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ラストカード

さて、昨日の日経紙商品面には、39年ぶりの豊作で2016年産の新潟産一般コシヒカリの卸間取引価格が下落した旨が載っていたが、新潟コシヒカリといえばこうした需給の緩みから転作思惑が意識され先物相場の方は取引を開始した約1ヵ月前から1割高と上昇している旨も先週末の同紙に載っていた。

この「新潟コシヒカリ」、業務米対象の「東京コメ」と一般コシヒカリを指標化した「大阪コメ」に次ぐ新たな銘柄として取引が始まったものだが、特定産地に的を絞り現物決済時に産地倉庫で受け渡しを可能にしたほか売買単位も既存上場商品に比べ小口化するなど利便性を狙い米では初モノで登場していた。

これらから解る通りピンポイントで生産者を呼び込もうとしている様が窺えるが、それもそのはず農水省は前回の試験上場延長時に生産者等の幅広い参加を得ているかどうかを本上場申請時には検証すると明言しているからに他ならない。

ともあれこれも含め農産物先物の試験上場はかつて3回以上延長された事は無いだけに今回はラストチャンスともいえる。18年度をメドに国はコメの減反政策を廃止するが、生産者等の側もリスクヘッジの重要性がますます高まるのは必至。それだけに本上場をクリヤ出来るか否か今後の動向は要注目となってくる。


オルタナティブドラゴン

さて、先週末の日経紙商品面には「中国に投機資金、騰勢拍車」と題して製鋼原料の原料炭が、中国やオーストラリア等からの供給減を背景に中国大連商品取引所の原料炭先物へも投機マネーが流入し過去5年前の水準に迫るまで高騰している旨が載っていた。

先高観が強まった9月からは売買高も約7倍に急増し政府はメディアを通じて投機筋に警告を発し、今月に入ってからは先物の証拠金や取引手数料の引き上げ措置を取るまでに至っている。オルタナティブを探す投機マネーは政府の思惑を超えて動き鋼材市況に影響を与えるとも同紙では書いてあったが、もう一つ中国では現在ニンニクの卸売価格も1年前に比べ90%も上昇している。

この背景には冷害で主要産地の収穫量の減少を察知した投機筋が一儲けを企み買い占めに動いたとする説が流れているが、しかしニンニク投機で思い出すのが今から7年前に同じニンニクが対象になったバブルか。確かあの当時はインフルエンザに有効との材料をテコに価格は実に前年同期比で120倍以上まで跳ね上がり、その次に狙われた唐辛子も同約5倍にまで跳ねた記憶がある。

投機マネーとしてはポスト不動産というあたりも前回と構図が似ているが、暗躍している筋も所詮は関連投機筋。不動産の前には株式からの逃避があったがニンニク関連株だけはこの半年で約8割高となるなど循環しているあたりが毎度の回帰現象を匂わせる。買い占め用の倉庫を急造してしまう機敏さもさることながら、投機マネーにマッチするマーケットがある限り繰り返されるのは自然な流れか。


BEAUJOLAIS NOUVEAU 解禁

ご存知の通り例年この11月の第3木曜日がボージョレ・ヌーボー解禁日という事で、レストラン等からはそうした関連モノの案内等が今月に入ってから時折来て、昨晩はタイムリーに近所の酒屋でも「真夜中のワイン会」等と称したイベントが催され逸早くこれを楽しむ人だかりが見られた。

なんでも今年は春の天候不順で葡萄の成長が遅れたものの、夏場からは夜間に気温が下がり日中は日差しに恵まれる成熟に理想の天候となった模様。個人的にこの手に関して全く造詣が深くない私にはその辺の背景やらイベント招待の類に興味も湧かないが、渋谷での生産者団体のカウントダウンイベントでは数百名が盛り上がった様など報道されていた。

ボージョレ・ヌーボーを当欄で書いたのはかれこれもう10年以上も前の事で、確か当時鳴り物入りでオープンしたばかりであったゴードンラムゼイの強気な値段のワインを取り上げた記憶があるが、今やそのラムゼイも日本を撤退し店はない。それは兎も角も箱根では恒例のボージョレヌーボー風呂が始まり、都内では上記の如く各所でイベントが催されハロウィーン後のポストを少しずつ構築しつつある。


対話型へ変遷

本日の日経投資情報面には「日立、市場との対話重視」と題して、日立製作所が決算説明のみならず中期的に描く成長の道筋を分かり易く伝え安定株主づくりにつなげる狙いで、約5年ぶりに個人投資家向けの経営説明会の開催を始めた旨が載っていた。

これまでも当欄で触れてきたように、コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードが制定されより企業と投資家の「対話」がキーになってきたが、この辺は態度一変で先鞭をつけたファナックなど記憶に新しい。四半期毎の決算短信のみでIR部門さえ設置しないその閉鎖性が有名だったがWコード始動後IRは様変わりしこうして後に続いている。

斯様にコードの諸原則順守を心掛け多くの企業が後続しているが、先の投資ファンドによるさが美のTOB劇に見られたように黎明期?なだけにまだ末端までこれらが浸透している感はない。同紙マーケット面の大機小機にはWコードは海外からの輸入品で日本の実情には合わないとの意見も根強いと書いてあったが、上記の件等も含めどう変遷してゆくのか見守りたい。


想定外?

本日の日経紙商品面には「投資家が不満 売買低迷招く」と題して、先の米大統領選の影響で相場が乱高下を演じた10日に注文件数が処理能力の上限に達した事で、全商品の取引を一時停止するなどシステムを刷新したばかりの東京商品取引所でシステムの不具合が相次いでいる旨が書かれていた。

この東商取の新システム刷新に関しては当欄でもこの導入の一週間後に触れた事があったが、そこでは注文処理速度も従来と比べ向上、高速売買を手掛ける海外のプロップハウス等の誘致を視野に入れているとしたが、果たして移行後20営業日の1日平均売買高は移行前20営業日平均から減少している旨が報じられていた。

またシステムの都合上裁定が効き辛くなったのも影響して、この後の売買高も9月、10月と2ヵ月連続で前月を下回っている状況という。キャパオーバーで取引停止の事態といえばあのライブドアショックの時に東証がパンクしたのがいまだ記憶に新しく、「想定外」という言葉も東証パンクにまで使われたが、誘致を狙っていた層の信頼回復は今後の為にも早急の課題か。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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