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再考手段

昨日はこの時期優待権利取りに絡み売り繋いだ中小型株の逆日歩が急騰する例もある旨に一寸触れたが、本日の日経紙マーケット面には「空売り個人、試練の春」と題して信用売り残高がトランプラリーが始まった昨年11月上旬より3割多く、逆張りで売り手に回っていた個人にとって4月からの新年度相場は1兆円近くの規模を抱えて試練になりそうな旨が書かれていた。

冒頭には東芝と並んで東証一部で売り残高4位の丸紅が挙げられていたが、トランプラリー当初より空売りを仕掛けた場合はコストから推測するに昨日段階で7%強の含み損を抱えている旨が書いてあった。この丸紅といえばここ最近俄かに増えてきた空売りファンドの一つウェル・インベストメント・リサーチが、巨額の減損リスクを謳い昨年売り推奨した事があったのを思い出す。

このウェル・インベストメント・リサーチも今月あたまの日経紙に「売り推奨 株高呼ぶ」と題した文中に登場していたが、同じ商社で別なファンドに売り推奨された伊藤忠商事など売り推奨リポートをテコに株主還元策を打ち出し、株価がリポート公表前を3割上回る水準まで上昇した経緯がある。

他にも売り推奨をテコに株主還元の強化が意識され巡り巡って株高を呼んだケ−スが挙げられていたが、コーポレートガバナンスコードを背景にし上場企業に手元資金の使い道を再考する切っ掛けを与えたという面ではかつての村上ファンド等と同等の緊張感をもたらしているだろうか。


中小型コスト

昨日から株式市場ではROE等を基準に200銘柄を選定した「JPX日経中型株指数」の算出が始まったが、この日には早速ザラバで2006年から算出する参考値で最高値を付けている。中小型といえば日経ジャスダック平均等もまた週末こそ伸び幅は僅かであったものの実に21日続伸となっていた。

みなし額面換算のディスクロも明確でないので今一つ実感が湧かないが、株主優待を導入したり拡充したりする中小型株が資金の受け皿になっているのは確かで、値幅取りのみならず先週末の日経紙マーケット面には「権利落ち・IPOに不安」と題し、株価下落を避けて権利を得る為信用売りの組み合わせでコストが急騰する例も出されていた。

ここでは一例として昨年12月の湖池屋が1,000円相当の優待を得るために32,000円のコストが発生と書いてあったが、この辺は以前に当欄でも東京ドームの観戦指定席欲しさに数万株の繋ぎで数十万円の逆日歩がかかったとの笑えない話を書いた事もあったのを思い出す。当時から比べるに繋ぎの手段も商品開発が進み随分と選択肢も広がったが、それを使いこなせるリテラシーがあるか否かが要か。


あれから六年

あの東日本大震災が発生してから先週末でまる6年を迎えた。復興庁によれば避難者は前年比減とはいえ12万3千人に上り、行方不明もいまだ2,553人もいるのが現実だ。例年この時期になると各所でイベントやら物販、募金まで様々な活動が盛んになるが、政府も復興財源など無駄の無いよう予算采配を願いたいところだ。

渦中の東電福島第一原発の廃炉作業に中心的な役割を果たしている東芝も延期した明日の決算発表でさえ流動的なほど綱渡りの状況、膨らみ続ける米WHの損失が支障とならぬかも懸念材料に浮上しているほか、風評被害にしてもいまだ福島産の野菜や和牛、果物に至るまで震災前水準に及ばず伸び悩む状態が続いている。

この辺に関しては星野リゾートの社長など福島県の県名変更の覚悟も已む無しとの意見まで出ているが、一方で多くの企業が被災した東北では経営者の新陳代謝や起業が活発になっている旨も日経特集記事で載っており、電子部品メーカーの向山製作所など私も別な部分で名を知っていただけにその中でも目に留まった。

この会社、本業の陰りを危機と捉え独自のクリーンルーム技術の応用で副業としてスイーツに乗り出し、その品は先月の当欄でも取り上げた「サロン・デュ・ショコラ」で好評を博し今や売上の5割を占める事業に成長している事で有名。遅々として進まぬ懸案が山積みな一方、斯様な新陳代謝の息吹きも着実に芽生えている。


特A増殖の裏で

さて、今週気になった新聞記事といえば週明けの日経紙夕刊一面で「新潟産コシヒカリ43年ぶり安値」と題して、消費減少や39年ぶりの豊作等でこれまで代表格であった新潟産コシヒカリが43年ぶり安値にまで落ち込んでいる旨の記事であった。

また競合するブランド米の増加も背景にあるようだが、確かに最近百貨店の食品売り場等を通る度に新ブランドの売り込みがやたらと多くなった気もする。ついこの間までお偉いさん方が上京しトップセールスしていた新品種の試験品が姿を消し、早くも別の新ブランドの販促に余念がない様を見るに飽食化を感じないわけでもない。

そういえば週明けの日経MJでもコメの格付けである食味ランキングにおいて最高評価に新顔が3県入り、中でも神奈川に至っては初出品で獲得するなど当事者も予想外の結果だった模様で、今年は結局のところ特Aが過去2番目の多さであった旨の記事もあった。

最近では高齢化だけでなく若年層も糖質ダイエット等の流行りから米も敬遠され冒頭の通り消費も落ち込んでいるが、特A獲得で起死回生を狙う向きは多い。ふるさと納税返礼品等も最近ではブランド米の品揃えが各所充実してきているが、その裏で冒頭のように代表格の牙城が崩され業務用不足の問題も出てきた模様で今後これらのバランスをどう取ってゆくかが課題となるか。


時を経て再び

昨日のWBSでは「突然の社長交代劇 三越伊勢丹のカリスマに何が!?」として電撃引退した社長を巡る騒動が放映され、放映では当の社長や幹部らのコメントも度々出てきたが両者が統合したのが約10年ほど前、斯様に業界では近年合従連衡が進むなか一枚岩にはなれなかったというところだが三越の騒動再びという感もある。

三越の騒動といえばやはり三越の女帝といわれた愛人を囲い不当な利益供与をするなどやりたい放題の独裁政治を続けた挙句に解任された岡田社長の事件で有名だが、最近この事件を思い出させてくれたのは先の日曜日付けの日経紙一面・春秋で、38年前にヤマト運輸がこのワンマン社長のやり方に嫌気がさし三越の配送業務から撤退した旨の記事であった。

今、世間で話題になっている経済ニュースでは冒頭の三越トップの電撃辞任と共に昨日の日経紙一面を大きく飾ったヤマト運輸の報があったが、時を経てこの両者がまた違ったそれぞれの事情で大きなニュースになっている様は遠い所で何かしらの因果が感じられなくもない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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