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資源デフレ

現在、月曜日の日経夕刊・明日への話題を執筆しているのは丸紅の会長であるが、週明けはこの丸紅が2016年3月期に減損等で新たに1200億円の損失を計上すると発表している。一転しての減益となるが、同社といえば昨年同期にも買収した米子会社ののれん代処理やら油・ガス事業での損失でほぼ同額の損失を出している。

しかし総合商社といえば首位の三菱商事も先月下旬に「三菱商事、赤字1500億円」の文字が日経紙一面を飾っていたが、タイトル通り2016年3月期連結最終損益は従来予想の3000億円を4500億円下回る数字であり、1969年度に連結決算の作成を始めてからは初の赤字、三井物産も然りだがこの辺は資源分野への偏重度合がまた異なる。

折しも直近で主要産油国によるドーハでの原油増産凍結会合が不発に終わるという結果となり原油も再度急落の憂き目に遭ったが、17年3月期の追加の減損リスクも残る可能性があるなかポスト資源の食糧も苦戦を強いられている現状から商社ポストも先行き不透明感が払拭できていない事が改めて認識された格好か。


情報格差

さて2016年1〜3月期決算の発表が今週から本格的にスタートするが、この決算情報を巡って先週は証券取引等監視委員会が外資系大手のクレディ・スイス証券を、上場会社が公表する前の決算情報を自社の営業員らに伝えて顧客を勧誘するなど重要情報の管理体制に不備があったとして、行政処分するように金融庁に勧告する方針を固めていた。

クレディ・スイスで同じようなインサイダーの一件として思い出すのは、かつて香港のトレーダーが住友軽金属のCB発行時に事前に同社株をショートしたとかで摘発された事があったのを記憶しているが、最近ではドイツ証券も今回と同様な件で昨年12月には業務改善命令を出されていたなと。

これが主因なのかどうか、クレディ・スイス証券は毎年2回アナリストらが行ってきた機関投資向けの企業の業績プレビュー活動を中止する意向を示している。野村など国内大手でもアナリストが業績動向について企業から詳細を直接取材し決算プレビューに反映することを自粛する動きが広がっているが、改めて一般との情報格差が感じられる一件でもあるか。


ストックオプション拡大

さて本日の日経平均は3日ぶりに急反発し昨日からきれいに往って来いの形となった。株価を睨んで経営陣も一喜一憂だろうが、株価といえば先週末の日経紙投資情報面にはストックオプションの利用が広がっている旨が載っていた。この制度が加速している背景にはIPOの活況やコーポレートガバナンス・コードの適用の影響も大きいようだ。

このストックオプションといえばちょうど2年前の今頃にも当欄では同制度を新たに導入する企業が増えている旨を書いた事があったが、2015年度に利用した上場企業は654社と以前に振れた2年前当時の2014年の583社から1割増えて実に10年ぶりに過去最高を更新した模様。

同紙にも財務に余裕のない企業でも活用し易いと書いてある通り、もともとこの辺が同制度が生まれた背景になるワケだが人材獲得からマーケットでの受け皿も投資家側になるなど何かと効率が良い一方で、株価第一主義に偏重し易くなる為に不祥事隠蔽の芽が時として出てくる素地が無いワケでもない。IPOの新興勢などこうした部分含め周りが見守ってゆきたいところ。


同時多発地震

このたびの熊本地震関連で被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます・

周知の通り連日にわたって新聞の一面を賑せている熊本地震だが、なお予断を許さない状況が継続している。気象庁は本震の前日に今後3日間に震度6弱以上の余震発生確率は20%としていたが、16日の地震でこれが本震との見解を示し一転して今後1週間程度、最大震度6弱以上の地震が起きる可能性があるとしている。

マーケットではこの手ではお約束の若築建や不動建当の低位建設セクターが急騰し、日本鋳鉄管や地質地盤調査の地盤ネットがストップ高となる一方で東京海上をはじめとする大手損保株が急落とお決まりの明暗を見せているが、産業界も再度の試練に見舞われるなか投資家心理の冷え込みは否めない。

M6クラスの直下型地震の後、規模が上回る本震が起きたのは観測開始以来初のケースと気象庁も上記の通り困惑極めているが、活断層など把握していても備えがなお不十分であることが浮き彫りになった。斯様に東日本大震災から5年でこの惨状を見るに改めて我々は地震国の脅威を思い知らされたが、一刻も早い復旧が待たれる。


パナマ文書

さて、パナマの法律事務所から流出した所謂「パナマ文書」が暴露されて世界で波紋が広がっている。既にアイスランド首相が辞任に追い込まれ、課税逃れを厳しく追及してきた英首相も自らの投資に絡み苦しい立場になるなどしているが、他にも多くの政治指導者が名を連ねており今後第三者機関などによる検証等何所まで公に晒されるのか興味深い。

この中には中国国家主席らの親族のモノもあったといい、やはりというかインターネット閲覧は早速規制され、書き込みも削除、問題を伝えたニュース番組は画面が真っ黒になって数分間中断されたという。この辺も相変わらずの闇を垣間見た気がするが、反腐敗運動の最中だけに国民世論から求心力への影響等これまた気になる。

ともあれ2013年のスノーデン氏によるアメリカの情報収集活動暴露や、更にその前のウィキリークスによるアメリカの外交公電のリークを超える過去最大規模といわれているだけに、上記の通り政治指導者含む100人以上の存在が明るみされる事で、続々とこのクラスの政治スキャンダル等が続出するような事態になると政治不信の強まりから社会の安定も危うくなって来よう。

ところで日本も国内を拠点とする人物や企業含め数百の情報が含まれているとされているなか、官房長官は政府としては選挙を意識してかどうなのか調査はしないと明言しているが、原発よろしくこちらもといった感は否めないところか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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