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AI運用

昨日の日経夕刊の一面には「運用 人工知能が台頭」と題し、昨今囲碁などのゲームや産業ロボットなどで注目を集めるAIの活用が、株式や債券などを対象にプログラムに基づく運用に加えAIが自動的に運用するファンドも台頭するなど世界の金融市場でコンピューターを活用した運用が活発になっている旨が載っていた。

このAIに関しては当欄でも今年に入ってから二度ほど取り上げ、フィンテック系に関しては昨年末にGSAMがアナリストリポートを全てAIで解析する旨なども書いたが、同紙によればAIファンドやCTA等を含むコンピューター運用型のファンドは年初から3ヵ月の成績が業界全体がマイナスとなっているなかプラスを記録する好調さという。

国内でも三菱UFJ信託が自動でAIが運用するファンドをはじめて組成した旨が報じられているが、シミュレーションでは好調な成績という。同社は「金の果実」シリーズを手掛け幅広く浸透した経緯があるが、この分野の黎明期の参入でETFに続き軌道に乗るかどうかこの辺は興味深い。


軌道

この連休中に海外では金の国際価格が上昇し、指標となるニューヨーク先物価格はほぼ1年3ヶ月ぶりに1トロイオンス1,300ドル台を付けていた。先の米雇用統計もNFP(非農業部門雇用者数)の伸びが予想を大きく下回り、6月利上げ観測が大きく後退するなどドル安が進行し易い環境で代替資産とされる金にマネーが流入している構図となっている。

ところでこの金といえばTOCOMの金限日取引「東京ゴールドスポット100」が先週末で上場から1年を迎えている。同取引については度々当欄でも取り上げ「限日好調」と題して挙げた前回の昨年10月末時点では建玉が初めて7万枚を超えた旨を書いたが、それも先月末では先物標準と肩を並べる8万5千枚超えまで膨らんできた。

これが軌道に乗りつつあることで同所は年度内に白金でも限日取引を導入する方針ということだが、次期取引システム移行時の金オプション取引の商品設計変更等も併せ近年の原油に厚みが増している援軍が効いているうちに次の主力を育てる事が出来るかどうか引き続き今後に注目である。


国民意見は反映されたか?

さて、今週は盗作疑惑で旧エンブレムが白紙撤回という異例の事態となった事から再公募を経て約8ヵ月、漸くというか新エンブレムが決まった。最終候補4作品の審査の結果選ばれたのはA案の「組市松模様」であった。

今回の再選考は前回の不透明との指摘も踏まえ一般からも数万件の意見を吸い上げる国民的行事となったが、翌日の日経紙にはこれらが反映されたかどうかはよく分からなかったと書いてある。それもそのはず4作品が公開されて以降の読売新聞や共同通信、ヤフー等の人気調査では、「輪をデザインしたB案」と「朝顔をイメージしたD案」が何所も双璧でこの2作品が選考の軸になるとのコンセンサスがあったからに他ならない。

またもう一つ気になったのは、かねてより旧エンブレムの審査委員であったグラフィックデザイナーの一人が、先頭に配置された1案だけが際立つ不適切な構図からA案ありきのプレゼンテーションで、エンブレム委員の専門家がそれ以外のB、C、D案を推すのは考えづらいとの自論を公表していた件か。

結局果たしてという結果となったワケだが、そもそも当初の躓きであまりにもナーバスになり過ぎて何でもかんでもディスクロという社会的風潮が更に疑惑を掻き立てたのは想像に難くない。ネット世論の集約の難しさは現代ならの問題だが、何れにしても時間も限られているだけに新国立競技場然り何とか帳尻は合うようにしてもらいたいもの。


企業体質

さて、本日も株式市場では三菱自動車が下げ止まらず年初来安値となっていたが、本日夕刻からの記者会見に見られる通り先週に軽自動車の燃費データの改ざんが発覚している。実にリコール隠し事件発覚以前の1991年から規定を無視していたというからなかなか酷い話だ。

大手自動車メーカーの不正といえばやはり昨年9月に排ガス規制逃れが発覚した独のフォルクスワーゲンが記憶に新しいが、ココほどその規模や手口の巧妙さに欠けるものの三菱自の場合は上記の通り2000年代にリコール隠しが二度発覚、経営がパンク寸前まで追い込まれグループ各社の優先株引き受けで何とか命拾いしたのが思い出される。

昨年の東芝の不正会計に続き、今度は名門「三菱」という日本を代表するコングロマリットの企業不祥事表面化でまたもマーケットでの日本ブランド力毀損が懸念される事態だが、今回も亡霊が巣食う大企業のなかなか変えられない体質の難しさが露呈された事例か。


代替通貨再び

先週末の日経紙マーケット面には「金、ドル高修正で高止まり」と題して、年初来の上昇要因であった原油安や金融市場の混乱が一服しても、ドル高の修正でファンドなどの大口投資家が金の代替通貨としての性格を重視し買いを膨らませている為に高止まりしている旨が載っていた。

原油価格の立ち直りで金価格を動かす環境も最近は変わってきたが、上記の通り大口投資家の先物の買い越し幅が3年半ぶりの高水準になる一方でETF総残高は漸減傾向となっているなど、現物資産代表格も派生モノで価格への影響力は近年強くなってきている事もあり政策としての中央銀行保有等も所説入り乱れる事が多くなってきた。

金相場を巡って当面の焦点は6月の利上げに向けて思惑が募る今週の米FOMCとなっているが、これから続報が出てくるであろう当欄でも取り上げた「パナマ文書」の存在も予期しない不安材料を多発させる可能性が十分にあるだけに、派生モノ含めて今後も目が離せない展開が続くか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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