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恵方巻もシウマイ弁当も

昨日は「節分」であったが、今年は恵方巻が材料であるコメや海苔が去年から約1.2~2倍に高騰しているのを背景に値上げ傾向で、帝国データバンクの調査ではその平均価格今年初めて1000円の大台を超えたという。そういった事で今年の商戦は各社の案内等を見るにクリスマスケーキやおせち料理よろしく予約開始を早くする向きや、ハーフサイズなど通常サイズに幅をもたせるなど各社工夫が見え隠れする。

恵方巻きはそんな感じだが、恒例の今月の帝国データバンクによる主な食品メーカーによる飲食料品の値上げは1656品目、先月に続いての1000品目超えとなっている。今年既に値上げが判明している品目は8800品目にのぼるというが、現在のペースが続いた場合は昨年を大幅に上回ることになるという。ほか、外食では天丼てんやは今月13日から天丼など約60品目を値上げし、崎陽軒も今月からシウマイ弁当など13品目を値上げしている。

これで慣れ親しんだシウマイ弁当も遂に1000円の大台乗せとなったが、外食値上げといえばスタバも今月15日から立地別価格を導入し全国1991店舗のうち東京空港内、大阪市内など約3割の店舗で価格を引き上げる。既に先駆けてガストやマックなどはこれを導入済みで、マックなど昨年夏からその店舗も拡大傾向にある。上記の飲食品値上げの一因には人件費の上昇があるが、この立地別価格も収益性を考慮しこれに対応するもので今後も追随する店舗が拡大してくるのは想像に難くないか。


深度求索

今週は中国のスタートアップ、ディープシークが開発した生成AIアプリが話題となり市場には激震が走った。何でもこのモデル開発にかかった期間は約2か月、費用は約560万ドルと米競合企業の10分の1以下という事で、これまでのような巨額投資も必要なくなるという思惑からマーケットのメインシナリオが根底から揺らいだことでAIバブルの終焉警戒感から日米の株式市場に波乱を呼んだ。

というわけで週明けの米市場ではこれまで市場を席巻してきた代表格のエヌビディア株の18.2%安に続き、ブロードコムが19.8%安、オラクルは16.9%安、TSMC(ADR)は15.4%安、AIによるエネルギー需要を見越して買われてきた電力会社ビストラに至っては28.3%の暴落となるなどAIへの期待を背負っていた主力株が総崩れの憂き目に遭った。日本市場もまた然りでアドバンストの11.14%安はじめやソフトバンクGの5.22%安やフジクラの9.21%安などAI関連株が総崩れとなった。

このディープシークのAIアプリは「オープンソース」で提供されているだけにアップストアで1位になるほど需要は強くAIの民主化に一役買うのに十分な存在となろうが、つい先週には上記のソフトバンクGやオラクルの企業連合で米のAI開発に4年間で5000億ドルを投資する新会社を立ち上げると発表したばかり。これまでのディープシーク側の主張が本当の話だとすればなんとも文春砲並みのタイミングで物凄いモデルが登場したものだ。

特に注目すべきは半導体の輸入に制限がかけられているなか、旧型の半導体を使いながらもオープンAIやメタと遜色ない性能を発揮しているという点か。これで思い出すのが一昨年だったか中国のファーウェイが米国技術に一切依存することなく5Gスマホ、Mete60Proを作り上げ米政府に衝撃が走ったというニュースか。今回の件と併せ制裁が逆にイノベーションを促した証左ともいえるが、斯様に開発で差が縮められるなか今後対中戦略に変化は出てくるのかこの辺も併せてみておきたい。


過ぎてわかる超割安

昨日の株式市場はハイテク勢が総崩れする一方でこれらの資金の受け皿となるべく上げが目立ったのは銀行株群の堅調であった。日銀総裁が発言したところの中立金利までの幅から一段の利上げ期待が高まり、メガバンク勢では三菱UFJFGがザラバ高値1982円と実に19年ぶりに上場来の高値を更新、三井住友FGやみずほFGも揃って年初来高値更新と気を吐いていた。

前にも書いたがメガバンクのPBR1倍乗せは当時の経済を取り巻く環境からしてもほぼ不可能と思われたものだったが昨年には三菱UFJはいち早くこれを達成、また本日も年初来高値を更新してきたみずほFGもこれまた難しいと思われてきた2003年の1兆円増資の優先株を2016年に普通株へ強制転換した時の2829円を三菱UFJのPBR1倍回復と時を同じくしてクリヤ、今や株価はその水準から更に5割も上回ってきている。

