。

これまでイグジットに関しては様々な観測が飛び交ったがGPIF絡めた売却や移管論、信託銀行交えたクロスなど今も戦略論議が尽きないが何れにしろ長期戦になるといわれている。企業の4割の大株主にまでなり自己資本の3倍に相当する株の変動リスクを自らのバランスシートに抱える異例尽くめのケースになっただけに今後の具現化は以前にも増して注目されるか。


売られる金に買われる金

さて、昨日はトルコリラ急落で外貨ベースでの割安感が大幅に増した最大都市イスタンブールなどの高級ブランド店に連日外国人旅行者が長蛇の列をなして殺到している旨を書いたが、当然ながらその裏でタンス預金目的等で人気があった金貨はここ1週間で約35%値上がりしたとされ一般は購買力低下が起きている模様だ。

ところで金貨といえば、一方で米国の経済制裁の対象となっている反米国では金の存在感が増している旨が先週末の日経紙商品面に出ていた。中でも個人の金買いが飛躍的に伸びているのがイランでWGCによれば今年1-6月の地金やコイン需要は前年同期に比べて3倍に増えた模様。

通常は通貨安が進むと冒頭のトルコのように現地通貨建て金価格は上昇し買い手控え現象が起きるが、今回は経済制裁再会を控えての更なる金価格上昇見込みを背景に買いが旺盛になっているというこれまで培った肌感覚に因る現象が出ている。また他国ではロシアも昨年末からわずか半年で中央銀行が105トン積み増した模様。

米国債売却と併せ外貨準備における金積み増しで米国依存度を低下させる狙いだが、当の金価格は1週間前から1年半ぶりに1200ドルの大台を割ってきておりロシアはじめとした中央銀行にとっては好都合とも言える。今後のディスクロで各国中銀の保有状況がどのように変化しているのか興味深いところである。


にわか爆買い

さて、周知の通りの米対立を原因として深刻な急落に見舞われているトルコリラだが、最大都市のイスタンブールなどでは店側の価格改定が追い付かず、外貨ベースでの割安感が大幅に増した高級ブランド店には連日外国人旅行者が長蛇の列をなして殺到している模様が伝えられている。

ブランドによっては自国の約半額にまでなったケースも出ているようだが、欧州高級ブランドといえば先に発表された仏LVMHの1-6月期純利益は前年同期比41%増となり、仏ケリングも純利益が3倍近く拡大した模様だ。ミレニアル世代やエシカル志向へもターゲットを広げアジア地域も活気を取り戻したのが背景という。

そんな折に足元では米中貿易摩擦への警戒感が依然燻っておりアジア地域の消費意欲に再懸念も一部出ているものの、本邦では高額コト消費など中心に富裕層の高額消費が増えている旨が先週の日経紙夕刊一面を飾っていた。斯様な環境下で消費者の細かなニーズにどれだけ対応出来るかが鍵となろうが、冒頭の爆買い現象よろしく一点依存型のリスクも経験しているだけに各社の舵取りが問われよう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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