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税偏在への不満

はやいもので本日はもうクリスマスだが、師走ということでふるさと納税も駆け込み需要的に申し込みが相次ぎ人気の品など品切れ中の札がやたらと目立つようになっている。今年も何度かこのふるさと納税を取り上げたが、総務省も昨年4月に続いて今年4月の通達を経て来年は基準を守らない自治体はいよいよ制度の対象から外す意向だ。

これまで総務省が条件とする地場産品そして寄付額3割以下の2条件から共に外れ調査にも無回答であった自治体の会見を先月に見掛けたが、総務省の聞く耳を持たないという姿勢があまりにも傲慢に感じ、自治体潰しをされていると受け取っているとして逆にこの2条件の根拠に関しての説明を求める回答書を送付するなど徹底抗戦をあらわにしていた。

この自治体は早期健全化団体の過去があるだけに同制度には想いも一入だろうが、ここに限らず他にもアマゾンのギフト券や5割相当旅行券など総務省意向から逸脱している自治体はまだあるが、確かに特に地場産品を持たない自治体からすれば公平性に疑問符もあるなかで一括りのルールで嵌め込めばやはりこういった問題が自ずと出て来るのは想像に難くない。

また今回の本腰を入れた規制でふるさと納税バブルがいよいよ弾けた場合、これまで返戻品バブルで一気に雇用を増やし設備投資も拡大させてきた逆回転が中小企業を直撃しないかも大いに懸念される。このまま手打ちせず来年はふるさと納税から撤退する自治体が出るや否やだがいずれにせよいよいよ来年は最後の返礼品駆け込み需要が起こるか。


消えたプラダのOtto

さて、今月アタマには伊「ドルチェ&ガッバーナ」が中国向けに流した広告動画が中国を侮辱していると物議を醸し出し大炎上となったが、今週は同じくイタリアのハイブランドである「プラダ」が販売したキャラクター製品が黒人を侮辱しているとの批判が高まり急遽同ブランドがこの製品の販売を取りやめる一幕があった。

噛み付いたのがNYの敏腕弁護士だっただけにこれまた炎上素地満載であったが、この製品は先月に発売されたクリスマス向けの商品プラダマリアのキャラクターの一つオットなるもの。顔を黒く塗るブラックフェイスが黒人に対する侮辱行為なら顔を靴墨で黒く塗ってステージに立っていた某グループも今なら大変な騒ぎになろうが、リスペクトを立証する境界線も非常に難しくナーバスな問題になって来た。

ブランドリリースではこのOttoなるキャラクターは猿をイメージしているとしていたが、猿で炎上したのはこのプラダに限らず対極のファストファッションのH&Mもキッズ向けのスウェットで最高にクールなジャングルの猿と英語でプリントされた商品を黒人少年のモデルに着せて炎上した件を思い出した。

直近でドルガバが数時間で巨大マーケット失った前例があっただけに、この火消しには躍起になって該当商品が撤去されるまでに得た収益はニューヨークに拠点を置く反人種差別団体に寄付するという徹底ぶりだったが、重ね重ねファッション業界も独自の創造以前の問題で文化や多様性等を先ず初めに考えなければならぬ時代に入っているようだ。


安値引けの船出

昨日末尾で、「とりわけ明日のソフトバンクはいろいろな意味で注目されるところである。」と書いたシフトバンクが本日はれて上場となった。兎に角マーケットからの吸収額は約2兆6400億円と過去最大IPOであったが、その注目の初値は公開価格1500円を2.5%下回る1,463円となり引けは14.5%下回る1,282円とある程度予想されていたとはいえ低調なスターとなった。

しかし今回のケースはまさに災難というかファンドでタッグを組んだサウジの皇太子も例の事件で国際的なザワつきに遭うという悪地合いのところに、大量に機器を導入しているファーウェイ社の副会長逮捕、時を同じく挙げ句には大規模な通信障害がブックビルディングを挟んで勃発とまさに逆風下でのIPOとなった。

そういった意味ではこれでも初値はなかなか健闘したともいえるが、この寄り値で異様な纏まった指値が這わされていた背景もいわれ主幹事絡めいろいろな思惑も出ていた。ともあれただでさえ親子上場の批判が燻るなか今後はこれを踏まえた高水準のガバナンス体制と併せ成長シナリオをどう描いて行くか、この辺が投資家の裾野を広げる意味でも焦点となってこようか。


IPO2018

本日の日経平均は景気減速懸念が強まり急反落となったが、そんな中でマザーズに新規上場となったテクノデータサイエンス・エンジニアリングは公開価格の3200円を98.4%上回る6350円で初値を付けた後も高値引けと好調なスタートとなった。一方でジャスダックに新規上場となった田中建設工業は公開価格を7.1%上回る初値形成後に一転して売り物となり引けは公開価格を下回った。

マザーズ、ジャスダック両市場共に3日続落となるなか明暗分かれた格好になったが、IPOといえば本日の日経紙総合面には「株式公開活況91社に」と題し、今年の国内市場のIPOは活況が続き上場企業数が91社と過去10年で2番目の多さとなってその資金調達額は約2100億円と前年の2.3倍に拡大する旨が出ていた。

反面一頃は上場ゴールなる言葉も流行った時期があったが、今年既に上場した78社のうち8割弱にあたる60社の株価が実質ベースで初値比マイナスと冴えない展開になっている。知名度がダントツのメルカリも今日は上場来安値を付けはや株価はそろそろ三分の一というところだが何れにしてもこれで年内の上場予定は残り11社、とりわけ明日のソフトバンクはいろいろな意味で注目されるところである。


キャッシュレスの伸びしろ

さて、ちょうど一週間飴に当欄では「現代インフラの盲点」と題しソフトバンクの大規模な通信障害の影響でQR決済のPayPayでの決済が出来なくなった旨を書いたが、そのペイペイ決済サービスが今月4日から実施していた大規模還元キャンペーンが利用者の殺到によってわずか10日間という短期間で先週キャンペーンが終了した。

このキャンペーン、利用客獲得の為に買い物で20%のキャッシュバック、更に抽選で全額のキャッシュバックなど100億円を用意する大盤振る舞いであったが、サービス終了の情報が漏れた事で平日にもかかわらず各店舗では異常な混雑を来した事で話題になってしまった。

中には割引対象には通常絶対ならない高額商品を大量購入し利鞘を乗せ転売を試みる向きや、全額キャッシュバックが当たるまで購入と返品を繰り返すツワモノまで現れる始末であったが、何れにしてもこれで短期のうちに推定190万人の利用者を獲得、総額約500億円の買い物に加え来年の約100億円のキャッシュバックで再度購入の機会を生ませる経済効果は確かにあった。

現在キャッシュレスに関しては世界中で急速にサービスが普及しているが、先の日経紙によれば日本ではQRコードを使ったキャッシュレス決済を知らない人は全体の8割に達するという。来年の消費税増税に併せ政府もキャッシュレス決済で還元する優遇策など検討しているが、クレカが普及している土壌でここからどう浸透させられるか今後も各社の戦略が試されそうだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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