このみずほFGや三井住友FGも年初来高値更新で三菱UFJに続きPBR1倍を超え、これでメガバンク勢は全てPBR1倍超えを達成する事となった。今後は他行や地銀セクターも物色の矛先が向う可能性もあるが、思えばつい数年前のマイナス金利の時は今の株価のそれこそ4分の1から5分の1程度でいつでも買えたわけで、いずれどこかでマイナス金利が終わると楽観視してコツコツため込んだ向きがやはり報われたということになる。


米ETFの強み

本日の日経紙グローバル市場面には「ETF、世界で流入最高」と題し、世界のETF(上場投資信託)への資金流入額が昨年は1兆5400億ドルと前年比で85%増加し3年ぶりに過去最高を更新した旨の記事があった。中でも米国の一強は鮮明で、昨年は現物ビットコインETFが承認された事もあり流入資金のうち7割が米国に上場するETFとなった。

昨年11月には当欄で米ビットコインETFの資産規模がゴールドETFの3分の2水準まで迫ってきている旨を書いていたが一強とされる米市場の魅力はその商品の多彩さにもあり、この辺では先月には期限が1日のゼロデーオプション等を組み入れたカバード・コール型のETFやリクイディティーの低い数百の融資債権に分散投資するETFなども取り上げている。

他にも昨年はマグニフィセントセブン等の大手テック株の台頭を受け、米ではシングルストックETFの商品数も拡大し取引高も増加した。同ETFは個別1銘柄の値動きをベンチマークとしたETFで2倍までのレバレッジをかけられるが、ボラが倍という点で信用取引とも似ているが仮に相場が読みと逆に動いたとしてもマル信のように追証や強制決済も無く、元本そのものがマイナスになる事態にはならない点で異なる。

ETFといえば日本でも昨年は6月に日経半導体ETF、また12月にはサウジ株ETFが上場しており、今月に入ってからは世界を代表する米テクノロジー企業10社に均等投資するETF「iFreeETF FANG+」も上場している。ただ上記のETFに見られる“攻めた”商品という点では腕に覚えのある投資家は今一つ食指が動かぬ点は否めないだけに、指数だけでなくシングルストックのようなマル信代替となるような商品拡充も望まれるところだ。


牛歩

周知のように日銀は先週に開いた金融政策決定会合で政策金利を0.25%から0.5%への引上げを決定している。利上げは24年7月の会合以来で政策金利は17年ぶりの水準に乗せることとなるが、この昨年の会合では市場からサプライズと受け止められあの令和のブラックマンデーのトリガーとなった反省を踏まえ今回は会合前の講演等で利上げに向けた地均しが奏功?したか株価は横這いとなり影響は軽微に終わった。

横這いといえば為替もまた然りで公表を挟んで一時円高に振れる場面があったものの、ほどなくして元の水準に戻りこちらも総じて横ばい。利上げ決定でも横這い、利上げ見送りなら円安進行という構図は典型的な売り相場になっている事を物語っており、実際ここまで日本の利上げに米の利下げで両者の政策金利差は縮小してきているものの足元のドル円相場はマイナス金利解除直前の150円水準より円安は進行してしまっている。

日銀は賃金と物価の好循環を謳いここ肯定的に捉えているが、現状日本は食料自給率やエネルギー自給率において前者は40%弱、後者は10%そこそこという構図から今の円安による生活コストの上昇で苦しんでいる向きは多い。日銀は物価の番人としてこれをいかに適切にコントロール出来るかが問われているが、先に書いたように物価目標未満のところで中途半端な利上げを続けることになると物価の番人としてのスタンスが疑問視される。

また賃金といえば一部外資系証券では年平均ベースで1ドル157円を超える円安になると実質賃金の上昇が難しくなるという試算がある。今の水準からわずか1円そこそこでこれに抵触してくるわけだが、上記のような構造的な円安素地に加えトランプ氏の関税政策如何によってもこのトレンドが加速する可能性も秘めてるだけに、不確実性に備えながら為替を睨み適切なタイミングでの利上げ決断が今後ますます求められようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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